【ユーロドル (EUR/USD) / ユーロ円 (EUR/JPY)】今日の注目材料は米国のPCE価格指数 / 注目のチャートポイント
ラガルドECB総裁の会見を受け、短期金融市場では4月の利下げ期待が高まっている。外為市場では、対米ドルと円でユーロ安優勢の状況にある。今日は米国の個人消費支出(PCE)価格指数でユーロドル(EUR/USD)とユーロ円(EUR/JPY)が上下に振れる展開が予想される。それぞれ注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・ラガルド総裁の発言を受け4月利下げの可能性が浮上している
・昨日の外為市場では利下げ期待を受けてユーロ安の展開となった
・今日の外為市場は、米国の個人消費支出(PCE)価格指数が材料視される可能性がある
・ユーロドルの反発局面では、1.0920レベルの攻防が焦点となろう
・ユーロドルが下落する場合は、短期サポートラインと半値戻しの攻防に注目したい
・ユーロ円、目先の見通しと注目しておきたい上下のチャートポイントについて
4月利下げの可能性とユーロ売り
欧州中央銀行(ECB)は25日に理事会を開き、3会合連続で政策金利の据え置きを決定した。
理事会後の記者会見で、ラガルド総裁は早期の利下げ議論について時期尚早と述べた。その一方、経済については23年第4四半期に停滞した可能性が高いこと、経済成長のリスクが依然として下方に傾いていることを指摘した。また、エネルギー価格が下方にシフトすればインフレ率は短期的にさらに低下すると述べた。
ラガルド総裁の会見内容を受け、短期金融市場では4月の利下げが意識される状況となっている。理事会前の利下げ確率は50%台で推移していた。しかし、現在の利下げ確率は70%台へと上昇している。
昨日のECBイベントはユーロ売りの要因となった。この日の外為市場はスイスフランを除き、主要国の通貨に対し総じてユーロが下落した。(下のパフォーマンスチャートを参照)。
ユーロ相場の動向:1月25日
今日の注目材料は米個人消費支出(PCE)価格指数
25日に発表された23年10〜12月期(4Q)の米国内総生産(GDP)は、堅調な個人消費が下支え要因となり、前期比年率で3.3%と市場予想の2.0%を上回った。
一方、コアPCE価格指数は前期比年率で2.0%と、2四半期連続で米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標の水準「2%」で推移した。
景気が底堅さ維持する一方、インフレは鈍化の傾向にある-4QのGDP統計は、米国経済のソフトランディングを期待させる内容となった。
米ドル相場のトレンドを表すドルインデックス(DXY)は昨日、GDP統計後に上昇した。一方、米債市場では10年債利回り(長期金利)の上昇が抑制され、じわりと低下する展開となった。
ドルインデックスと米10年債利回りのチャート:5分足 昨日21時以降
これは、米債市場の参加者がインフレの鈍化を意識した動きと考えることができる。ゆえに昨日のドルインデックスの上昇は米ドル買いよりも、ユーロやポンドの欧州通貨売りにサポートされた面が大きいといえる。
インフレの鈍化傾向が意識されるなか、今日は米国の23年12月個人消費支出(PCE)価格指数が発表される。
米連邦準備制度理事会(FRB)が注視するコア指数でインフレの鈍化傾向があらためて確認される場合は、米金利の低下要因となろう。
米金利が低下する場合は、米ドル安の展開を想定しておきたい。
米国 個人消費支出(PCE)価格指数の動向:月次23年以降
ユーロドルの見通しとチャートポイント
反発の局面では1.0920レベルの攻防が焦点に
ECBイベントがユーロ売りの要因となったことを受け、ユーロドル(EUR/USD)は現在、短期サポートラインを意識する状況にある。
上で述べた米国の個人消費支出(PCE)価格指数が米ドル安の要因となれば、ユーロドルは短期サポートラインを維持する展開が予想される。
ユーロドルが反発する局面では、昨日の高値1.09レベルの攻防が最初の焦点となろう。
米ドル安にサポートされユーロドルが1.09台へしっかりと上昇する場合は、レジスタンスのラインとして意識されている50日線のトライが焦点として浮上しよう。この移動平均線は今日現在、1.0920レベルで推移している。
今日現在、21日線が1.0920台まで低下し50日線との間でデッドクロスを形成するムードにある。この状況を考えるならば、1.0920前後がテクニカルの面でレジスタンスの水準として意識される可能性があろう。
10〜12月期の米GPD統計では、個人消費の底堅さが確認された。そして1月の購買担当者景気指数(PMI)速報値では、ユーロ圏と米国の景況感格差が確認された。
米欧の景気動向(現在の景況感格差)はユーロドルの重石となる可能性がある。ゆえに、ユーロドルが反発しても上で述べた2つの移動平均線(1.0920レベル)で反落する展開を今は警戒しておきたい。
ユーロドルのチャート:日足23年10月以降
下落の局面では短期サポートラインと半値戻しの攻防が焦点に
一方、今日の米個人消費支出(PCE)価格指数が米ドル高の要因となれば、ユーロドル(EUR/USD)は短期サポートラインをトライする展開が予想される。
日足ローソク足の実体ベースでユーロドルがこのラインを完全に下方ブレイクする場合、次の焦点は昨年の10月3日安値と12月28日高値の半値戻しの水準1.0794レベルのトライとなろう(上のチャートを参照)。このテクニカルポイントの攻防は、1.08の維持を見極める攻防となろう。
なお今日以降、ユーロドルが1.08レベルをも下方ブレイクする場合は、昨年12月8日の安値1.0723レベルのトライが焦点として浮上しよう(上のチャート、緑矢印を参照)。
ユーロ円の見通しとチャートポイント
ユーロ円(EUR/JPY)は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準161.67レベルで上昇が止められて以降、調整の反落相場が続いている。25日はユーロ売りを受け、節目の160.00レベルを下方ブレイクする局面が見られた(安値159.69レベル)。
IG為替レポートでは、160.00レベルのサポート転換に注目している。昨日は、日足ローソク足の実体ベースで160円台を維持した。しかし、今日は早朝からユーロ円は下値をトライする局面が見られた。今日もユーロ売りの流れが続く場合は、160.00の下方ブレイクを想定しておきたい。
ユーロ円が159円台の攻防へシフトする場合は、今日現在159円台へ上昇している21日線の攻防となるかどうか?この点に注目したい(下のチャート、緑ラインを参照)。
昨日の安値159.69レベルの下方ブレイクは、21日線を視野に下落幅が拡大するシグナルと想定しておきたい。
今日以降、ユーロ円が21日線をも下方ブレイクする場合は、今日現在158.80台で推移している50日線のトライを意識する展開が予想される(下のチャート、黄色ラインを参照)。
なお、21日線と50日線はゴールデンクロスの状況にある。しかし、日足のストキャスティクスは低下のトレンドにある。また、MACDでもユーロ円の地合いの強さがじわりと後退していることを示唆する動きとなっている。
上で述べたユーロドル(EUR/USD)の地合いの弱さも考えるならば、ユーロ円が反発しても、昨日の上昇を止めた161.00レベルで反落する展開を想定しておきたい。
テクニカルの面では、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準161.67レベルの突破が確認できない限り、160.00レベルや上で述べた移動平均線での攻防を意識しておきたい。
ユーロ円のチャート:日足23年11月以降
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