テスラ、完全無人運転6月運行 株価上昇 決算は見通し超えられず
テスラの10-12月期決算は市場予想を下回る悪い内容。しかしマスク氏が6月から完全無人運転の有料運行を始めるとし、時間外取引で株価は上昇した。
電気自動車(EV)大手のテスラが29日に発表した2024年10-12月期決算は投資家の期待を下回る悪い内容だった。また2025年前半の投入が明言されている、より低価格な新型車についても具体的な進展への言及はなく、業績の見通しは明るくならなかった。しかし29日の時間外取引ではテスラの株価は4%超の上昇。イーロン・マスクCEOが決算会見で、完全無人運転の有料運行をテキサス州で6月から始めると述べたことが要因だ。業績を伴わない期待先行の値上がりが加速した形で、株価の今後の見通しには不安もつきまとう。
テスラの2024年10-12月期決算は総収入と利益がともに予想に届かず
テスラの10-12月期決算は、総収入が前年同期比2.1%増の257.07億ドルで、前四半期(7-9月)の7.8%から成長が鈍化した。また投資家が注目する調整ベースの1株当たり利益(EPS)は2.8%増の0.73ドルで、やはり前四半期(9.1%)から上昇率が低くなっている。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は総収入が272.11億ドル、1株当たり利益が0.75ドル。発表された実績はいずれも予想を超えられなかった形だ。
テスラの10-12月期の業績を本業である自動車事業に限ってみれば不振はさらに際立つ。自動車事業の収入は前年同期比8.2%減の197.98億ドルで、4-6月期(6.5%減)以来、2四半期ぶりのマイナスとなった。2024年通期でみても前年比6.5%減の770.70億ドルという悪い結果だ。テスラは2025年の自動車事業の見通しについては「成長に戻る」としたが、具体的な成長率については「多くの要素に左右される」と説明するにとどめている。
2025年前半の新型車投入について進展はなし 2025年の成長の道筋は不透明
また、29日の決算会見では新型車の投入についても進展はなかった。バイブハブ・タネジャCFOは決算会見で、「2025年により低価格なモデルを立ち上げる軌道に依然として乗っている」としたが、具体的な投入時期については言及していない。
テスラは1年前にあたる2024年1月24日の決算会見で、2024年の販売台数の伸びが2023年の実績よりも「著しく低くなる」と説明。実際に2024年の販売台数は前年比1.07%減と不振だった。一方、マスク氏は10月23日の決算会見で2025年の販売台数は「おおざっぱな想定として20-30%の成長」を見込んでいるとして株価を上昇させた。しかし今回の決算発表では具体的な道筋は明らかにならなかった形だ。
時間外取引で株価上昇 完全自動運転の有料サービスを6月開始へ
ただ、それでもテスラの株価は29日の時間外取引で、直近の終値から4%程度の上昇をみせた。決算会見でマスク氏が「人間の監視を必要としない完全自動運転」の運行を「6月にテキサス州オースティンで有料サービスとして立ち上げる」と述べたことが歓迎されたからだ。カリフォルニア州の自社工場の敷地では数千台の無人のテスラ車が毎日走っており、「同じことをオースティンでも行う」とした。年末までにアメリカ国内の多くの地域で監視なし自動運転を始めるともしている。
テスラの株価は2025年の販売への期待とともに、マスク氏がドナルド・トランプ大統領との蜜月関係を築いていることでも上昇してきた。テスラの株価の今後の見通しは引き続き、新型車投入や無人運転立ち上げといった公約を実現できるかにかかってきそうだ。
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