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【外為市場の週間展望】注目材料は米国のCPIと小売売上高、ドルインデックスは102ポイント割れを警戒

3月以降、外為市場では米ドル安優勢の状況にある。今週は米国の2月消費者物価指数(CPI)と小売売上高が発表される。雇用関連の経済指標に続き、今週の重要経済指標でもさえない内容が続けば、米ドル安のさらなる進行を警戒したい。米ドル相場のトレンドを考える上で重要な指標となるドルインデックス(DXY)の注目ポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・3月に入り外為市場では米ドル安優勢の状況にある
・米国のCPIと小売売上高が市場予想を下回れば、米ドル安の進行を警戒したい
・ドルインデックスは、102ポイント割れを意識する局面にある
・ドルインデックスの反発局面では、50日線の攻防に注目したい


今週の展望:米ドル安の進行を警戒

3月に入り米債市場では利回りの低下幅が拡大している。米金利の低下は、外為市場で米ドル安の圧力を高める要因となっている。特に対日本円(JPY)では、2%近く下落している。

下で取り上げている今週の米国経済指標が総じて予想以下となれば、米債市場では利回りの低下基調が続くだろう。外為市場では米ドル安のさらなる進行を警戒したい。

米ドル相場の動向:月初来

米ドル相場の動向:月初来 ブルームバーグのデータで作成 / 3月8日時点の動向

今週の注目材料:米国の消費者物価指数(CPI)と小売売上高

さえない内容が続いた米国の雇用関連指標
2月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数変化こそ27.5万人増と市場予想(20.0万人増)を上回った。しかし、過去2カ月分の雇用の増加数は合計で16万7000人下方修正され、失業率は3.9%(約2年ぶりの水準)へ上昇した。

ISMの製造業と非製造業の雇用指数が落ち込んだことも考えるならば、直近の雇用関連指標は、労働市場の軟化を示す内容が続いた。

米国 非農業部門雇用者数変化、失業率、ISM雇用指数の動向:23年以降

米国 雇用統計とISM雇用指数の動向:23年以降 ブルームバーグのデータで作成 / 赤の棒グラフとドット:直近の結果


今週の注目材料1:米国の2月消費者物価指数(CPI)
今週12日に、米国の2月消費者物価指数(CPI)が発表される。

現時点での市場予想を確認すると、前月比でインフレの根強さが示される可能性がある。一方、コア指数ではインフレが鈍化の傾向を辿る見通しとなっている。

上で述べたとおり直近の雇用関連指標ではさえない内容が続いた。このタイミングで、2月CPIがインフレの鈍化傾向を示す内容となれば、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げが意識され、米債市場では利回りの低下が予想される。

米金利の低下幅が拡大する場合、外為市場では米ドル安優勢の展開を想定しておきたい。

米国 消費者物価指数(CPI)の動向:23年以降

米国 消費者物価指数(CPI)の動向:23年以降 ブルームバーグのデータで作成 / 赤の棒グラフとドット:2月の市場予想


今週の注目材料2:米国の2月小売売上高
今週14日に発表される2月の小売売上高も米債市場と米ドル相場の変動要因となろう。

2月は個人消費の改善が見込まれている(下のチャートを参照)。予想以上に個人消費が改善する場合は、米金利の反発要因となろう。米金利の低下圧力が後退する場合、外為市場では米ドルを買い戻す展開が予想される。

注目すべきは、1月に続き2月の小売売上高でも個人消費の減速が確認される場合である。

2月CPIの動向にもよるが、労働市場の軟化、インフレの鈍化、そして個人消費の減速がそろって確認される場合、米債市場では利回りの低下幅がさらに拡大する可能性が高まろう。外為市場では、米ドル安のさらなる進行が予想される。

米国 小売売上高の動向:23年2月以降

米国 小売売上高の動向:23年2月以降 ブルームバーグのデータで作成 / 赤と紫の棒グラフ:2月の市場予想

ドルインデックス:102ポイント割れが視野に

米ドル相場のトレンドを考えるうえで、ドルインデックス(DXY)は引き続き重要な指標となろう。

日足チャートで直近のトレンドを確認すると、21日線(今日現在103.86レベル)がレジスタンスのラインへ転換して以降、50日線(今日現在103.48レベル)と半値戻しの水準102.80レベルを難なく下方ブレイクする状況にある(下のチャート、緑ラインを参照)。

売られ過ぎの水準でゴールデンクロスの状況にあるストキャスティクス、そして同じく売られ過ぎの水準付近まで急低下しているRSIの動きを考えるならば、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準102.28レベルで調整の反発が入る可能性がある(いずれも下のチャート、緑と黒の矢印を参照)。

しかし、日足のモメンタムは弱気相場の勢いが増している状況を示唆している(下のチャート、赤矢印を参照)。この状況で今週の重要経済指標が米金利の低下要因となれば、今のドルインデックスは102.28レベルの下方ブレイク、そして102ポイント割れを意識する状況にある。

一方、今週の米経済指標が「米金利の反発→米ドルの買戻し」要因となれば、50日線の攻防に注目したい。この移動平均線がレジスタンスのラインとして意識される場合は、地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。

ドルインデックスのチャート:日足 23年11月以降

ドルインデックスのチャート:日足 23年11月以降 TradingView提供のチャートで作成

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