ポンド円の展望およびチャートポイントについて
英中銀は22日、3会合ぶりに0.5ポイントの利上げを決定した。日英中銀の政策スタンスの差はポンド円の押し上げ要因となろう。しかし今後の上昇相場では、これまで以上に反落のリスクを警戒する必要があろう。目先のポンド円の展望は?上下のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・英中銀は22日のMPCで予想外に50ベーシスポイントの利上げを決定した
・日英中銀の政策スタンスの差はポンド円の押し上げ要因となろう
・株高の調整(株安)やさえない英経済指標ではポンド円の反落を警戒したい
・これからの上昇相場では国内サイドからの円安けん制も意識する必要があろう
利上げを継続せざるを得ない英中銀
残り4回のMPCで連続利上げが意識される状況に
イングランド銀行(英中央銀行)は22日の金融政策委員会(MPC)で、予想外の50ベーシスポイント(bp)の利上げを決定した(50bpの利上げは3会合ぶり)。
13会合連続の利上げにより、政策金利は2008年以来となる5%まで引き上げられた。
英政策金利の推移
5月の消費者物価指数(CPI)で、エネルギーや食品などを除くコアCPIは前年比で7.1%と、1992年3月以来の高水準まで上昇した。インフレ低下を阻む要因となっているサービス価格も同比で7.4%と、4月の6.9%から伸びが加速した。
インフレ圧力の根強さを受け、短期金融市場では英中銀が年内に政策金利を6%まで引き上げる可能性を完全に織り込み始めている。
今年はあと4回のMPCが開かれる。市場の予想どおりにあと1%の利上げを想定する場合、すべてのMPCで英中銀は利上げを行うことが予想される(25bpの利上げがベースシナリオ)。
英政策金利の予想推移
ポンド独歩高とはならず
対円と米ドルで真逆の反応に
英中銀による利上げ政策の長期化は、ポンド相場の短期的な押し上げ要因となろう。
しかし、昨日のポンド相場のパフォーマンスを確認すると、対円で上昇する一方、対米ドルでは下落した。英中銀の利上げに対して異なる反応となった要因のひとつに、金融政策スタンスの差が挙げられる。
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は22日の上院銀行委員会の公聴会で、FOMCメンバーの3分の2が年内あと2回の利上げを妥当と考えていると述べた。利上げ回数については経済指標次第となるだろうが、短期金融市場が想定する利下げの時期が来年に後ずれしている状況を考えるならば、FRBの利上げ長期化は不可避の状況にある。
一方、植田日銀は金融緩和政策を続けている。政策修正の可能性がある次回7月の日銀金融政策決定会合(27~28日開催)まで1ヶ月以上もあること、そして日米の株式市場では調整の反落を挟みながら株高のトレンドが続いている。
これらの動向は円安圧力を高める要因である。事実、日米の株高が加速している6月は円安がさらに進行している(詳細はこちらのレポートを参照)。
ゆえに目先のポンド円(GBPJPY)は、上値トライを意識する展開が続くと予想する。
ポンド相場のパフォーマンス:6月22日
新たなレジスタンスポイントの候補は?
ポンド円(GBPJPY)がさらに上値トライとなる場合、目先はドル円(USDJPY)と同じく1円レンジで新たなレジスタンスポイントを探ることになろう。
目先の焦点は183.00レベルの突破である。22日の高値182.55レベルの突破は、183.00トライのシグナルと想定しておきたい。
ポンド円が183円台の攻防へシフトする場合は、184.00レベルそして185.00レベルと1円レンジでの攻防を確認したい。
ポンド円が1円レンジの各水準を突破した後は、反落局面があるだろう。この時に上で述べた水準がサポートへ転換するかどうか?この点が、新たなレジスタンスの水準を見極めるひとつの指針となろう。
アベノミクス(大規模な金融緩和政策)が意識された2013年から2015年当時の状況を考えるならば(現在は海外中銀の急速な利上げに植田日銀が全く追随できない状況にあることを考えるならば)、188円台へ上昇する可能性を意識しておきたい。
2015年9月から11月にかけて188円台がレジスタンスとして意識された経緯がある。また、V計算値では188.90レベルが新たなレジスタンスポイントの候補になる。
ポンド円のチャート:週足
反落局面でのチャートポイントは?
上の週足チャートをあらためて確認すると、13週MAとの乖離が一時9%を超える局面が見られた。6月に入りすでに5%近く上昇している状況も考えるならば、ポンド円(GBPJPY)の短期的な過熱感(買われ過ぎの状況)は否めない。この点(短期的な過熱感)を意識してか、今日の東京時間では円を買い戻す動きが見られる。
また、下の1時間足チャートでポンド円の動向を確認すると、サポートへ転換するかに思われた182.00レベルを再び下方ブレイクする状況にある。この水準(182.00レベル)がしっかりと ”サポート転換” できない限り、下で述べるチャートポイントをトライする可能性を意識しておきたい。
ポンド円のチャート:1時間足
また、上昇の局面にあってもポンド円(GBPJPY)の反落の可能性を示唆する動きが通貨オプション市場で見られる。ポンド円のリスクリバーサル(1ヶ月と3ヶ月)の動向を確認すると、ポンド・プットへ傾いており実際の相場とは逆の動きが見られる。
上で述べた短期的な過熱感(買われ過ぎの状況)も考えるならば、日米株高の調整局面(下落)やさえない英経済指標、例えば今日17時30分の6月購買担当者景気指数(PMI)速報値でさえない内容が確認される場合は、直近の相場で二度ポンド円をサポートしている179.90レベルや10日MA(今日現在179.70レベル)を視野に下落幅が拡大する可能性を意識しておきたい(上の1時間足チャートを参照)。
ポンド円の180.80ブレイクは、節目の180.00レベル(179.90レベル)を目指すシグナルとして警戒したい。
また、急速な円安の進行により国内サイドからの円安けん制が飛んでくる可能性が徐々に高まっている状況も意識しておくべきだろう。ゆえに、ポンド円を含めて円相場全体で円安がさらに進行する場合は、このけん制リスクを意識しておきたい。
ポンド円とリスクリバーサルのチャート
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