【ユーロドル】注目材料は欧米の物価指標 / 今日の見通しとチャートポイント
下落基調を維持するユーロドル(EURUSD)は、今年1月の安値水準をトライする状況にある。今日は欧米の物価指標が発表される。内容次第でユーロドルは上下に振れる展開が予想されるが、より注視すべきはさらなる下値のトライである。注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・今日の注目材料は、欧米の物価指標となろう
・1月の安値水準を維持するユーロドルだが、下値トライを意識する状況が続いている
・ユーロドルの下落局面では、1.04台の維持が焦点となろう
・ユーロドルの反発局面では、2つの移動平均線の攻防に注目したい
今日の注目材料
注目材料1:ユーロ圏の9月消費者物価指数
9月のドイツ消費者物価指数(EU基準)は前年同月比で4.3%と、前月の6.4%から大きく鈍化した。伸び率は2021年9月以来、2年ぶりの低さとなった。
今日は、9月のユーロ圏消費者物価指数が発表される。前年同月比で4.5%と、前月の5.2%(改定値)から低下する見通しである。
一方、変動の大きい食品やエネルギーなどを除いたコア指数も、同比で5.3%から4.8%へ低下する見通しとなっている。
ユーロ圏 消費者物価指数の推移:月次 22年9月以降
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は追加の利上げを約束も排除もしないスタンスにあるが、短期金融市場ではECBの利上げサイクル終了を織り込む動きが見られる。
ゆえに9月の消費者物価指数で域内のインフレが鈍化の傾向にあることが示される場合は、利上げサイクル終了の観測がさらに高まろう。
連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派スタンス維持が意識されているタイミングでこの観測が高まる場合、外為市場ではユーロドル(EUR/USD)の下値トライを意識する状況が続くと予想する。
注目材料2:米国の8月個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)
今日は米国の8月個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)も、ユーロドル(EUR/USD)の変動要因となろう。前月比と前年同月比は、ともに前月から上昇する見通しとなっている。しかし、コア指数の方は、前月比と前年同月比でともにインフレが抑制・鈍化の傾向を維持すると予想されている。
注目すべきは、パウエルFRBが注視するコア指数の動向である。予想通りインフレの抑制・鈍化の傾向が確認される場合は、米ドル売りの要因となろう。米ドル安はユーロドルのサポート要因となろう。
一方、9月のPCEコアデフレーターがインフレ圧力の根強さを示す場合は、FRBによる金融引き締め政策の長期化が意識されることで「米金利の上昇→米ドル買い」が予想される。このケースでは、ユーロドルの下落を想定しておきたい。
特に、上で述べたユーロ圏の消費者物価指数が鈍化の傾向を示す場合は、ユーロドルの下落幅が拡大する展開を想定しておきたい。
米国 PCEデフレーターの推移:月次 22年9月以降
ユーロドル、今日の見通しとチャートポイント
下値トライを意識する状況が続く
ユーロドル(EUR/USD)は現在、今年1月の安値1.0483レベルをトライする状況にある。
昨日は「米金利の低下→米ドル安」を受け、この水準(1.0480台)の維持に成功した。しかし10日線すらトライできない状況にある。また、MACDは地合いの弱さを示唆するトレンドにある。
上で述べたとおり、短期金融市場はECBの利上げサイクル終了を織り込む状況にある。9月14日のECBイベント後、ユーロドルが今年前半に付けた安値の水準をことごとく下方ブレイクしている状況は、外為市場の参加者も利上げサイクル終了を織り込んでいることを示唆している。
ゆえに、9月の消費者物価指数でインフレの鈍化傾向が確認される場合は、ユーロドルが1.0480台を完全に下方ブレイクする展開を想定しておきたい。
ユーロドルのチャート:日足 年初来
週足チャートでもユーロドルの地合いの弱さがうかがえる。
連続の陰線示現で短期サポートラインのみならず52週線をもあっさりと下方ブレイクし、下落基調のトレンドチャネルを形成している。
直近のローソク足のかたちは、1.05レベルがサポート水準となる可能性を示唆している。しかし、日足ローソク足の実体ベースでこの水準を完全に下方ブレイクした状況を考えるならば、注目すべきはその下の水準、半値戻しの1.0406レベルとなろう。
現在のユーロドルは、1.0480台がサポートの水準として意識されている。ゆえにこの水準の下方ブレイクは、1.0406レベルを目指すシグナルと想定しておきたい。1.0406レベルの攻防は、1.04台を維持する攻防でもある。
ユーロドルのチャート:週足 22年9月以降
反発局面でのチャートポイントは?
上で述べた欧米の物価指標がユーロドル(EUR/USD)の反発要因となる場合は、2つの移動平均線の攻防に注目したい。
最初の焦点は、10日線の攻防である(上の日足チャートを参照)。この移動平均線は今日現在、1.0612レベルで推移している。7月18日の高値1.1276レベルを境に、ユーロドルは下落基調のトレンドチャネルを形成している。その過程で、相場の戻りが10日線で止める状況が多く見られる。ゆえに反発の局面では、常に10日線での戻り売りを警戒しておきたい。
ユーロドルが10日線の突破に成功する場合は、5月31日の安値1.0635レベルの攻防に注目したい。この水準は、サポートからレジスタンスの水準へ転換する可能性がある。10日線の攻防と同じく、戻り売りを警戒しておきたい。
ユーロドルが1.0635レベルを突破する場合は、52週線の攻防に注目したい(上の週足チャートを参照)。この移動平均線は今日現在、1.0682レベルで推移している。
52週線の上方ブレイクは、1.07およびトレンドチャネルの上限をトライするシグナルと想定しておきたい。
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