6月米CPIと外為市場の展望/ ポンドドルの注目ポイントについて
外為市場では米ドル安が進行している。今日の注目材料はアメリカの6月消費者物価指数(CPI)となろう。今回のCPIで注目すべきことは?CPI後の外為市場の展望は?そして賃金インフレを受け上昇幅が拡大しているポンドドルの焦点は?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
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サマリー
・米金利の上昇が抑制され外為市場では米ドル安が進行している
・6月の米消費者物価指数(CPI)と外為市場の展望について
・ポンドドルのトレンドは短期と長期の視点で考える必要がある
・6月米CPIが米ドル安要因となればポンドドルは1.30トライを意識する状況に
米ドル安が進行中
6月の米雇用統計以降、外為市場では米ドル安が進行している。
米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は102.00ポイントの水準を完全に下方ブレイクし、今年の安値水準101.00レベルを視野に下落幅が拡大している(下のラインチャートを参照)。
筆者は、6月雇用統計を受けた米ドル安の進行に懐疑的だった。その理由は、米金利の上昇にあった。しかし、週が明けると米金利の上昇は抑制され、長期金利は再び4%以下の水準へ低下している。また、一時5.1%を付ける局面が見られた2年債利回りも、今は4.8%台まで低下している。
米金利とドルインデックスのチャート
6月の米消費者物価指数(CPI)と外為市場の展望
インフレは鈍化の予想
米金利の上昇が抑制されている状況で、今日はアメリカの6月消費者物価指数(CPI)が発表される。
市場予想を確認すると、前月比の総合が0.1%(5月)から0.3%へ伸びる見通しとなっている(赤グラフを参照)。しかし、それ以外はインフレの鈍化が予想されている(青グラフとドットを参照)。
アメリカ消費者物価指数の推移
インフレの鈍化と外為市場の展望
米連邦準備制度理事会(FRB)が注視しているのが、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数(CPIコア)である。
住居費は、前年同月比で8%と高止まりの状況にある。しかし4月以降、緩やかではあるが鈍化の傾向にある。サービス価格も同じく鈍化の傾向にある。6月のCPIコアでインフレの鈍化傾向があらためて確認される場合、米金利には低下の圧力が高まることが予想される。
一方、FRBの利上げ長期化が意識されている状況でインフレの鈍化が確認される場合は米国株の上昇要因にもある。
米金利の低下と米株高が同時に発生する場合、外為市場では米ドル安がさらに進行することが予想される。ドルインデックス(DXY)は、上で述べた重要サポートポイントの101.00レベルを視野に下落幅が拡大するだろう。
一方、リスク資産との連動性が高い豪ドルや資源と関わりの深い新興国通貨は、対米ドルで上昇することが予想される。
アメリカ消費者物価指数の推移:住居費とサービス価格
CPIコアで根強いインフレ圧力が確認される場合は?
リスク要因は、CPIコアがインフレ圧力の根強さを示す場合である。
今週に入り米金利の上昇が抑制されている理由のひとつが、CPIコアの鈍化期待にあると考えられる。ゆえに、CPIコアが予想外に上昇する場合は、米金利の上昇と米国株の反落が同時に発生することが予想される。
この場合、外為市場では米ドルを買い戻す展開となろう。どの程度米ドルの買い戻しが進行するかは米長期金利の上昇幅次第だが、金利の上昇幅が限定的となっても米株安が進行する場合は、資源国通貨や新興国通貨で米ドルが買い戻される展開が予想される。
米消費者物価指数(CPI)以外の注目材料
本日、アメリカの6月消費者物価指数(CPI)以外で注目すべき材料は、各地区連銀総裁の言動である。
リッチモンド連銀のバーキン総裁がインフレについて講演するほか、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、アトランタ連銀のボスティック総裁そしてクリーブランド連銀のメスター総裁らがそれぞれ講演や討論会に参加する。6月CPIが材料視されない場合は、政策キーマン達の言動で米金利と米ドル相場が動く可能性がある。
また、日本時間の13日2時に予定されている10年債の入札結果も米金利と米ドル相場を動かす可能性がある。
ポンドドルは短期と長期の視点で考える局面に
欧州通貨もアメリカの6月消費者物価指数(CPI)でトレンドが左右されるだろう。
上で述べたとおりCPIコアでインフレの鈍化傾向が確認される場合は、米ドル安にサポートされユーロや英ポンドが上昇することが予想される(対米ドル)。
特に、5月の雇用関連指標で賃金インフレの進行が確認された英ポンドは、節目の1.30トライおよびこの水準のブレイクアウトが焦点となろう(対米ドル)。
そのポンドドル(GBPUSD)のトレンドを日足チャートで確認すると、昨年9月下旬から発生した上昇トレンドを象徴する短期サポートラインを維持する状況にある。
短期金市場では、英中銀(BOE)による利上げ政策の長期化を意識する状況にある。実際にBOEの利上げ政策が長引けば、それだけ英国経済の先行きリスクとポンド相場の急落リスクを高める要因となろう(長期的視点)。
しかし、今は利上げ政策の長期化が強く意識され、ポンドドルが上昇トレンドを維持する状況にある。ゆえに、マーケットの焦点が英国経済の先行きリスクにシフトしない限り、ポンドドルは新たなレジスタンスを見極める状況が続くだろう(短期的視点)。
ポンドドルのチャート:日足
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