ECBイベントはユーロ売りの要因に/ ユーロドルの見通しとチャートポイント
欧州中央銀行(ECB)は10会合連続の利上げを決定した。しかしユーロドルは下落した。今後は景気リスクとそれに伴う利上げ停止の思惑、そして米欧の景況感の格差がユーロドルの重石となろう。目先の見通しは?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
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サマリー
・欧州中央銀行(ECB)イベントは、ユーロ売りの要因となった
・景気リスクと利上げ停止の観測はユーロ相場の重石に
・ユーロドルは1.0635レベルの下方ブレイクを意識する局面にある
・1.0635割れ後に注目しておきたい下値のチャートポイントについて
欧州中央銀行(ECB)イベントはユーロ売りの要因に
欧州中央銀行(ECB)は14日の理事会で、主要政策金利を0.25%ポイント引き上げ4.50%とした。また、中銀預金金利は3.75%から単一通貨ユーロ導入以降で最高水準の4.00%に引き上げた。利上げは10会合連続となった。
ラガルドECB総裁は政策金利について、「現在がピークと言うことはできない」と述べた。しかし、外為市場はユーロ売りで反応した。
ユーロ相場の動向:9月14日
ECBは24年の物価見通しを6月時点の3.0%から3.2%へ引き上げた。
物価目標に向かって「インフレが低下しないリスク」を意識する一方、経済成長率については、23年から25年のそれらを6月時点の予想からすべて下方修正した。
【経済成長の見通し】
・23年:0.9%(6月時点の予想)→0.7%
・24年:1.5%(6月時点の予想)→1.0%
・25年:1.6%(6月時点の予想)→1.5%
今後、ラガルド総裁をはじめとしたECBの高官達が景気リスクについて多く言及する場合、外為市場の参加者は利上げの停止を強く意識するだろう。
この点について短期金融市場の動向を確認すると、次回理事会(10月26日開催)での利上げ確率は30%台で推移している。今後ECBが景気リスクへ対応することへのプレッシャーが高まり、利上げの停止に追い込まれる可能性を早くも予想する動きが見られる。
ユーロドル、目先の見通しとチャートポイント
上値1.0766レベルと下値1.0635レベルの攻防
ユーロドル(EUR/USD)は昨日、利上げよりもユーロ圏の景気リスクとそれに伴う将来の利上げ停止の方が意識され下落した。日足ローソクでは大陰線が示現した。
昨日の動きで注視すべきことが2つある。
ひとつは、8月25日の安値1.0766レベルの “レジスタンス転換”である。昨日の下落幅の拡大を受け、今後の反発局面ではこの水準(1.0766レベル)が強固なレジスタンスの水準として意識される可能性が高まった。
もうひとつの注目点は、5月31日の安値1.0635レベルを日足ローソク足の実体ベースでかろうじて維持したことである。今日もユーロドルが下値をトライする場合は、この水準での攻防が焦点となろう。
ユーロドルが1.0635レベルを完全に下方ブレイクする場合は、さらなる下値トライのシグナルとなろう。
また、ユーロドルがこの水準(1.0635レベル)を下方ブレイクする場合は、反発局面での “レジスタンス転換” にも注目したい。
ユーロドルのチャート:日足 5月以降
さらに下値をトライする場合のチャートポイントは?
ECBが経済成長の見通しを引き下げた一方、米国の8月小売売上高は総じて予想以上となり、個人消費の底堅さを示す内容となった。今後はECBの利上げ停止の可能性に加えて、米欧の景況感格差も意識されることになろう。
週足チャートでユーロドルのトレンドを確認すると、52週線(1.0648レベル)を下方していることが分かる。
上で述べた状況を総合的に考えるならば、ユーロドル(EUR/USD)は1.0635レベルの下方ブレイクとさらなる下値トライを想定する局面にある。
実際にユーロドルが1.0635レベルを完全に下方ブレイクする場合、次の焦点は22年9月の安値と今年7月の高値のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準1.0611レベルのトライとなろう(下の週足チャートを参照)。
ユーロドルがこの水準(1.0611レベル)をも下方ブレイクする場合は、1.05台の攻防へシフトする展開を想定しておきたい。
ユーロドルが1.05台での攻防となる場合は、1.05台の維持が焦点として浮上しよう。昨年12月から今年の3月にかけてこの水準は、相場をサポートした経緯がある。
ユーロドルのチャート:週足 22年8月以降
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