ECB理事会の焦点とユーロドルの見通しについて
今週27日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される。今回の理事会で注目すべきこととは?そしてユーロドルの見通しは?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・7月のECB理事会では追加利上げの可能性を探ることが焦点となろう
・米利上げサイクルの終了とECBの追加利上げが意識される場合は、
ユーロドルが再び上値を目指す展開を想定しておきたい
・ユーロドルは1.11レベルがレジスタンスからサポートへ転換する兆しが見られる
・目先、注目しておきたいユーロドルのチャートポイントについて
ECB理事会の焦点
焦点は追加利上げの可能性
今週は、日米欧の中銀イベントが重なる「中銀イベントウィーク」である。欧州中央銀行(ECB)は27日、理事会を開催する。
外為市場では0.25%の利上げが完全に織り込まれている。よって今回の理事会の焦点は、追加利上げの可能性を見極めることにある。
この点について短期金融市場の織り込み状況を確認すると、9月以降の理事会であと1回の追加利上げを意識する状況にある。
短期金融市場が想定する中銀預金金利の予想推移
高止まりするコアインフレ率
日米欧のコアインフレ率(前年同月比)を比較すると、ユーロ圏のそれは5.5%と日米のそれらと比較して高止まりしている。
ゆえに、定例会見でラガルドECB総裁がインフレ抑制のために追加の利上げを志向すれば、外為市場では対米ドルや日本円でユーロ高の展開が予想される。
日米欧のコアインフレ率
ユーロドルの見通しとチャートポイント
ユーロドルの“サポート転換”
ECB理事会の前日に、連邦公開市場委員会(FOMC)の動向が判明する。短期金融市場では、22年3月から始まった一連の利上げサイクルが、7月会合で終了することを想定する状況にある。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の定例会見後に短期金融市場で大きな変化が見られない場合、ユーロドル(EUR/USD)は米ドル安にサポートされ上値をトライすることが予想される。
今のユーロドルは、テクニカルの面で上昇しやすい地合いにある。この点を日足チャートで確認すると、先週の反落相場が、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準1.1107レベルで止められていることが分かる。
すぐ下の水準1.1100レベルは、4月の下旬から5月の上旬にかけてレジスタンスポイントとして意識された経緯がある。ゆえに38.2%の水準でひとまず下落が止まっている状況は、1.1100レベルがサポートポイントへ転換する可能性を示唆している。
ユーロドルのチャート:日足
なお、FOMCやECB理事会を前にユーロドルが1.11レベルを下方ブレイクする状況にある場合は、1.10レベルがサポートへ転換するかどうか?この点を確かめたい。
このチャートポイントは、テクニカルの面でフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる(上の日足チャートを参照)。
反発局面での焦点は?
FOMCで米利上げサイクルの終了が意識される一方、ECB理事会で追加利上げの可能性が高まる場合は、1.11レベルまたは1.10レベルのサポート転換を予想する。
予想どおりにユーロドル(EUR/USD)のサポート転換が確認される場合は、フィボナッチ・リトレースメントの各水準の攻防に注目したい(下の1時間足チャートを参照)。
まず最初に注目したいのは、23.6%の水準1.1147レベルの攻防である。この水準は、先週後半に相場の反発を止めた経緯がある。
38.2%の水準1.1172レベルは、サポートからレジスタンスへ転換するかどうか?この点を見極めるチャートポイントになろう。このテクニカルポイントは、今日の欧州時間序盤に短期レジスタンスラインと交錯する。
今日以降、ユーロドルが短期レジスタンスラインをも難なく突破する場合は、1.12台への上昇を想定しておきたい。このケースでは、先週20日の欧州時間に相場の反発を止めた経緯のある61.8%の水準1.1212レベルや19日の東京時間から欧州時間序盤の反発を止めた76.4%の水準1.1236レベルの突破が焦点となろう。
ユーロドルのチャート:1時間足
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