今週の焦点 / ドル円とユーロドルの注目ポイント
サマリー:「今週はクリスマスウィークだがそれなりに売買材料がある一週間。外為市場はリスク資産とアメリカ実質金利をにらんだ動き。ドル円とユーロドルの注目ポイントは?」詳細はマーケットレポートをご覧ください。
今週の焦点
・今週の注目材料
今週はクリスマスウィークで市場参加者が少なくなる。しかし、12月米消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)に11月個人消費支出(PCEデフレーター)、米国債の入札や企業決算(ナイキ、カーニバル、マイクロンテクノロジー)、さらにはバイデン米大統領によるオミクロン株関連の演説(21日)が予定されるなど、それなに売買材料のある一週間である。
・リスク資産と米実質金利の動き
今の外為市場の注目ポイントは2つあると考えている。
ひとつは、株式市場とNY原油先物価格の動きである。これらリスク資産の動向は、オセアニア通貨や資源と関わりの深い新興国通貨のトレンドを左右している。先週17日は、リスク資産価格の下落で上記の通貨売り、米ドル買い優勢の展開となった。
12月の米債市場では、利回り(2年債、5年債、10年債の各利回り)の上昇が抑制されている。しかし、今週もオミクロンリスクや各国中銀の政策転換などが意識されることで、リスク資産の下落トレンドが続けば、外為市場では資源国通貨や新興国通貨売りが米ドル相場のサポート要因となろう。
米ドル相場 12月17日のパフォーマンス
もうひとつの注目ポイントは、アメリカ実質金利(以下では実質金利)の動きである。
パウエルFRBが政策転換を決定した11月以降、期待インフレ率は低下基調にある。米金利の上昇も抑制されているが、それ以上に期待インフレ率の低下幅の方が大きいため、実質金利はマイナス幅が縮小傾向にある。
今週予定されている米国債の入札や11月PCEデフレーターの内容で実質金利のトレンドが左右される可能性がある。
実質金利の縮小傾向が続けば、米債市場で利回りの上昇が抑制されても、米ドル相場は堅調地合いを維持すると予想する。
米実質金利とドルインデックスのチャート
ドル円のポイント
今週のドル円(USDJPY)は、113円台を中心としたレンジ相場となる可能性ある。
米国株は利益確定売りやリバランスに伴う売買で不安定な動きとなっているが、セクターパフォーマンスを見るとリスク回避一色というわけではない。株安の局面では米金利に低下の圧力がかかることで、ドル円は下値トライの展開が予想される。だが、上で述べたとおり株安(リスク資産の下落)は米ドル相場のサポート要因となり得る。そしてアメリカ実質金利が大きくマイナスに振れない限り、ドル円の下値は限定的と予想する。
ドル円が下落する場合、下値の焦点は113.00の維持である。先週17日は、113.12レベルで下落が止められ長い下ヒゲが示現。50日EMA(今日現在113.33レベル)と短期サポートラインをかろうじて維持した。
米国株が連日下落する場合は、上で述べたテクニカルポイントを完全に下方ブレイクし、112円台への攻防シフトを想定しておきたい。このケースでは、重要サポートゾーンとして意識されている112.50-60レベルで三度反転するかどうか?この点が焦点として浮上しよう。
一方、ドル円が上昇する場合は、114円台の維持が焦点となろう。21日SMA(今日現在113.77レベル)のサポートラインへの転換は、上昇トレンド回帰のシグナルとなり得る。
114円の攻防へシフトする場合は、先週レジスタンスポイントとして意識された114.25前後の攻防が焦点となろう。
ドル円のチャート
ユーロドルのポイント
今週のユーロドル(EURUSD)は、レンジ相場が続くか?それとも下値の水準が切り下がるのか?これらの点が焦点となろう。
先週16日の上ヒゲ示現と17日の大陰線で、1.1360レベル以上ではユーロ売りの圧力が高まりやすい状況にあることが確認された。レジスタンスの水準がはっきりしたことで、ユーロドルは反発しても戻り売りを意識する局面が続こう。よって、目先の焦点は下値の水準を探ることにある。
リスク資産の下落やアメリカ実質金利のマイナス幅縮小により米ドル買いの圧力が高まる場合は、今月7日と15日に相場をサポートした1.1220レベルの下方ブレイクを想定したい。実際にこの水準を下抜ける場合は、11月24日の安値1.1184レベルのトライが焦点として浮上しよう。
1.1184レベルを維持する場合は、ユーロドルのレンジ相場が短期的に続く可能性が高まる一方、下方ブレイクする場合は相場の水準が切り下がることで、新たな下値(サポートポイント)を見極める展開へシフトしよう。
ユーロドルのチャート
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