今週の焦点 ロシアーウクライナ情勢とECB理事会
今週の外為市場もロシアーウクライナ情勢をにらんだ展開が続こう。欧州中央銀行(ECB)理事会とラガルド総裁の会見にも注目が集まろう。ユーロドルの短期的な展望は?ドル円のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
今週の焦点 ロシアーウクライナ情勢とECB理事会
【サマリー】
・今週も欧州の地政学リスクとユーロ相場に注目
・ユーロドルの短期的な展望
・ラガルドECBの政策スタンスに注目
・ドル円の焦点とチャートポイント
・欧州の地政学リスクとユーロドル
今週の外為市場は、引き続きユーロ相場の動きに注目したい。
そのユーロ相場は、ロシア-ウクライナ情勢(欧州の地政学リスク)をにらんだ展開が続こう。両国の戦闘がエスカレートしている状況を考えるならば、欧州の地政学リスクはユーロ売り要因である。事実、ユーロドル(EURUSD)は1.10の節目を難なく下方ブレイクし、下値トライの状況が続いている。リスクリバーサルも急速にユーロプットに傾いている。これらの動向を考えるならば、ユーロドルは下値トライを意識すべき局面が続いている。
経済・金融制裁や反戦世論によりロシアの強硬姿勢に変化が見られるならば、短期的なユーロの買戻しが予想される。しかし、今回の地政学リスクが欧州経済に与える打撃を考えるならば、節目の1.10もしくは1.11レベルがレジスタンスのポイントとして意識される可能性を警戒しておきたい。
ユーロドルが1.11台乗せの展開となっても、10日線(SMA)もしくは短期レジスタンスライン(今日現在1.1237レベル)の突破が確認できない限り、ユーロドルの反落リスクを常に警戒しておきたい。
ユーロドルのチャート
・ECBイベントの焦点
今週、欧州の地政学リスク以外で注目すべきは、10日の欧州中央銀行(ECB)理事会とラガルド総裁の会見である。
今回のECBイベントの焦点は、欧州の地政学リスクとその影響を考慮しラガルドECBがどのような政策スタンスを志向するのか?この点にある。
前回の理事会後の会見でラガルド総裁は年内の利上げを否定せず、短期金融市場では今年後半にECBが利上げに踏み切る可能性を意識する状況が続いている。
しかし欧州の地政学リスクを受け、ドイツの10年債利回りは再びマイナス圏へと低下。他の主要国の利回りも軒並み低下基調へ転じている。これらの動向は、欧州債券市場の参加者が域内経済の先行きリスクを意識していることを示唆している。
ラガルドECBは高インフレと景気の先行きリスク、どちらの対策を重視するスタンスを取るのか?によって、短期的なユーロ相場のトレンドに大きな影響を与えよう。
ドイツ10年利回りのチャート
欧州主要国の10年利回りチャート
ドル円のチャートポイント
・2月の米消費者物価指数と長期金利の反応
今週のドル円(USDJPY)は、引き続き米国市場の動きに左右される状況が続くだろう。
その米国市場で最も注視すべきは、長期金利(10年債利回り)の動きである。インフレ懸念とそれに伴う米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げスタンスにもかかわらず、1.7%の攻防となっている現在の長期金利の動向は、欧州の地政学リスクとそれによる景気の先行き懸念を意識した動きと考えることができる。
今週の米長期金利で注視すべきは、10日に発表される2月米消費者物価指数(CPI)後の反応である。インフレの加速が確認されると同時に長期金利が低下で反応するならば、資源国通貨を中心に米ドル相場が下落する展開を予想する。対資源国通貨で米ドル売りとなれば、その影響はドル円に波及し上値を抑制する要因となろう。
・上下のチャートポイント
このケースでのドル円の下落幅は、米国株の動き次第と見る。
警戒すべきは「景気の先行き懸念→米国株の下落幅拡大」の展開である。このケースでのドル円は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準114.56前後のトライ、もしくはこの水準の下方ブレイクを予想する(欧州の地政学リスク次第では米CPIの発表前に下値トライとなる可能性あり)。今週、このテクニカルポイントは短期サポートラインとクロスする。この状況も考えるならば、114円ミドルを目先の重要なサポートポイントとして意識しておきたい。
一方、ドル円が反発する場合の焦点は、115.80レベルの攻防で変わらず。今月3日のローソク足の形状(長い上ヒゲ示現の陰線引け)は、このレベルでのドル売りの強さを示唆している。
ドル円が115.80レベルを突破しても、米金利と米国株が同時に上昇する局面が続かない限り、116円台へしっかりと乗せてくる可能性は低い。
ドル円のチャート
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