底堅さを維持するユーロ相場 / ユーロ円の展望について
直近の強い経済指標とECBの利上げスタンスによりユーロ相場は底堅さを維持している。調整の反落を挟みながらユーロ円は新たなレジスタンスの水準を探る展開が続くことが予想される。今日の見通しは?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・ユーロ圏の経済指標では景気懸念を後退させる内容が続いている
・良好な経済指標とECBの利上げスタンスはユーロ相場のサポート要因に
・ユーロ円、今日の見通しとチャートポイントについて
・ドル円、今日の見通しとチャートポイントについて
景気懸念の後退とECBの利上げスタンスがユーロ相場をサポート
底堅さを維持するユーロ相場
26日の外為市場では、ユーロが主要な通貨に対して上昇する展開となった。ユーロドル(EURUSD)は1.1095レベルの新高値を付け、1.11トライの可能性が高まっている。
一方、ユーロ円(EURJPY)はローソク足の実体ベースで146.70レベル(22年12月高値)の維持にかろうじて成功し、この水準の “サポート転換” の可能性を残した。ユーロポンド(EURGBP) も10日MA(0.8835レベル)にサポートされ、4月以降の反発基調を維持している。
ユーロ相場の動向:4月26日
良好な経済指標が続く
5月のドイツGFK消費者信頼感調査は-25.7と前月の-29.3を上回り、13か月ぶりの水準まで改善した。4月の購買担当者景気指数(PMI)速報値以降、直近の欧州経済指標では景気懸念を後退させる良好な内容が続いている。
ドイツGFK消費者信頼感調査の推移
欧州中央銀行(ECB)のデ・ギンドス副総裁は、コアインフレの粘着性に振れながらも景気後退を回避できるとの見通しを示した。良好な経済指標とデ・ギンドス副総裁の言動が、昨日のユーロ相場をサポートしたとの見方がある。
また、ドイツ政府は26日、春の経済予測を公表した。23年のGDP成長見通しが0.4%と、従来の0.2%から上方修正された。一方、同年のインフレ見通しは5.9%と、従来の6.0%から下方修正された。ハーベック経済相は厳しい環境が続いているとしながらも、緩やかな回復が進行していると述べた。
良好な経済指標の内容で域内経済の先行きリスクが後退している状況とラガルドECBがインフレを抑制するために利上げ継続のスタンスを維持していることを考えるならば、ユーロ相場は金融政策スタンスの差が意識され、対米ドルや日本円で底堅さを維持する展開が予想される。
ユーロ円の見通しとテクニカル分析
新たなレジスタンスの水準を意識する状況が続く
ユーロ円(EURJPY)は、昨年12月の高値146.72レベルをローソク足の実体ベースでかろうじて維持することに成功した。
良好なユーロ圏の経済指標や日欧中銀の政策スタンスの差(緩和継続の日銀と利上げ継続のECBの政策スタンスの差)を考えるならば、ユーロ円は調整の反落を挟みながらどこまで上昇するのか?引き続きこの点が焦点となろう。
ユーロ円の上昇局面では、今月25日に付けた高値148.62レベルのブレイクが焦点となろう。
だが、さらなる上値トライを想定するためには、もうひとつの状況を確認したい。それが、昨年10月21日の高値148.40レベルの “サポート転換” である。
25日のようにリスク回避相場(株安と米金利の低下が同時に発生する局面)では、ユーロ円の反落相場が予想される。148.40のブレイクに成功した後、調整の反落局面で148.40がサポートへ転換する場合は、地合いの強さを市場参加者に印象づけることになろう。
21日MAと145.50の攻防
ユーロ円の反落局面で146.72レベルや148.40レベル(148.40以上の攻防へシフトする場合の焦点)が “サポート転換” に失敗する場合は、リスク回避相場が進行している状況が予想される。ゆえに、ユーロ円の調整相場(反落)が深くなることを想定しておきたい。
このケースで注目しておきたい水準は、21日MA(145.93 レベル)と今年2月下旬から4月上旬にかけて相場の上昇を止めた145.50の維持である。これらの水準で相場が反転する場合も、ユーロ円の地合いの強さを市場参加者に印象付けるだろう。
なお、MACDは上昇圧力の後退を示唆するムードにある。株式と米金利の動向次第ではあるが、MACDでデッドクロスが示現する場合は、21日MAまたは145.50を目指す(調整の反落が深まる)シグナルと想定しておきたい。
ユーロ円のチャート
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