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注目の通信関連銘柄5選

世界の通信業界は好業績で業界をリードするものから、存続の危機にあるものまで明暗が分かれており、投資や取引の機会が豊富にあります。この記事では、注目の通信関連株5銘柄を紹介します。取り上げる銘柄は時価総額に基づいて選ばれています。

注目の通信関連銘柄5選 出所:ブルームバーグ

業績によって二分される世界の通信業界

世界の通信業者は、業績に大きな差があります。成長と収益性に秀でたT-モバイルUSは、親会社であるドイツテレコムの稼ぎ頭となっています。一方、英国の通信グループBTは存続の危機にひんしています。

注目の通信関連銘柄5選

ここでは、2024年に注目の通信関連銘柄5選を紹介します。取り上げる銘柄は時価総額に基づいて選ばれています。また、過去の値動きは将来の株価動向を示すものではありません。

  1. BT(BT.L)

  2. KDDI(9433.T)

  3. 日本電信電話(NTT)(9432.T)

  4. シンガポール・テレコム(STEL.SI)

  5. T-モバイルUS(TMUS.O)

一部の大口投資家は、5月にBTの成長に逆張りをしたことで大きな損失を出しました。カナダ年金制度投資委員会や米国のブラックロック(BLK)、少なくともさらに2つのヘッジファンドが同社の業績悪化を予想し、計3億ポンドにも上る空売り(ショート)ポジションを取っていました。

しかし、同社は5月16日の決算で、30億ポンドとしていたコスト削減を1年前倒しで達成したうえ、2029年度末までにさらに30億ポンドのコスト削減を行う計画を発表しました。また、150億ポンドを計上した、英全土にわたる光ファイバーブロードバンド回線への設備投資は、既にピークを超えています。

今年のフリー・キャッシュフローは13億ポンドと予想されており、来年には約15%増加し、2027年度には20億ポンド、2030年までには30億ポンドとなると見込まれています。これらの好材料に加え、同社は1株あたり0.08ポンド、3.9%の増配も発表しました。

これを受け、同社の株価は16日に17%上昇しました。同社の新CEO(最高経営責任者)であるアリソン・カークビー氏はフィナンシャル・タイムズの取材に対し、「ショートスクイーズで彼らが間違っていることを証明するのが大好きだ」とコメントしています。

決算発表までの12ヶ月間で、同社の株価は21%下落していました。この下落は競争の激化、負債の増額、ネットワーク投資の増加によるものです。

これらの問題はなくなったわけではなく、ボーダフォンUKとCKハチソン(0001.HK)傘下のスリーUKの150億ポンドにも上る合併が競争規制当局によって認可された場合、同社にとっては手強いライバルが出現することになります。また、純負債は145億ポンドにも上り、同社の年金制度は48億ポンドの損失を抱えています。3月末時点の現金及び現金同等物はわずか3.56億ポンドで、ロンドンのランドマークとなっていたBTタワーを米ホテル事業者に売却しなければならなかったのも説明がつきます。

同社を買収しようという動きもあり、イスラエルの実業家であるパトリック・ドライ氏は、出資比率を24.5%に引き上げています。また、ドイツテレコム(DTEGn.DE)は英携帯電話事業者のEEを同社に125億ポンドで売却した取引の一部として、同社株の12.06%を保有しています。

KDDIは日本第2位の通信事業者であり、金融やエンターテインメント、コンビニなど、様々な事業への多角化に成功しています。2024年3月時点の同社のモバイル主要回線数は7427万に上り、5Gネットワーク浸透率は67.2%で、固定電話の契約者数は540万でした。

同社のモバイル決済アプリには約3500万人のユーザー、クレジットカードには944万人の会員がいます。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)と合弁で行っているオンライン銀行事業では、2024年3月時点で600万件の預金口座、3兆円の住宅ローンを提供しています。同社はネット証券サービスも同行と合弁で展開しているほか、保険も販売しています。

同社はまた、商社である住友商事(8053.T)と折半してJ:COM(ジェイコム)を出資しています。J:COMは日本最大のケーブルテレビ会社であり、オンラインバンキングなども提供しています。KDDIグループ全体の金融サービス事業の売上高は、2024年3月期で2285億円でした。

同社は最近、ローソン(2651.T)株の50%を取得しており、これは商社大手である三菱商事(8058.T)の保有率と同等となります。日本のコンビニの売上高は昨年過去最高となり、ローソンは国内に14,600店舗、海外に7,200店舗を展開しています。同社はローソンが社会インフラのハブや、オンラインショッピングやドローン配達の拠点となると見込んでいます。

2024年3月期決算で同社は、売上高として5.75兆円、純利益として6378.7億円を計上しました。同社の大株主には、16%を保有する京セラ(6971.T)や、12%保有のトヨタ自動車(7203.T)があげられます。

1985年の民営化の際、NTTに課された制約は、近年になって緩和されています。国会は4月、日本最大の通信事業者である同社に義務付けられていた、技術研究結果の開示義務を撤廃しました。同社は、日本が中国から先導を奪おうとしている次世代の携帯通信ネットワーク「6G」の開発において、この義務が他社との協業を制限していると主張しています。この決定のほか、外国人を取締役に起用することや、社名を変更することも可能になりました。

与党は当初、「NTT法」を全廃することを提案しましたが、世論の反発や同社の3大競合であるKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルからの反対を受けて撤回しました。NTT法を廃止することで同社がさらに優位的な立場となるとして、180の団体が反対意見を表明しています。

現行のNTT法では、同社株の3分の1以上を政府が保持することが定められているほか、外国人投資家は3分の1以上を保有することが認められていません。政府は同社株の34.25%を保有しており、売却することで防衛費に当てたい狙いがあります。同社もまた、全国で固定回線を整備する義務から開放されることで、採算性の向上を望んでいます。

競合他社が懸念している同社の優位性拡大は、決算結果にも反映されています。2024年3月期決算で発表した13.37兆円の売上高はKDDIの2倍以上、純利益は2倍となっています。

同社は1000万回線以上の固定回線を維持しているほか、携帯電話事業であるドコモの契約数はKDDIよりも多い8994万に上ります。上場子会社であるNTTデータは同社が54%保有しており、日本最大のIT企業となっています。さらなる事業の成長を望んでいる同社は、フィリピンで最大の通信グループが抱えるデータセンター事業の49%を買収するという提案もしており、海外事業拡大を予感させています。

しかし、投資家の間で熱気はあまりなく、29日までの12ヶ月間で6%下落して152円で取引を終えました。

シンガポール・テレコムは東南アジア最大の通信事業者です。旧国営企業である同社は現在も国内最大の電話・ブロードバンド回線のプロバイダーですが、近年では純利益の大部分を国外から得ています。オーストラリア第2位の通信事業者であるオプタスを完全子会社として抱えているほか、インドと南アジア、アフリカをカバーするエアテル(29.4%)、タイのAIS(23.3%)とインタッチ(24.99%)、フィリピンのグローブ(22.3%)にも出資しています。

3月にオプタスを買収すると報道された際に株価は急騰したものの、その後同社がこれを否定したことで急落しました。

2024年3月期の純利益はオプタス関連の特別損失が響き、64%減の7.95億シンガポールドルとなり、実質純利益は10%増でした。シンガポール国外の事業は、売上高の76%、およびEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)の83%を占めています。事業の売却によって資金が流入したことで、純負債は6ヶ月前より15%減の77.8億シンガポールドルとなりました。

同社は資産の売却によってこの3年間で80億シンガポールドルを調達しました。さらに、「約60億シンガポールドル分の換金可能資産がパイプラインにあることを確認している」と主張しています。同社CFO(最高財務責任者)であるアーサー・ラング氏は、売却資金について「成長、負債返済、株主還元に当てられる」と述べました。

シンガポールの政府系ファンドであるテマセクは同社に52%出資しており、同社は公的契約の恩恵も受けています。格付け機関のフィッチ・レーティングスは同社を「堅調」と評価しています。

T-モバイルUSは世界で最も時価総額が高い通信事業者ですが、契約者数では3位につけています。時価総額は急成長と増益によって2013年以来600%以上伸びており、5月末時点では1960億ドルとなっています。

同社は2023年の新規契約数、新規顧客数、携帯電話契約数において1位でした。また、5Gネットワークのカバー率も1位となっています。

2024年第1四半期の売上高は195.9億ドル、純利益は前年同期比22%増の23.7億ドルに上りました。現金と現金同等物は同47%増の69.3億ドルでした。

同社は2020年に、業界4位であったスプリントの全株式を取得し、吸収しています。2013年にソフトバンクグループ(9984)がスプリントに72%出資した際の契約では、ソフトバンクはT-モバイルUSの株式4880万株を追加料金なく受け取る権利を獲得していました。ソフトバンクは5月13日、保有する9210万株の価値が143.77億ドルに達することを発表しました。

欧州最大の通信事業者であるドイツテレコムは同社株の過半数を保有しており、ドイツテレコムの利益の多くは同社から来ています。

これらの銘柄を取引するには

IG証券で口座を開設すれば、CFDで株式を簡単に取引することができます。

  1. 取引システムにログインし、個別株口座を選択します。
  2. 次に、取引したい銘柄名を検索し、取引チケット上で「買い」または「売り」を選択します。
  3. ロット数を選択し、「注文確定」で取引を確定します。

※詳しくは、株式CFDについてのページをご覧ください。または、コールセンターまでお問い合わせください。


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