ファーストリテイリングの株価が4.4%下落 高島屋は2.3%上昇
高島屋の好決算は、まさに日本の老舗百貨店の復活を象徴している。一方、ユニクロを運営するファーストリテイリングは成長見通しを下方修正したことで、株価が4.4%急落し、7週間ぶりの安値をつけた。この記事で取り上げる銘柄は、時価総額に基づいて選ばれています。
高島屋が迎えた好機
好決算をきっかけに、4月12日、高島屋(8233)の株価は2.3%上昇した。一方、ユニクロを展開する衣料品大手のファーストリテイリング(9983)は、成長見通しを下方修正したことで株価が4.4%下落した。
2月期の決算において、高島屋の純利益は前年同期比13.6%増の316億2000万円、売上高は5.1%増の4661億3400万円だった。2025年2月の通期業績予想では、純利益は前年比7.5%増の340億円、売上高は6.6%増の4970億円としている。
好決算が目立つ百貨店業界
高島屋は決算の中で、「物価上昇に賃金の伸びが追いつかない実質賃金のマイナスが続く中でも個人消費が緩やかに回復している」と指摘した。そのうえで、「インバウンド売上高もラグジュアリーブランドをはじめする高額品が好調であり、円安による客単価の上昇も売上高を押し上げた」とも述べた。
その他の老舗百貨店も好決算を発表している。国内最大手の三越伊勢丹ホールディングス(3099)の2023年12月31日までの9ヶ月間の純利益は、前年同期比59%増の311億800万円、売上高は9.4%増の4017億7100万円となった。通期予想では、純利益が23.5%増の400億円、売上高が8.1%増の5270億円になると見通している。
松屋(8237)の決算では、2月29日までの12ヶ月間の売上高として前年比19.9%増の412億5100万円、営業利益として755%増の29億7400万円を計上した。ただし、純利益は40%減の26億3100万円となった。
大丸と松坂屋ホールディングスの共同持株会社であるJ. フロント リテイリング(3086)も、4月15日に2月期の決算を発表した。2月29日時点までの12ヶ月間で、純利益は前年比110.1%増の299億1300万円、売上収益は13.2%増の4070億600万円を計上した。
ファーストリテイリングに対する投資家の見方
ファーストリテイリングが運営するユニクロは、日本のファストファッションの先駆けとなる存在だ。ベーシックなカジュアル衣装を低価格かつ高品質で提供する同社の戦略は大成功を収めた。とりわけ、外国人投資家から絶大な支持を得ており、時価総額は12兆9310億円に上る。
4月12日、ファーストリテイリングの株価は前日比4.4%安の42,160円となり、7週間ぶりの安値をつけた。今回の下落から同社の成長に暗雲が立ち込めていることを垣間見ることができる。
日経平均株価が40,888円43銭を記録した3月22日、同社は史上最高値の47,410円を更新した。4月11日に発表した2024年8月期上期決算では、前年同期比で増益となり、株価も安定して見えた。ところが一夜明けた12日、同社は売上高を200億円下方修正した。営業利益の従来予想を据え置いたものの、投資家心理が悪化し、同社の株価は大幅に下落した。
消費に前向きな訪日外国人と国内富裕層
ひと昔前までは、日本の老舗百貨店はコスト重視の近代的かつ効率的な小売業に滅ぼされる「恐竜のような業態」だと揶揄されていたものの、三越、大丸松坂屋、高島屋などは、このような危機を脱したように見える。しかし、日本が長引く景気低迷と新型コロナウイルスの大流行から脱却したのは記憶に新しいことであり、大手百貨店はこの好景気がいつまで続くのか不安に感じているはずだ。
松屋は「円安を背景に、幅広い国からの訪日外国人観光客による売上が急速に回復した」としたうえで、「富裕層を中心とした堅調な消費動向」にも言及した。
円安の後押しを受けて訪日観光がはるかに手頃となったため、2023年には、新型コロナウイルスのパンデミック以降で最多となる2500万人もの外国人観光客が日本を訪れた。また、日本株の上昇により国内の富裕層は多大な利益を得ている。
しかし、賃金上昇率がインフレ率に追いついていないため、大多数の国内消費者は依然として先行きに対する不安を抱いている。そのため、高島屋は「生活防衛意識の更なる高まりによる個人消費の減速リスク」も懸念している。
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