楽天銀行が上場し急伸 他の銀行株は下落トレンド
楽天銀行は上場後に株価が急伸し、下落トレンドが続く他の銀行株との違いを浮き彫りにした。その一方、日本銀行の報告書は、銀行株回復の契機となるかもしれない。
楽天銀行が上場とともに急伸
楽天銀行は4月21日に公開価格1,400円で東証プライム市場に上場し、この4年間で最大のIPOとなった。
同行は預金、ローン、為替取引などのサービスを提供するオンライン銀行で、親会社である楽天グループが手掛けるEコマース事業において重要な位置を占める。
上場にこぎつけるまでに、同行は投資家が良しとする評価額に到達するのに苦心したほか、3月に米国で端を発した銀行危機の煽りを受けた。
このような見通しの不透明さや楽天グループの収益性への懸念をよそに、楽天銀行の上場は大成功となった。楽天のデジタル分野における強みを他行と比較して好材料とする買いが入り、上場初日には初値より37.9%高で取引を終えた。
楽天銀行の上場は親会社である楽天グループにとっても追い風となる。同グループは楽天モバイルの基地整備に資金を投入しており、この何年かは赤字となっていた。
楽天グループの株価は24日に1.2%高となった。同グループが楽天銀行のIPOで得た資金を他の事業にも流用するという楽観的な見方も影響している可能性がある一方、小幅高となったことから、その影響は限定的であるとも伺える。楽天銀行の24日の終値は1,988円、時価総額は約3380億円となり、株価を3%上乗せして取引を終えた。
他行は下落トレンド
大幅高となった楽天銀行のIPOは、他のメガバンク株と対照的なものとなった。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)の株価は19日から24日にかけて3.8%、みずほフィナンシャルグループ(8411)は20日の終値から24日の間に3.5%下落した。
シリコンバレー銀行(SVB)の破綻後、回復の兆候を見せていた日本の銀行株は下落トレンドが続いている上、高金利が銀行の利回りを圧迫している。日本の銀行株の価値はSVB危機以前と比較して、いまだに低い水準で推移している。
しかし、3月の底値からは回復しつつある。銀行株を対象とした東証銀行業株価指数連動型上場信託(1615)は、3月20日から4月24日の終値までの間に8.2%上昇した。
金融システムは「全体として安定性を維持している」とした日銀
SVBの破綻から始まり世界に広まった金融危機は、投資家の懸念材料として残っており、暴落前の銀行株の評価額まではまだ遠いようだ。
しかし、日本銀行は金融市場や銀行株の低迷にも関わらず、日本の金融システムは依然として安定だとしている。最新の「金融システムレポート」の中で日銀は、3月に米国で起きた金融不安の中でも、日本の金融システムは「健全かつ頑健である」とした。
また、レポートには「世界的な金融環境の引き締まりとそれに起因する様々なストレスのもとでも、わが国の金融機関は、適切な金融仲介機能を発揮し得る充実した資本基盤を有している」とした。その上で、「流動性についても、小口の粘着的な個人預金を中心とした、安定的な資金調達基盤を有している」とも記載された。
日本銀行のレポートは投資家の銀行株に対する意欲を刺激しなかったものの、銀行セクターに安定感が戻ってきているサインとなるかもしれない。
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