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出口の見えないウクライナ紛争 景気減速のリスクがテーマに

ロシアとウクライナは3回目の停戦交渉に臨むも進展なし。引き続き欧州の地政学リスクを意識する状況が続く。今後は景気の減速リスクがメインテーマとして浮上する可能性あり。ユーロ円とドル円の焦点は?上下のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

出口の見えないウクライナ紛争 景気減速のリスクがテーマに


【サマリー】

・ロシアとウクライ 3回目の停戦交渉に成果なく出口の見えない状況に
・急上昇する米国の期待インフレ率
・ユーロ円の焦点とチャートポイント
・ドル円の焦点とチャートポイント



・出口の見えないウクライナ紛争とその影響

ロシアとウクライナは3回目の停戦交渉をベラルーシで実施した。しかし、両国の対立は解消されず緊張の緩和に向けた前進はみられなかった。

ウクライナ紛争は出口の見えない袋小路に陥っている。この状況を受け、NY原油先物(4月物)は時間外で一時130.50ドルと、2008年7月以来の高値を付ける局面が見られた。

一方、米国の期待インフレ率の動きを確認すると、1年先のそれはロシアーウクライナ紛争が勃発して以降、急上昇している。2年と3年の期待インフレ率は、昨年11月の水準を突破する状況となっている。

パウエルFRBはインフレファイターとしての立場を取らざるを得ない状況に陥っているが、現在の国際情勢と経済状況で金融引き締め政策が行われる場合、米国を含めた世界経済の減速リスクが今年のメインテーマとなる可能性がある。

米国の期待インフレ率

米国の期待インフレ率


・焦点は米金利の動向

その点を示唆しているのが、米長期金利(10年債利回り)と2年債利回りの格差(長短金利差)である。現状、21bps付近まで長短金利差が縮小している。

米長期金利は現在、1.7%の攻防となっている。この水準を明確に下抜けるようだと、長短金利差はさらに縮小することが予想される。

まだ、リセッションのシグナルとなり得る逆イールドを懸念すべき状況とはなっていないが、パウエルFRBが金融引き締めサイクルに入る3月の米連邦公開市場委員会(FOMC、15~16日)以降、この懸念が強く意識される可能性がある。

米国の長短金利差チャート

米国の長短金利差チャート

米国の株式市場では、逆イールド(景気の後退)懸念を先取りするムードが出始めている。

直近の下落局面では、景気敏感株を中心に株安の圧力が高まる傾向が見られる。

S&P500指数(SPX)は20日線(EMA)と短期レジスタンスラインで戻りが止められた。そして昨日は大陰線が示現。下ヒゲが全くない状況だったことも考えるならば、直近安値4,114レベルの再トライおよび下方ブレイクを警戒する局面にある。

S&P500指数のチャート

S&P500指数のチャート


ユーロ円とドル円の焦点およびチャートポイント

・ユーロ円の焦点とチャートポイント

ウクライナ紛争(欧州の地政学リスク)でユーロ相場には下落の圧力が高まっている。

今は「欧州の地政学リスク→株安」を警戒する局面にある。そして今後は、景気の減速リスクがメインテーマとなる可能性がある。これらの状況を考えるならば、ユーロ円(EURJPY)の動きに注目したい。今のリスク回避(株安)相場では米ドルと円買いが同時に発生しているため、変動幅が拡大しやすいからだ。

ユーロ円の週足チャートを確認すると、2020年の安値(114.41)と2021年の高値(134.12)の半値戻し124.27レベルの攻防となっている。

ウクライナ紛争が出口の見えない状況に陥っていることを考えるならば、半値戻しの下方ブレイクと61.8%の水準121.94レベルのトライを想定したい。

後者の水準をも下方ブレイクする場合は、節目の120.00トライが次の焦点として浮上しよう。

一方、ユーロ円が反発する場合、まず注目したいのが127.50レベルの攻防である。この水準はレジスタンスとしてもサポートとしても意識された経緯がある。

現在は、このレベルがサポートからレジスタンスへ転換するかどうか?この点に注目したい。ユーロ円が127.50レベルで反落する場合は、地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。

ユーロ円のチャート

ユーロ円のチャート


・ドル円の焦点とチャートポイント

一方、ドル円(USDJPY)は、リスク回避の米ドル買い圧力と円買い圧力がぶつかり合う状況にある。よって、短期的なレンジ相場を意識する局面にある。目先、レンジの上限は115.80レベル、下限は114.50レベルとし、どちらのレンジをブレイクするか?この点に注目したい。

注意したいのは「だまし上げ」である。

上で述べたように、今は「欧州の地政学リスク→株安」を警戒する局面にある。そして今後は、景気の減速リスクが意識される可能性がある。実際に後者のリスクがメインテーマとして浮上する場合、米国株の下落と米長期金利の低下が予想される。

先行きの不透明感が強まる状況でドル円が115.80レベルを突破しても、さらに上値をトライする可能性は低いと予想する。目先は116.00レベルもしくはレジスタンスポイントの116.35レベルで急反落する可能性を警戒したい。

ドル円のチャート

ドル円のチャート

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