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米雇用統計、利下げ観測裏付けるか 就業者17万人増予想 ドル安も

アメリカの12月雇用統計は利下げ観測を裏付ける予想。想定を超える弱さになってドル安が加速する可能性もある。

出所:ブルームバーグ

アメリカの労働省が1月5日に発表する2023年12月雇用統計は労働市場の過熱感の治まりが示されそうだ。こうした結果が米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測を裏付ければ、外国為替市場でドル安圧力が強まることが想定される。一方、3日に公表された12月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨からは利下げ開始時期は読み取れず、足元の金融市場では3月利下げ観測はやや後退している。ただ、FRB内では労働市場の状態が過熱感緩和にとどまらず、急速に悪化することへの懸念もあり、12月雇用統計後にドル安が加速する可能性もありそうだ。

アメリカ12月雇用統計は就業者数が17万人増の予想

12月雇用統計は5日午前8時30分(日本時間5日午後10時30分)に発表される。ロイターがまとめたエコノミスト調査によると、非農業部門の就業者数は前月比17万人増の見込み。予想通りであれば3か月連続の20万人割れで、米国の労働市場の過熱感の和らぎが感じられそうだ。また、平均時給の前年同月比伸び率は3.9%、失業率は3.8%になる見通し。平均時給の伸びは11月(4.0%)から鈍化し、失業率は11月(3.7%)から悪化する形で、やはり労働市場の過熱感が賃金を押し上げる状況が緩和しそうだ。

アメリカの雇用統計(就業者数増減、失業率、平均時給伸び率)の推移のグラフ

12月雇用統計でこうした結果が示された場合は、物価上昇抑制のために7月まで利上げを続けてきたFRBが3月にも利下げに転じるとの観測を裏付けそうだ。11月中旬に1ドル=151円台をつけたドル円相場(USD/JPY)は、利下げ観測の浸透とともに円高ドル安が進み、12月28日には140円台前半をつける場面もあった。こうしたドル安圧力が12月雇用統計発表後に強まる可能性がある。

ドル円相場の日足チャートと主な出来事

12月FOMC議事要旨からは利下げ時期は読めず

一方、1月3日に公表された12月12、13日のFOMCの議事要旨はFRBの利下げの確度を強める内容ではなかった。議事要旨によると、参加者らは経済の見通しは「めったにないほど高い水準の不確実性」にされされているとの見方を強調。「経済がさらなる利上げが適切になるような進展を示すこともあり得る」との声も出た。FRBはこのFOMCで3回連続となる利上げ見送りを決め、2024年に3回の利下げを行う方向性を示したが、利下げのタイミングをめぐる大きな議論はなかったもようだ。

こうした中、3日の金融市場ではFRBの3月利下げ観測が後退した。CMEグループのデータによると、3月19、20日のFOMC後に政策金利が現状よりも低くなっていることについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間4日正午ごろの段階で約67%。年末までの73%程度から確率が下がっている。4日の東京市場のドル円相場は1ドル=143円台で推移しており、12月末の水準から2円程度のドル高が進んでいる。

雇用統計が想定以上に弱ければドル安も

ただしFRBが今後の利下げを視野に入れていることは間違いない。ジェローム・パウエル議長は12月のFOMC後の記者会見で、利上げについては「もはやベースケースの想定ではない」と述べ、次の政策変更は利下げ方向であることを明かした。また、FRB内では労働市場が想定以上に悪化するリスクも懸念されているもようで、12月FOMCの議事要旨では「労働市場が緩やかな過熱感緩和から、より急激な状況の悪化に移行する」リスクについても言及されている。

このため12月の雇用統計が予想以上に悪い結果となり、これまでの利上げが経済活動を冷やす効果が大きくなりすぎたと受け止められる可能性もある。この場合はFRBの利下げ観測が大きく強まり、ドル安が改めて加速するシナリオも想定されそうだ。


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