2019年の米ドル相場を振り返る②
24日のレポートに続き、今回も米ドル相場を軸に今年の為替市場を振り返ります。詳細はマーケットレポートをご参照ください。
・他通貨売り以外の米ドル高要因
2019年も残すところあとわずか。今月24日のレポート「2019年の米ドル相場を振り返る①」に続き、FEDの緩和スタンス転換にもかかわらず、なぜ今年の米ドル相場は米ドル高優勢で推移する局面が多く見られたのか? 言い換えれば、なぜ米ドル安圧力が高まらなかったのか?この点について考えてみたい。
24日のレポートでは、FEDが連続利下げに追い込まれた7月以降、外為市場ではむしろ米ドル高トレンドが形成されたこと、その背景にあったのが欧州通貨、オセアニア通貨そして新興国通貨への売り圧力が高まったこと、そしてこれら通貨に売り圧力が高まった理由として、①ブレグジット・リスク(英国政治の混乱)、②長引く欧州経済の不振、そして③米中対立の長期化を挙げた。
しかし、上記の相場状況のみでは「FEDの緩和スタンス≠米ドル安」の説明力としては弱い。なぜなら10月以降、ドルインデックス(米ドル相場のおおまかな方向性を示す指数)は夏のドル高から一変、10月以降は下落トレンドを形成しているからだ。10月30日のFOMCを最後にFEDの連続利下げがひとまず終息したこと、それに伴い米長期金利(以下米金利)が反発基調へ転じていることも考えるならば、本来であれば米ドル高トレンドは10月以降形成されるはずである。この謎を解く鍵として筆者は米ドルの需給に注目した。そしてこの需給の変化が「夏の米ドル高」「秋の米ドル安」の要因のひとつだったと考えている。
【ドルインデックス】
・レポ金利の急騰と資金供給
今年9月17日、米国の短期金融市場で翌日物レポ金利が一時10%まで急騰する局面が見られた。様々な理由が指摘されたが、資金としての米ドルが短期金融市場で調達されていることを考えるならば、金利の急騰は米ドルの需給がひっ迫していることを示唆する現象だったと言える。実際、米金融当局者もその点を懸念し、NY連銀は急遽短期の資金供給を実施した。その結果、レポ金利は0.0%まで急低下し、2.0%前後で落ち着いた動きが現在まで続いている。
今一度、米ドル相場の年初来騰落率を確認すると(24日のレポート参照)、最も米ドル高となったのが7月から9月にかけてだった。この期間は米ドル相場をサポートする相場状況にあったことはすでに指摘済み。この状況に加え、米ドルの需給ひっ迫が最高潮に達したが故に、FEDの連続利下げにもかかわらず米ドル高圧力が高まったと考えるならば、「夏の米ドル高」に納得がいく。そして、米財務省が少なくとも来年6月まで月間600億ドル相当の短期証券(Tビル)を買い入れることを決定した後(10月15日から開始)、「秋の米ドル安」が発生した状況も考えるならば、需給の変化が米ドル相場のトレンドに影響を与えていた可能性が高いと考えられる。
【翌日物レポ金利】
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