リスクセンチメントの改善と米ドル安トレンド / ユーロドルのチャートポイント
米国株は続伸。投資家のリスクセンチメントは改善傾向にあるが米金利の上昇は抑制されている。外為市場では米ドル売りの圧力が高まり安い状況に。ユーロドルは米ドル安にサポートされテクニカルポイントを突破。今後の焦点は?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
リスクセンチメントの改善で米ドル安優勢の展開が続く
【サマリー】
・投資家のリスクセンチメントは改善傾向にある
・「株高のみのリスク選好相場」が続いている
・外為市場では米ドル売りとリスク性の高い通貨買いの状況が続いている
・ユーロドルのチャートポイントについて
・改善傾向にある投資家のリスクセンチメント
1日の米国株式市場では、主要3指数がそろって続伸した。
S&P500指数(SPX)のセクター別パフォーマンスを見ると、資源関連株や銀行株といった景気敏感株が米株高を支えた。また、過去1週間のパフォーマンスでは、テック株や景気の動向と連動する一般消費財の株が買われた(テック株:6.55%上昇 / 景気連動の一般消費財株:4.18%上昇)。
直近の米国株の動きは、投資家のリスクセンチメントが改善していることを示唆している。
米国株 セクター別のパフォーマンス(S&P500)
・上昇が抑制される米金利
一方、米債市場では米金利の上昇が抑制されている。2年債利回りは先月28日に1.228%を付けた後、低下基調へ転じている。ドル円(USDJPY)との相関性が高い5年債利回りも1.7%から1.62%台まで低下している。
一方、景気の先行きを意識して動く10年債利回り(以下長期金利)は、1.7~1.9%の水準でボックス相場となっている。
米2年債利回りと5年債の利回りのチャート
米長期金利のチャート
これら米金利の動きは、現在の米債市場が短期間で売られ過ぎた米債を買い戻す状況にあることを示唆している。
1日のレポートでも指摘したとおり、「株高のみのリスク選好相場」の状況下では、米ドル売りの圧力が高まりやすい。米金利の上昇要因として今週注目すべきは経済指標データの内容である。昨日の1月米ISM製造業景気指数は57.6と、1年2カ月ぶり低水準となった。先行指標の新規受注指数も前月の61.0から57.9と、2カ月連続で低下した。
今日は1月ADP雇用統計が発表される。経済指標データでさえない内容が続けば、米債買いのトレンドが続く可能性がある。
米国株がひとまず落ち着きを取り戻している現状を考えるならば、米ドル相場のトレンドは米金利の動きに左右されるだろう。
「株高のみのリスク選好相場」が続く場合は、米ドル安優勢の展開が続こう。一方、経済指標データや米債入札の結果で米金利が上昇するケースでは、米ドルが買い戻される展開を予想する。
※訂正
今晩のNYタイムで米債の入札(3年債、10年債、30年債)があると書きましたが、正確には入札計画の公表です。
該当の文章は削除いたしました。お詫びし訂正いたします。
ISM製造業景気指数
ユーロドルのチャートポイント
米ドル安にサポートされ、ユーロドル(EURUSD)は連日で陽線引けとなっている。テクニカ面では短期レジスタンスラインのみならず、相場の戻りを止めていた10日線(EMA)をも難なく突破した。米国市場が「株高のみのリスク選好相場」の状況にあることも考えるならば、目先のユーロドルは、新たなレジスタンスポイントの見極めが焦点として浮上してきた。
ユーロドルが反発基調を維持する場合、まずは21日線(EMA)のトライおよび突破に注目したい。この移動平均線の突破に成功する場合は、直近高安の半値戻し1.1300トライが次の焦点として浮上しよう。
1.13の上方ブレイク後もユーロドルが反発トレンドを維持する場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.1343レベルの攻防となるか?この点に注目したい。この水準は、先月19日から24日にかけて相場の戻りを止め続け(ローソク足の実体ベース)、1.12割れのきっかけとなった経緯がある。
一方、米金利の上昇や米国株が反落する局面では、米ドルの買戻しを想定したい。このケースでは1.12台の維持が焦点となろう。昨日の安値1.1219の下方ブレイクは1.1200トライのシグナルと想定したい。
ユーロドルのチャート
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