セル・イン・メイ(5月に売り逃げろ)とハロウィーン効果
セル・イン・メイ(5月に売り逃げろ)とは、5月にポジションを決済し10月に再度ポジションを保有せよ、という投資格言のひとつです。「セル・イン・メイ」と「ハロウィーン効果」は密接に関係しています。この記事では、両者の違いおよび投資戦略としての活用方法についてご説明します。
セル・イン・メイの意味とは
セル・イン・メイとは、5月に保有しているポジションを一度決済し、10月までマーケットから離れることをすすめる投資格言のひとつです。セル・イン・メイの戦略は、通常のバイ・アンド・ホールド(長期保有)戦略とは異なります。
セル・イン・メイは、1694年から1776年の間に英国の上流社会で始まったと考えられています。この格言の具体的な意味は「5月に株式を売って、セント・レジャー・デイ(9月第2土曜日)に再び株式を買え」ということです。これは毎年9月中旬に開催されるイギリスクラシック三冠の最後の競走である「セント・レジャー・ステークス」の競馬を引き合いにしています。
この当時、富裕な投資家は夏の間、ロンドンを離れ避暑地で過ごす慣例がありました。都市から離れている間は保有ポジションの管理ができません。このため5月に保有ポジションを一度清算する取引慣行が出来上がありました。
ハロウィーン効果について
セル・イン・メイと密接に関係するのが、「ハロウィーン効果」戦略です。これは10月31日から5月1日、または冬季の間に株の出来高が向上するという理論がベースとなっています。夏が過ぎると投資家はロンドンに戻り、ポジションを再度保有し始めます。それと引き換えに、投下された追加の資本はマーケットに大きな流動性をもたらします。
ハロウィーン効果、あるいはハロウィーン戦略とは、投資家が10月末から4月末までに株式を購入し、5月から10月までの間は他の資産クラス(年金、債券等)に集中する取引戦略のことです。
多くの金融派生商品が開発されている現代では、5月にポジションを清算するのではなく売りポジションを保有することで、想定される株価の下落を取引機会として利用することができます。その後価格が回復すると考えられている10月に入る前に売りポジションを清算し、新たに買いポジションを保有することで利益の獲得チャンスが増えます。
セル・イン・メイは有効な取引戦略か
イギリス市場の歴史を振り返ると、確かにセル・イン・メイの戦略により夏場の下落局面で損失を回避することができました。
しかし現在では、セル・イン・メイとハロウィーン効果を狙う戦略について、投資家の間で議論の対象となっています。その理由の一例として以下のFTSE100の動きが参考となります。
FTSE100は2016年5月の6185から2016年10月の6954まで上昇しました。一方、2015年11月初旬の6361から2016年2月の5536まで低下しました。そして2016年4月末に6322で終了しました。これはセル・イン・メイとハロウィーン効果の両戦略が有効でなかったことを示しています。
しかし、セル・イン・メイとハロウィーン効果を狙う戦略はタイミング戦略であり、プロの投資家に注目されてきたこともまた事実です。そこで、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を併用することで、上記の戦略を実際に導入するか否かを考えることが重要となります。
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