日米金融政策のスタンスとドル円のテーマ / ドル円とユーロドルのチャートポイント
日米金融政策スタンスの差と国内経常収支の悪化が意識され円安が加速している。ドル円は調整の反落を想定しながらも上値トライを意識する局面にある。ユーロドルは21日線の攻防が焦点に。それぞれのチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
日米金融政策のスタンスとドル円のテーマ
【サマリー】
・日米金融政策スタンスの差とドル円のテーマ
・目先の円買い要因は「円安のけん制発言」
・ドル円の焦点は123円台への上昇
・ユーロドルは21日線と1.0960レベルの攻防が焦点に
・日米金融政策スタンスの差とドル円のテーマ
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は今月21日、高インフレを抑制するため0.5ポイントの利上げを行う可能性について言及してきた。
これを受け、短期金融市場では米利上げペースの加速が意識され、今年の12月までに2.0~2.25%のレンジまでFRBが政策金利を引き上げる可能性を60%以上の確率で織り込み始めている。早ければ5月の連邦公開市場委員会(FOMC)でバランスシートの縮小に着手してくる可能性もある。
一方、日本銀行(日銀)は、今月17~18日に開催された金融政策決定会合で現行の金融緩和政策の維持を決定した。黒田総裁からの円安についてのけん制発言もなかった。
日米の金融政策スタンスの差が鮮明となってきたことを考えるならば、ドル円(USDJPY)は調整の反落を挟みながら、新たなレジスタンスポイントを探ることがテーマとなろう(3月28日時点の高値は122.43レベル)。
ドル円のチャート
・目先の円買い要因は?
3月以降、日本円は米ドルに対して5.7%超下落している。クロス円でも円安が急速に進行している。短期間で下落幅が拡大した円相場の動向を考えるならば、今週は調整の円買いが入る可能性がある。しかし、上で述べた日米金融政策スタンスの差や国内経常収支の悪化(それが常態化する可能性)も考えるならば、円買いは限定的と予想する。
円を買い戻す材料として目先注目しておきたいのが、「円安のけん制発言」である。
国内では物価に上昇の圧力が高まっている。賃金が上がらない状況で円安を放置すれば、「インフレの加速→個人消費の縮小→景気の後退」だけでなく、政治の問題として意識される可能性も高まろう(今年7月に参院選が控えている)。「株安→円買い」というトレンドが崩れている以上、目先の円買い材料として、日本国内からの円安に対するけん制発言の有無に注目しておきたい。
円相場のパフォーマンス(3月以降)
ドル円とユーロドルのチャートポイント
・ドル円のチャートポイント
今週のドル円(USDJPY)は、123円台のトライが焦点となろう。123円台へ上昇後、この水準を維持する場合は、2015年後半に相場の上値を抑えた123.60~70ゾーンのトライおよびゾーンの上方ブレイクとなるか?この点に注目したい。
123.60~70ゾーンの突破にも成功する場合は、2015年6月の高値125.85レベルを視野に上昇幅の拡大を想定しておきたい。
一方、短期間でドル円の上昇幅が拡大したことを考えるならば、今週は調整の反落も想定しておきたい。
ドル円の反落材料として注目しておきたいのが、上で述べた円安のけん制発言である。また、「米金利の低下→米ドル安による反落」も想定しておきたい。しかし、これらの要因でドル円が反落しても、日米金融政策スタンスの差と経常収支の悪化(それが常態化する可能性)が意識されている現状を考えるならば、下落幅は限定的と予想する。
ドル円が反落する場合、まずはサポートポイントとして意識されるムードが出てきた121円台の維持が焦点となろう。
120円台の攻防へシフトする場合は、フィボナッチ・リトレースメント23.6%および10日線(EMA)の攻防に注目したい。前者のテクニカルポイントは、今月23日に相場をサポートした経緯がある。10日線を下方ブレイクする場合は、120円の維持が焦点として浮上しよう。
ドル円のチャート
・ユーロドルのチャートポイント
対ユーロでもジワリと米ドル買いの圧力が高まり、上値の重い印象を市場参加者に与えている。テクニカルの面でその一因となっているのが、21日線(SMA)である。
今週のユーロドル(EURUSD)は、この移動平均線の攻防に注目したい。ユーロドルの戻りが21日線で止められる場合、サポートポイントとして意識されている1.0960の下方ブレイクを意識したい。この水準を完全に下抜ける場合は、1.0900トライを想定しておきたい。
通貨オプション市場のリスクリバーサルを確認すると、ユーロプットの動きが一服している。さえない米指標データなどを理由にユーロドルが21日線の上方ブレイクに成功する場合は、レジスタンスポイントとして意識され始めている1.11レベルの攻防に注目したい。3月10日以降、この水準をトライするもローソク足の実体ベースでの突破には失敗し続けている。同じ状況が続けば、地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。
ユーロドルのチャート
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