目先の焦点は米CPI 実質金利との相関が高まる米ドル相場 / ドル円とユーロ円のチャートポイント
目先の焦点は4月の米インフレ率(CPI)。米ドル相場のトレンドは金利、特に実質金利の動きに左右される可能性がある。ドル円とユーロ円のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
目先の焦点は米CPI 実質金利との相関が高まる米ドル相場
【サマリー】
・目先の焦点は米CPI / 米金利の反応に注目
・米実質金利との相関性が高まる米ドル相場
・ドル円は短期的な反落を警戒
・ユーロ円は21日線の攻防が焦点に
・米CPIと米金利の反応
各市場の参加者は、今晩の4月米消費者物価指数(CPI)の内容に注目している。4月以降、原油先物価格(WTI)の上昇が抑制されている状況を考えるならば、3月と比較してインフレ率は低下することが予想される。
今回のCPIで注目すべきは、内容が予想以下となる場合の米金利の反応である。インフレのピークアウトが意識されてなお米金利が上昇で反応する場合は、連邦準備制度理事会(FRB)の期待どおりにインフレ率が低下しないリスクを米債市場の参加者が意識しているシグナルとなろう。
このケースでは、外為市場での米ドル買いを想定しておきたい。米金利の上昇自体が米ドル相場のサポート要因になる一方、「米金利の上昇→米株安」によるリスク回避の米ドル買い(対資源国通貨や新興国通貨での米ドル買い)の展開も予想されるからだ。
米消費者物価指数(CPI)のチャート
・米実質金利と米ドル相場の関係
4月米CPIが予想以下となっても、米ドル相場の低下幅は限定的となるか、もしくは上昇する可能性を意識しておきたい。
米ドル相場のトレンドに影響を与える実質金利(10年)の動きを確認すると、完全にマイナス圏から脱している。この動きにドルインデックス(DXY)のトレンドを重ねてみると、今年3月に米実質金利のマイナス幅が縮小トレンドへ転じた後に、ドルインデックスが上昇トレンドを形成していることがわかる。
実質金利と米ドル相場との相関性が高まっている現状を考えるならば、予想以下のCPIが長期金利以上に期待インフレ率の低下を促し、実質金利が上昇するという展開があり得る。実質金利が上昇トレンドを維持する場合、米ドル相場のサポート要因になると予想する。
米実質金利(10年)とドルインデックスのチャート
ドル円とユーロ円のチャートポイント
・ドル円のチャートポイント
ドル円(USDJPY)は、130円割れで押し目買いの意欲の強さが見られる。10日のレポートでも指摘したとおり、下値の焦点は130円レベルでの底固めにある。
しかし、今は反落リスクも警戒しておきたい。昨日の動きを確認すると、130.50-60レベルまでは上昇するが、このゾーンの突破に失敗する状況が続いた。通貨オプション市場のリスクリバーサル(1週間)はドル・プットへ傾きつつある。
今日のドル円が上下に動くならば米CPIの発表後になると思われる。ドル円の下落幅が拡大する場合は、10日線のトライ&ブレイクを警戒しておきたい。しかし、129.00レベルやフィボナッチ・リトレースメント61.0%の水準128.61レベルを完全に下抜けない限り、ドル円の上昇トレンドが続くと予想する。
一方、ドル円が上昇する場合は131円台への再上昇と、直近高値131.34レベルのトライ&ブレイクとなるか?この点に注目したい。実際に131.34レベルをブレイクする場合は、この水準がサポートポイントへ転換するかどうか?この点にも注目しておきたい。
ドル円のチャート
・ユーロ円のチャートポイント
ユーロ円(EURJPY)は、ドル円(USDJPY)の堅調地合いとユーロドル(EURUSD)の軟調地合いとの間で板挟みの状況となっている。短期レジスタンスラインが形成されつつあること、上で述べたドル円のリスクリバーサルの動きを考えるならば、目先は下落リスクを警戒しておきたい。
ユーロ円が下値トライとなる場合、テクニカル面での焦点は21日線(SMA)の攻防となろう。この移動平均線は、先月29日からサポートラインとして意識されている。ゆえに、ユーロ円がこの移動平均線を下方ブレイクする場合は、下落幅の拡大を意識しておきたい。
ユーロ円が21日線以下の攻防となる場合、次の下値ポイントは136.50レベルおよびフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準136.31レベルの維持となろう。前者は5月上旬のサポートポイントとして意識された経緯がある。
一方、ドル円が上昇する場合、ユーロ円もこの動きに追随する展開を想定しておきたい。このケースでの焦点は、短期レジスタンスラインのトライ&ブレイクである。このラインは今日現在、138.05レベルで推移している。
ユーロ円のチャート
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