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焦点はジャクソンホール会議での中銀トップの言動 / ユーロドルの見通しとチャートポイント

経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でパウエルFRB議長をはじめとした中銀トップ達が何を語るのか?外為市場の参加者の関心はこの点に集まっている。特に、インフレリスクと景気不安に直面しているラガルドECB総裁の言動に注目したい。ユーロドルの見通しは?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・24日の外為市場は、米金利の上昇を受け米ドル買い優勢の展開となった
・今日の焦点は「ジャクソンホール会議」での中銀トップ達の言動となろう
・ユーロドルは短期サポートラインを下抜け、下値トライのムードが高まっている
・ユーロドルが1.08を下方ブレイクする場合は、さらに下値を目指す可能性が高まろう


24日は米ドル買い優勢の展開

24日の外為市場は、米ドル買い優勢の展開となった。

この日発表された新規失業保険申請件数は23.0万件と、予想の24.0万件を下回った。失業保険継続受給者数も170.2万人と、予想の170.8万人以下となった。

アメリカ労働市場の堅調さが意識され、この日の米債市場では各年限での利回りが上昇した。

米金利の上昇は外為市場で米ドル買いの要因となり、この日の米ドル相場は対主要通貨で上昇する展開となった。

一方、対トルコリラでは米ドル安の展開となった。トルコ中銀は7.5%の大幅利上げを決定し、政策金利(1週間物レポ金利)を25.00%まで引き上げた。市場予想(0.25%利上げ)を大幅に超える利上げの決定を受け、この日のトルコリラは米ドルをはじめとした主要通貨で総じて上昇する展開となった。

米ドル相場の動向:8月24日

米ドル相場の動向:8月24日 ブルームバーグの為替データをもとに作成 / 基準日:8月23日

注目材料は中銀トップ達の言動

ジャクソンホール会議での中銀トップ達の言動
24日夜(日本時間25日午前)、米ワイオミング州でカンザスシティー地区連銀が主催する経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開幕する。

テーマは「グローバル経済の構造転換」。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長やラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁の他、植田日銀総裁が初めて参加する。

パウエルFRB議長とラガルドECB総裁の講演に外為市場の参加者の注目が集まっているが、植田総裁も討論会の参加などで発言の機会があると思われる。

パウエルFRB議長は、インフレ抑制とデータ重視のスタンスを維持すると思われる。植田日銀総裁から経済情勢や金融政策についての発言がある場合は、今後入手するデータと国内外の経済情勢を注視しながら、慎重に緩和政策からの脱却を模索する姿勢を示す公算が大きい。

日米中銀トップの姿勢に変化が見られない場合、両国の金融政策スタンスの差が、引き続きドル円(USD/JPY)の下支え要因となることが予想される。

ラガルドECB総裁は何を語るのか?
今年のジャクソンホール会議で筆者が注目しているのが、日本時間26日4時に予定されているラガルドECB総裁の講演である。

今週23日に発表された8月購買担当者景気指数(PMI)では製造業だけでなくサービス業までが、景気判断の分かれ目である「50」を下回った。サービス業の不振に伴い総合PMIは47.0まで低下した。

ユーロ圏 購買担当者景気指数(PMI)の推移

ユーロ圏 購買担当者景気指数(PMI)の推移 S&Pグローバルとブルームバーグのデータをもとに作成 / 月次:22年7月以降


ユーロ圏経済の先行き懸念が高まっていることで、短期金融市場では現状、9月理事会の利上げ確率が30%台まで低下している。

ラガルドECB総裁は、データ次第で利上げも利上げの一時停止もあり得ることを前回の理事会後の会見で述べている。景気の先行き懸念が経済指標で確認されるなか、ラガルドECB総裁が講演で景気重視の姿勢を示す場合は利上げ期待が後退しよう。

ECBの利上げ期待が後退する場合、外為市場では今後、ユーロ売りの圧力が高まることが予想される。


ユーロドルの見通しとチャートポイント

短期サポートラインを下方ブレイク
上で述べたラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁の講演で、これからはインフレよりも景気動向を重視する等、市場参加者の利上げ期待を後退させる発言内容がある場合、ユーロ相場の売り圧力が高まることが予想される。

ユーロドル(EUR/USD)は昨日、短期サポートラインを下方ブレイクした。MACDはゼロラインを下回る状況で低下トレンドを維持し、現在のユーロドルの弱さを示唆している。これらテクニカルの動向を考えるならば、ユーロドルは下値トライを意識する局面にある。

今日もユーロドルが下落する場合、目先の焦点は200日MAの攻防となろう。この移動平均線は今日現在、1.0802レベルで推移している。ゆえに200日MAの攻防は、1.08台を維持できるかどうか?この点を見極める攻防である。

ユーロドルが日足ローソク足の実体ベースで1.08(200日MA)を完全に下方ブレイクする場合は、市場参加者に地合いの弱さを印象付けよう。

なお、今日の早朝からさっそく1.08(200日MA)を下方ブレイクする局面が見られている(レポート掲載時点の安値は1.0792レベル)。

ユーロドルのチャート:日足 23年3月以降

ユーロドルのチャート:日足 23年3月以降 TradingView提供のチャートで作成


上下のチャートポイント
ユーロドル(EUR/USD)が1.08(200日MA)を日足ローソク足の実体ベースで完全に下方ブレイクする場合、次の焦点はフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準1.0786レベルの攻防となろう(下チャートの青ラインを参照)。この水準での焦点は、“サポート転換”の確認である。

ユーロドルが1.0780台をも難なく下方ブレイクする場合は、1.07台の維持が焦点となろう。1.06955レベルは、3月15日の安値1.0516レベルを基準としたフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準にあたる(下チャートの緑ラインを参照)。

一方、ユーロドルが1.08レベルや1.0780台で反発する場合は、8月に入り相場の反発を止めている10日MAのトライが焦点となろう。この移動平均線は、昨日の上昇も止めた経緯がある。今日現在、1.0863レベルで推移している。

ユーロドルのチャート:日足 年初来

ユーロドルのチャート:日足 年初来 TradingView提供のチャートで作成

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