【米国株】アルファベット、クラウド減速で7%安 アマゾンもクラウド成長リスクに直面か 6日に決算
クラウド事業の成長性に疑問符がつきアルファベットは5日の市場で7%下落した。さえない決算となったAMDも6%安となった。6日の引け後にアマゾンが第4四半期の決算を発表する。アルファベットと同じく、クラウド事業の成長リスクが意識される場合、株高トレンドに水を差すだろう。

記事の概要
5日のアメリカ株式市場では、長期金利の低下が好感され主要な株価指数が上昇して終えた。しかし、投資家の期待を下回る決算となった企業の株価には容赦のない売りが浴びせられた。その象徴がGoogleを傘下に持つアルファベットと半導体大手のAMDだった。6日引け後にアマゾン・ドットコムが決算を発表する。アルファベットと同じくクラウド事業の成長性リスクが意識される場合、株高トレンドに水を差すだろう。
アルファベット7%安、AMD6%安 重要性増す成長見通し
5日の主要な米株価指数は上昇して終えた。この日発表された1月非製造業景気指数は52.8と、市場予想の54.0を下回った。さえない経済指標は米長期金利の低下を促し、幅広い主要銘柄が買われた。
しかし、決算で投資家の期待に応えられなかった企業の株価は下落した。その代表が、クラウド事業の成長が鈍化しているアルファベット(GOOGL)である。この日は7%下落し、テクニカルの面では50日線をトライする場面が見られた。日足のMACDはデッドクロスへ転じ弱気相場へ転じるサインが点灯した(日足チャート、黒矢印を参照)。
アルファベットの株価:2024年9月以降

出所:TradingView
5日の市場では、半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)も6%超下落した。2024年10〜12月期決算で、データセンター向け半導体の売上高が前年同期比で69%増の38.59億ドルと、ブルームバーグ予想の40.95億を下回った。成長分野での減速が響き、純利益は前年同期比で27.7%減の4億8200万ドルとなった。
中国の新興AI企業ディープシークの台頭で米ハイテク企業に対する成長性に投資家の厳しい目が向けられている。今後の決算で力強い成長性を維持できるのかどうか?この点が株価の明暗を分けることになるだろう。
アマゾン6日引け後に決算を発表、クラウド事業の成長リスクに直面か
6日の取引終了後にアマゾン・ドットコム(AMZN)が、2024年10-12月期(第4四半期 / Q4)決算を発表する。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想では、全体の売上高が前年同期比10.22%増の1,873.22億ドル、一株利益(EPS)が同比50.45%増の1.50ドルで増収増益が見込まれている。
全体の売上高と1株利益の推移およびQ4の予想:四半期毎 2022年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフ:Q4のアナリスト予想
投資家が最も注目するのは、同社の成長をけん引しているクラウド事業となろう。アルファベット(GOOGL)の第4四半期(Q4)決算ではクラウド事業の成長鈍化が示された。マイクロソフト(MSFT)も先週の第2四半期(Q2)でAzur(アジュール)の増収率が予想を下回り、クラウド事業の成長性に疑問符が付いた。決算後に株価は6%超下落し、テクニカルの面では200日線を下回る状況にある。
アマゾン・ドットコム(AMZN)のクラウド事業もアルファベットやマイクロソフトと同じく成長の鈍化が意識される可能性がある。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想では、クラウド事業の軸となるアマゾンウェブサービス(以下AWS)のQ4収益は前年同期比で19.06%増の288.17億ドルが見込まれている。営業利益は同比41.59%増の101.48億ドルが予想されている。
二桁の伸び率は一見すると堅調に見える。だが、四半期の伸びで比べるとクラウド事業の成長性には鈍化の兆しが見られる。この点を示唆しているのが営業利益率の推移である。Q4の予想は34.7%と、前四半期の38.1%から鈍化が見込まれている。また、2024年第1四半期から利益率は頭打ちの状況にある。
AWSの売上高と営業利益の推移およびQ4の予想:四半期毎 2022年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフ:Q4のアナリスト予想
2025年1-3月期(第1四半期 / Q1)決算の見通しも重要な焦点となろう。ブルームバーグがまとめた売上高と営業利益のアナリスト予想は、いずれも前年同期比で二桁の上昇率が予想されている。
投資家が重要視するのが、やはりクラウド事業の成長性となろう。Q1のAWS収益は前年同期比18.93%増の297.77億ドルが見込まれている。営業利益は同比10.84%増の104.42億ドルの予想にある。一方、営業利益率は前年同期比6.10%減の35.31%と減速が予想されている。業績見通しでクラウド事業の成長リスクが意識される場合、上昇トレンドにあるアマゾンの株価が下落する可能性がある。このケースでは、以下でまとめたサポートラインのトライを想定したい。
2025年1-3月期のアナリスト予想
・全体の売上高:1,586.37億ドル(前年同期比10.69%増)
・1株利益:1.41ドル(前年同期比44.16%増)
・AWSの売上高:297.77億ドル(前年同期比18.93%増)
・AWSの営業利益:104.42億ドル(前年同期比10.84%増)
・AWSの営業利益率:35.31%(前年同期比-6.10%)

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 2月5日時点
決算で下落なら216ドルの維持が焦点に
決算が株安の要因となれば、サポートラインへ転換しかつ240ドル突破の基点となった216ドルの維持が焦点となろう(日足チャート、黒矢印を参照)。このラインをトライするサインとして、2つの移動平均線の攻防に注目したい。
20日線は現在、サポートラインへ転換する可能性がある230ドルと交錯している。一方50日線は、昨年の9月以降サポートラインとして相場を下支えしている。50日線の下方ブレイクとレジスタンスラインへの転換は、216ドルをトライするサインとして警戒したい。
サポートライン
・230.20ドル:20日線(日足、2/5時点)、サポート転換の可能性あり
・224.01ドル:50日線(日足、2/5時点)
・216.00ドル:サポート転換した水準(日足)
株価続伸なら260ドルのトライが焦点に
日足のMACDは横ばいへ転じているがデッドクロスは確認されていない(日足チャート、黒矢印を参照)。ゼロラインを上回る水準にあることも考えるならば、決算を無難にこなす場合は3つのレジスタンスラインを目指す展開を想定したい。
最初のラインは、フィボナッチ・エクステンション76.4%の水準244.66ドルである。フィボナッチ・チャネルの100%ラインをも突破する場合は、フィボナッチ・エクステンション100%の水準253.45ドルのトライを想定したい。
関税リスクの後退も重なりアメリカ株全体で強気ムードが高まれば、253.45ドルの上方ブレイクと260ドルのトライを想定したい。
レジスタンスライン
・260.00ドル:レジスタンスライン(日足)
・253.45ドル:フィボナッチ・エクステンション100%(日足)
・245.70ドル:フィボナッチ・チャネルの100%ライン(日足)
・244.66ドル:フィボナッチ・エクステンション76.4%(日足)
アマゾンの株価チャート
日足:2024年8月以降

出所:TradingView
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