今週の注目材料は米国債の入札結果と7月消費者物価指数 (CPI)
米金利の上昇がひとまず一服している。しかし今週は、2つの材料で再び米金利に上昇の圧力が高まる可能性がある。その材料とは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
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サマリー
・今週の注目材料は米国債の入札、結果次第で米金利は再び上昇する可能性あり
・一方、入札の不調で米金利が上昇する場合は、米ドル相場の反応に注目したい
・7月の消費者物価指数(CPI)も米債市場と外為市場を動かす要因に
・ドルインデックスは短期レジスタンスラインで上昇が止められる状況にある
今週の注目材料は米国債の入札と7月米消費者物価指数
注目材料1:米国債の入札
米債市場では、ひとまず金利の上昇が一服している(下チャートのグレーゾーンを参照)。
しかし今週は、再び米金利に上昇の圧力が高まる可能性がある。その要因として注目したいのが、米国債の入札とそれらの結果である。
今週8日に3年債(420億ドル)、9日に10年債(380億ドル)そして10日に30年債(230億ドル)の入札が予定されている。総額で1,030億ドルと、前回の960億ドルから発行規模が拡大する。
特に注目されるのが、利回りに上昇の圧力が高まっている10年債と30年債の入札である。
安定した需要が確認される場合、これらの金利は低下しよう。米金利の低下は、米ドル安の要因となろう。
問題は、その需要が見られない場合である。このケースでは米金利の上昇が予想される。そして米金利のさらなる上昇は、米株高の調整要因(下落要因)となろう。
米金利の上昇と米株安が同時に発生する場合、外為市場では米ドル買いの圧力が高まるだろう。
米金利のチャート:10年債と30年債の利回り
入札の不調による米金利上昇の場合の焦点
アメリカの財務省は先週2日、四半期の定例入札(クオータリー・リファンディング)での米国債の発行規模を第3四半期に漸増的に引き上げ、その後も引き続き増加させると発表した。
アメリカの財政問題がマーケットの焦点に浮上している状況を考えるならば、今後米債市場では各入札で安定した需要があるか否か?により、利回りが上下に振れる可能性がある。
問題は、入札不調のケースが見られる場合である。このケースでは米金利の上昇が予想される。米金利の上昇は米ドル相場の上昇要因だが、財政悪化などが意識された「悪い金利の上昇」は米ドル安の要因にもなり得る。
ゆえに、入札の不調で米金利が上昇する場合は、米ドル相場の反応詳細にチェックする必要があろう。
米株安と米ドル安が同時に発生する場合、外為市場では円高の進行が予想される。
なお、米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)のトレンドを確認すると、5月31日の高値104.70レベル起点とした短期レジスタンスラインで戻りが止められる状況にある。
10日MA(今日現在101.87レベル)を難なく下方ブレイクする場合は、主要通貨で米ドル安が進行する展開を警戒しておきたい。
ドルインデックスのチャート:日足23年4月以降
注目材料2:7月の米消費者物価指数 (CPI)
今週、米債市場と米ドル相場を大きく動かすもうひとつの材料として注目したいのが、10日に発表される7月の米消費者物価指数(以下ではCPI)である。
7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数変化が18.7万人と予想の20.0万人を下回ったものの、賃金(平均時給)は前月比で0.4%増と、市場予想の0.3%増を上回った。また、前年比でも4.4%増と市場予想の4.2%増を上回り、根強い賃金インフレの状況が確認された。
この状況で7月CPIが予想外に強い内容となれば、インフレ圧力の根強さと連邦準備制度理事会(FRB)による利上げサイクルの終了観測が後退することが予想される。このケースでは、「米金利の上昇→米ドル買い」の展開を想定しておきたい。
現在、米金利の上昇は米株安の要因となっている。強いCPIで米株高の調整相場(反落)が進行する場合は、米金利の上昇による米ドル買いとリスク回避の米ドル買いが重なることで、米ドル相場は主要通貨で上昇することが予想される。
米国株(S&P500指数)のチャート:日足 23年3月以降
一方、7月CPIでインフレの鈍化傾向があらためて確認される場合は、米金利の低下と米ドル安要因となろう。米金利の低下と米株高が同時に発生する場合、外為市場では米ドル安の進行が予想される。ドルインデックス(DXY)は、上で述べた10日MAの攻防が焦点となろう。
ドルインデックスが10日MAを完全に下方ブレイクする場合は、短期サポートライン(トレンドチャネルの下限)や21日MA(今日現在101.23レベル)のトライが焦点として浮上しよう。
しかし、7月CPIの内容で米金利と米ドル相場が上下どちらかに動いても、上で述べた米国債の入札結果によっては、7月CPIで発生したトレンドがさらに加速することも反転することもあり得る。
ゆえに今週は、米国債の入札結果(注目材料1)と7月CPIの内容(注目材料2)で、各市場が上下に振れる展開を想定しておきたい。
アメリカ消費者物価指数の推移:過去1年間
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