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【ドル円 (USDJPY)】円安優勢のなか焦点は米国の雇用統計に / 焦点は145.00レベルの攻防

日銀の早期政策転換に対する市場の思惑が後退するなか、今日は12月の米雇用統計が発表される。4日の雇用関連指標に続き労働市場の底堅さを示す内容となれば、ドル円(USDJPY)は145円台へ上昇する展開が予想される。一方、さえない米雇用統計を受けてドル円が反落する場合は、200日線の ”サポート転換” を確認したい。詳細についてはIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・能登半島の地震を受け、日銀による早期政策転換の思惑が後退
・4日の米雇用関連指標は労働市場の底堅さを示した
・今日の注目材料は12月の米雇用統計となろう
・強い米雇用統計は、ドル円の145円台乗せの要因に


マイナス金利解除の思惑と円売り

4日の外為市場は円安優勢の展開となった。

1月1日に能登半島で発生した地震を受け、日銀の早期マイナス金利解除に対する市場の思惑が後退しているとの見方がある。短期金融市場では大きな変動は見られない。しかし、年初から円売り優勢の状況が続いていることを考えるならば、日銀の政策転換に対する市場の思惑が現在の円売り要因になっていると考えられる。

能登半島地震の被害の大きさと経済に及ぼす影響を見極める必要性があることを考えるならば、日銀が1月の会合でマイナス金利の解除に動く可能性は限りなく低下したと考えられる。

そしてこの状況は、根強い円売りが続く可能性を高めている。

円相場の動向:年初来

円相場の動向:年初来 ブルームバーグの為替データで作成

依然として底堅さを維持する米国の労働市場

米労働省が4日に発表した週間の新規失業保険申請件数(12月30日までの1週間、季節調整済み)は1万8000件減の20.2件と、市場予想の21.6万件を下回った。

この経済指標は振れ幅が拡大する傾向があるが、基調を示す4週移動平均が再び低下へ転じている状況を考えるならば、米国の労働市場が依然として底堅さを維持していることが示された。

また、同日に発表された12月 のADP雇用統計も16.4万人と市場予想の12.5万人を上回り、同じく労働市場の底堅さを示した。

米国 新規失業保険申請件数の動向:週次 2022年以降

米国 新規失業保険申請件数の動向:週次 2022年以降 ブルームバーグのデータで作成

今日の注目材料は米国の雇用統計

上で述べた通り、昨日の米雇用関連指標では労働市場の底堅さを示す内容が続いた。強い雇用関連の経済指標を受け、短期金融市場では3月の利下げ確率が60%台まで低下している。

この状況で今日は、12月の米雇用統計が発表される。昨日の雇用関連指標に続き、雇用統計でも労働市場のひっ迫した状況が示される場合は、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期の利下げ期待が後退しよう。

米債市場では利回りに反発の圧力が高まるだろう。米金利の上昇は、外為市場で米ドル買いの圧力を高めるだろう。

また、強い雇用統計は米国株の下落要因にもなり得る。株安(リスク回避相場)も米ドル買いの要因となろう。

一方、非農業部門雇用者数変化が市場予想を下回る場合は、労働市場の軟化が意識されることで、「米金利の低下→米ドル売り」の展開が予想される。

非農業部門雇用者数変化の伸びが抑制され、かつ失業率が予想以上に上昇する場合は、米ドル売りの進行が予想される。

米国の雇用統計 各項目の動向:月次 2022年12月以降

米国の雇用統計 各項目の動向:月次 2022年12月以降 ブルームバーグのデータで作成 / 赤の棒グラフとドット:市場予想

ドル円の見通しとチャートポイント

145.00レベルの突破と新たなレジスタンス水準の見極めが焦点に

能登半島地震を受け、日銀による早期のマイナス金利解除の可能性が後退していることはドル円(USD/JPY)のサポート要因となろう。

年初からの円売りを受けドル円は現在、200日線だけでなく短期のレジスタンスラインをも完全に突破する状況にある。

このタイミングで今晩の12月米雇用統計が労働市場の底堅さを示す場合、ドル円は「米金利の上昇→米ドル買い」を受け、さらに上値をトライする展開が予想される。

本日、ドル円の上昇局面で注目したいのが145.00レベルの突破である。この水準は、昨年12月19日の上昇を止めた重要な上値の水準である。この時は、日銀イベントを受けた円売りが上昇の土台となった。

日銀による早期の政策転換の可能性(1月会合でのマイナス金利解除の可能性)が後退している現在の状況を考えるならば、強い雇用統計は145.00レベルを突破するきっかけとなるだろう。

なお145.00レベルは、昨年の11月下旬に相場の反発を何度も止めた水準149.75レベルと12月28日安値140.24レベルの半値戻しの水準にあたる(一番下の4時間足を参照)。テクニカルの面でも145.00レベルの攻防は、今日の上昇局面での重要な焦点となろう。

ドル円のチャート:日足 23年11月以降

ドル円のチャート:日足 23年11月以降 TradingViewが提供するチャートで作成

145円台へ上昇する場合の焦点は?

ドル円(USD/JPY)が145円台へしっかりと上昇する場合は、146.00レベルのトライが次の焦点となろう。

具体的には、146.10前後のトライおよびブレイクとなるか?この点に注目したい。

日足チャートでは、146.08レベルが半値戻しの水準にあたる(上のチャートを参照)。

一方、4時間足チャートでは、146.11レベルがフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる(下のチャートを参照)。


反落局面での焦点は?

4時間足のストキャスティクスとRSIはともに、短期的な相場の過熱感(買われすぎ)を示している。ゆえに、12月の米雇用統計で労働市場の軟化が確認される場合は、「米金利の低下→米ドル安」を受け、ドル円(USD/JPY)は反落することが予想される。

米ドル安の影響を現在の円安が相殺する可能性があることを考えるならば、まずは200日線(今日現在143.25レベル)がサポートラインへ転換するかどうか?この点を確認したい。

ドル円がこの移動平均線をトライするシグナルとして、4時間足で示したフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準143.76レベルの攻防に注目したい(下のチャート、赤ラインを参照)。この水準の下方ブレイクは、200日線をトライするシグナルと想定しておきたい。

非農業部門雇用者数変化のほか、失業率も労働市場の軟化を示す場合は米ドル安の進行が予想される。このケースでのドル円は、143.76レベルの下方ブレイクと200日線を視野に下落幅が拡大する展開を想定しておきたい。200日線の攻防は、143円台を維持する攻防として注目したい。

さえない雇用統計の影響を受け来週以降も米ドル安が続く場合は、ドル円の143円ブレイクとレジスタンスからサポートの水準へ転換する可能性のある142.85前後の攻防が焦点として浮上しよう(下のチャート、赤ラインを参照)。

ドル円のチャート:4時間足 23年11月以降

ドル円のチャート:4時間足 23年11月以降 TradingViewが提供するチャートで作成

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