2020年 注目すべき焦点とその概要
2019年のマーケットレポートも今日が最後。そこで今回は2020年の焦点について考えてみました。もちろん、今回ピックアップした以外にも注目すべき焦点はあります。それらについては来年のレポートにて。
2020年 注目すべき焦点とその概要
2019年のIGマーケットレポートも今日が最後。そこで今回は、来年の注目すべき焦点とは何か?を考えてみたい。尚、紙幅の関係もあり今回は概要となる。
・米国大統領選挙
まず、世界中の投資家が注目するのがこの政治イベントだろう。現時点で筆者は「トランプ再選」がベースシナリオと考えている。このシナリオ通りになる場合、選挙という足かせが外れることになる。トランプ米政権は現在よりも株価や経済の動向を気にする必要がなくなる。このため「トランプ再選」は米中覇権争いを激化させると予測する。
・米株の動向
2016年の米大統領選挙でトランプ氏が勝利する場合、「米ドル高 / 株高」になると筆者は予測した。2017年以降、その通りの展開となったが、2020年に「トランプ再選」となっても、米株の上昇トレンドがひとまず終息すると予測する。そう考える理由は①対中強硬路線の強化と②騰落率パターンにある。①については上記のとおり。②のパターンいついて、S&P500のパフォーマンスチャートを確認すると、1957年以降、上昇率が20%~30%の水準まで到達すると、その翌年以降は必ず下落するパターンが見られる。現時点で2019年の上昇率は29.24%。低ボラティリティの状況が続いていることも考えるならば、米株の急落リスクを警戒する1年となろう。米株が低迷する場合、グローバル株式市場もそれに連動しよう。
【S&P500パフォーマンスチャート】
・景気の循環サイクル
米株の急落リスクを考える上で、景気の循環サイクルを考えることも重要である。今年8月に米国の10年債利回りと2年債利回りの格差が逆転する現象、いわゆる逆イールドの状況となった。これが発生すると約1年から1年半のタイムラグを経て米国経済は景気の後退局面に陥るというのが過去の一貫したパターンである。現在の米国経済の拡大は2009年7月に始まったとされている。つまり、現在の景気拡大局面は今年7月で戦後最長となる11年目に突入したことになる。約10年周期の景気循環論(ジュグラー・サイクル)も考えるならば、来年の後半以降、米国経済が減速する可能性がある。よって、米株がこれまでのような上昇トレンドを維持することは難しいと予測する。
【イールドカーブ】
・米金融政策のスタンス
注目すべきは二点ある。ひとつはFEDの動向である。2018年10月以降(米金融引き締めリスクが意識され金融市場が混乱して以降)、「市場の後を追うFED」という関係が続いている。この点は、今年連続利下げに追い込まれたことが如実に物語っている。そのFEDだが「来年は利下げ無し」という最新予測を公表している。だが、短期金融市場から算出される利下げ確率を確認すると、来年11月にもFEDが利下げする可能性を意識している。米中対立の再燃、もしくは米指標データで景気減速のシグナルが確認される場合、この予測は前倒しされよう。もうひとつ注視すべきは、米ドルの資金供給期間である。FEDは2014年10月に量的金融緩和(いわゆるQE)を終了し、2017年10月より保有資産の圧縮を開始。今年9月にひとまずそれを終了した。しかし、同年9月17日に翌日物レポ金利が10%まで一時急騰。米ドルの需給がひっ迫している状況を浮き彫りにした。これを受け米財務省は少なくとも来年6月まで短期国債(Tビル)を月間600億ドル(約6兆5000億円)のペースで購入することを決定。今回の米ドル資金の供給は過去のQEとは性質が違うが、「秋の米ドル安」を考えるならば、米ドル相場の重石となる可能性がある。また、現時点ではベースシナリオではないが、金融緩和に慣れ切った市場が再び米ドルの需給ひっ迫を意識するならば、米財務省は来年6月以降も資金供給を延長する可能性がある。FEDの利下げや資金供給は米ドル相場にとってネガティブ要因である一方、大統領選挙に臨むトランプ米大統領にとってはポジティブ要因である(とトランプ氏本人が思っている)ことを留意しておくべきだろう。
ざっと来年の焦点を書き連ねてみたが、上記以外にも注目すべき材料はある。この点についは来年のレポートで考えていきたい。
あとがき 今年1年を振り返って
筆者にとって2019年は、新しいタスク、新しい出会い、そして新しい知識と経験を得る1年でした。今年得たことをベースに、来年はもっと質の高いレポート、情報を発信していきたいと考えています。
今年1年間、IGレポートをお読みいただきありがとうございました。2020年がみなさんとって素晴らしい年となりますように!
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