さえない経済指標でも米金利は反発基調を維持 / ドル円とユーロドルの注目ポイント
さえない経済指標でも米金利は反発基調を維持。エネルギー価格の動向次第では「インフレが低下しないリスク」が米債市場で意識され続ける可能性あり。目先のドル円とユーロドルの注目ポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
さえない経済指標でも米金利は反発基調を維持
【サマリー】
・さえない経済指標でも米金利は反発基調を維持
・「インフレが低下しないリスク」がテーマに
・エネルギー価格の動きに要注意
・ドル円の焦点とチャートポイント
・ユーロドルの焦点とチャートポイント
・さえない米経済指標でも米金利は反発基調を維持
23日に発表された8月の米経済指標(各種PMI指数と住宅関連指標)は、いずれもさえない内容となった。
米国経済の活動が収縮していることが具体的な数値で確認され、米債市場では一時長期金利が低下する局面が見られた。しかしその動きもすぐに終息し、3%台へと難なく反発。そしてその水準を維持する展開が続いている。
米2年債利回りも長期金利と同じ展開となった。
これら米金利の動きは、将来の景気後退とそれに伴う利下げよりも、現在のインフレリスクと金融引き締め政策を意識した動きである。
米金利のチャート
・インフレが低下しないリスクとエネルギー価格の動き
“タカ派のジャクソンホール会議”への警戒感が米金利反発の要因になっている、との指摘がある。その可能性は否定できないが、直近の米金利の動きを確認すると、8月に入り低下から反発のトレンドへ転じていることがわかる。
米長期金利のチャート
この間、インフレ関連の指標で予想以下の内容が続いた。しかし、現在まで米金利の反発基調が続いている。この状況は、米債市場の焦点がインフレのピークアウトよりも、連邦準備制度理事会(FRB)の期待どおりにはインフレが低下しないリスクがあるのではないか?この点に米債市場のテーマがシフトしていることを示唆している。
「インフレが低下しないリスク」を意識させる要因として、目先注目すべき要因の一つにエネルギー価格の値動きが挙げられる。
ロシアーウクライナ紛争の長期化とそれに伴うエネルギーの供給問題を受け、NY天然ガス先物価格(NGS)は再び急上昇する展開となっている。
天然ガス価格の上昇を受け、欧州ガス価格の指標となるオランダTTF先物も急騰している。
欧州諸国だけでなくアジア諸国も今冬を見据えて天然ガスの確保に動いており、欧州とアジアの国々の争奪戦でエネルギー価格が高止まりする可能性がある。
方、原油先物価格の動きにも注視しておきたい。ここにきてOPECプラスが減産に動く可能性があるとの報道が見られた(ブルームバーグ)。実際に減産に踏み切るかどうかはイラン情勢もあり不透明だが、9月5日に開催予定のOEPCプラス会合でそれを決定するならば(減産決定は見送られるとの報道もある)、景気の後退に伴う需要減を相殺する要因となり得る。
天然ガス価格が高止まりしているタイミングで原油価格も上昇基調へ転じるならば、米債市場ではインフレリスクを意識する状況が続くだろう。
NY天然ガス先物価格とオランダTTFのチャート
ドル円の焦点とチャートポイント
・136.00レベルと2つの移動平均線
ドル円(USDJPY)は、米金利にらみの展開が続いている。
昨日はさえない米経済指標を受けて米金利が低下で反応する局面が見られた。この動きに連動しドル円は、安値135.80レベルまで一時下落した。
しかし、日足ローソク足の形状を確認すると、陰線引けとはなったが長い下ヒゲが示現している。反落の局面で昨日と同じ状況が確認される場合は、136.00レベルがサポートポイントとして意識される展開を想定したい。
一方、米金利の低下が続くことでドル円が135円以下の攻防へシフトする場合は2つの移動平均線-21日MAと50日EMAが推移する水準134.50レベルまでの反落を想定しておきたい。
・138.00が新たなレジスタンスポイントに?
米金利の反発基調が続いていることを考えるならば、ドル円(USDJPY)の焦点は新たなレジスタンスポイントの見極めにある。
その候補として、このレポートでは139.00レベルに注目してきた。しかし、1円下の138.00レベルが新たなレジスタンスポイントとして浮上する可能性が出てきた。
直近2日の相場は138.00手前で上昇が止められた。7月19日から21日にかけては、138.00レベルをブレイクする局面は見られたが、ローソク足の実体ベースでの突破には失敗し続けた。そしてテクニカルの面では、138.29レベルがフィボナッチ・プロジェクション100.0%の水準にあたる。
米金利の反発基調が続いてもドル円が138.00レベルの突破に失敗し続ける場合は、反落リスクが高まるシグナルのひとつと想定しておきたい。
ドル円のチャート
ユーロドルの焦点とチャートポイント
・パリティ水準のレジスタンス転換
米ドル売りにサポートされ、昨日のユーロドル(EURUSD)は反発した。
23日のレポートで指摘したとおり、ユーロドルの焦点はパリティ水準(1.0)の「レジスタンス転換」にある。昨日の相場では、その可能性(レジスタンス転換の可能性)が浮上してきた。
1.00106レベルは、現時点での8月高安の23.6%戻しにあたる。昨日は見事にこのテクニカルポイントで戻りが止められた。今後も調整の反発は見られるだろう。その局面で昨日と同じ状況が繰り返される場合は、パリティ水準のレジスタンス転換と相場の下落幅拡大を警戒したい。
・パリティ水準を突破しても下落リスクを意識したい
では、ユーロドル(EURUSD)がパリティ水準(1.0)を突破し、かつその水準を維持することに成功する場合、下落トレンドが転換するシグナルとなり得るのか?
この問いに対する答えは、「ノー(No)」である。
米欧の相対的な景気の底堅さと利上げペースの格差を考えるならば、上で述べた状況がユーロドルのトレンド転換シグナルとなる可能性は低いだろう。
テクニカルの面でも、ユーロドルの下落トレンドが続くことを意識する状況にある。パリティ水準を突破しても、次に控えているのは相場の戻りを止めた経緯のある2つの移動平均線-21日MAと50日EMAである。特に後者の50日EMAは、ユーロドルの下落トレンドを象徴する短期レジスタンスと並行している。これらテクニカルポイントの突破を確認できない限り、ユーロドルの下落トレンドが続くことを想定しておきたい。
ユーロドルのチャート
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