4月米CPIは米ドル売りの要因に / ドル円の見通しとチャートポイント
4月の米国消費者物価指数(CPI)は米金利の低下と米ドル売りの要因となった。今日は4月の米国生産者物価指数(PPI)が発表される。4月CPIに続きインフレ鈍化の傾向が確認される場合は、米ドル安の進行を想定しておきたい。今日のドル円の見通しは?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※英中銀イベントの焦点とポンドドルの展望についてはこちらのレポートをご覧ください
サマリー
・4月の米国CPIは米金利の低下と米ドル売りの要因に
・ドルインデックス(米ドル相場)は21日MA で上値の重い展開が続く
・ドル円の見通しと上下のチャートポイントについて
米国CPIと市場の反応
米債市場の反応
米労働省が10日に発表した4月の消費者物価指数(CPI)は、前年同期比で4.9%の伸びとなった。エネルギーと食品を除くコア指数の上昇率は同比で5.5%となった。
米債市場では4月米CPIの結果をインフレ鈍化の傾向が続いていると捉えられ、利回りが低下した。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは4.0%を割り込む展開となった。また、10年債利回りも低下した。4月米雇用統計の強い内容を受けて発生した米金利の反発トレンドに終息感が漂い始めている。
米金利のチャート
米国株と米ドル相場の反応
米国の株式市場では、米金利の低下が好感されハイテク株買いの展開となった。ハイテク銘柄の比率が高いナスダック100指数(NDX)は年初来高値を更新した。一方、S&P500種株価指数(SPX)も反発して引けた。
米金利の低下と米株高が同時に発生したことで、外為市場では米ドル売り優勢の展開となった。米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は21日MA(101.60レベル)がレジスタンスラインとなり、サポートポイントの101.00レベルを目指す状況が続いている。
今日は4月の米国生産者物価指数(PPI)が発表される。4月CPIに続きインフレ鈍化の傾向が確認される場合、ドルインデックスは101.00ポイントのトライおよび下方ブレイクを警戒したい。
実際にドルインデックスが101.00ポイントを下方ブレイクする場合は、重要サポートポイントの100.82トライが焦点として浮上しよう。
ドルインデックスのチャート
ドル円の見通しとテクニカル分析
続落する場合の注目ポイントは?
上で述べたとおり、昨日の外為市場は4月の米国消費者物価指数(CPI)の結果を受け米ドル売り優勢の展開となった。
ドル円(USDJPY)は10日MA(135.26レベル)の突破に失敗しただけでなく、サポート転換のムードが出ていた134.75レベル(リトレースメント61.8%の水準)や21日MA(134.56レベル)をもあっさりと下方ブレイクした。
日足ローソク足の陰線の大きさやMACDでデッドクロスが示現していることも考えるならば、反発トレンドの転換を警戒する局面へシフトしている。ゆえに今日は、ドル円の続落を警戒したい。
ドル円がさらに下値をトライする場合は、先週相場をサポートした50日MA(133.71レベル)のトライそして維持が焦点となろう。
ドル円が50日MAを下方ブレイクする場合、注目すべきはこの移動平均線の “レジスタンス転換” である。この状況が確認される場合は、1月の安値127.22レベルを起点とした短期サポートラインを視野に下落幅の拡大を警戒したい。
ドル円が50日MAの上で反発しても21日MAがレジスタンスへ転換する場合は、やはり地合いの弱さを市場参加者に印象付けるだろう。このケースが確認される場合は、50日MAのトライおよび下方ブレイクを常に意識しておきたい。
ドル円のチャート
反発の局面では10日MAのブレイクが焦点に
ドル円(USDJPY)のリスクリバーサルの動向を確認すると、1ヶ月と3ヶ月のそれらはドルプットへ傾くトレンドが後退している。テクニカルの面では続落を意識する状況にあるが、ドル円が134円の維持に成功する場合は反発相場を想定しておきたい。
ドル円の反発局面で注目すべきは、レジスタンスラインとして相場の上昇を止めている10日MAのブレイクである(日足ローソク足の実体ベースでのブレイク)。これに成功する場合は、昨日突破に失敗した135.50レベルの上方ブレイクが次の焦点となろう。
ドル円が135円ミドル以上の攻防となる場合は、リトレースメント76.4%の水準135.96レベル(136円)のトライの可能性が高まるだろう(上の日足チャートを参照)。
ドル円とリスクリバーサルのチャート
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