米金利の上昇とひとまず落ち着いている投資家心理 / ユーロドルのチャートポイント
外為市場では金融政策の引き締め度合いでトレンドに違いが見られる。目先の焦点は1月米CPI後の米国市場の反応。特に米国株の反応に注目したい。ユーロドルはECBの政策転換をひとまず織り込む動きが見られる。上下のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米金利の上昇とひとまず落ち着いている投資家心理
【サマリー】
・米長期金利は2019年11月以来の1.97%へ上昇
・リスク性の高い通貨の買いと米株高は投資家心理がひとまず落ち着いていること示唆
・目先の焦点は米CPIと米国市場の反応
・ユーロドルのチャートポイントについて
・上昇トレンドの米長期金利と投資家の心理
米債市場では、長期金利の上昇トレンドが続いている。昨日は2019年11月以来となる1.97%まで上昇する局面が見られた。10年の実質金利も-0.461%と、マイナス幅の縮小トレンドを維持している。
米長期金利と実質金利のチャート
これら利回りの動きは、米ドル相場のサポート要因である。しかし昨日のパフォーマンスを確認すると、米ドルの売り買いが交錯したことがわかる。
注目すべきは、米連邦準備制度理事会(以下パウエルFRB)に先駆けて、利上げを実施している国の通貨(南アランド、ロシアルーブル、ブラジルレアル、英ポンド)を中心に米ドル安優勢となったことである。
一方、緩和スタンスを維持する日本円や政策転換の可能性だけが意識されているユーロに対し、米ドルは上昇した。これらの動きは、金融引き締めスタンスの度合いが今の外為市場で最も意識されている材料であることを示唆している。
また、昨日の米国株式市場では、エネルギー株以外の幅広いセクターが買われ主要3指数は上昇して引けた。米株高がリスク性の高い通貨買いをサポートした面もあろう。この点はオセアニア通貨の上昇が示唆している。
リスク性の高い通貨(資源国通貨および新興国通貨)買いと米株高が同時に発生する状況は、1月の混乱から投資家の心理がひとまず落ち着きを取り戻していることを示している。
米ドル相場のパフォーマンス(2月8日)
・米CPIの内容と米国市場の反応
投資家の心理は落ち着きを取り戻しているが、再び不安定な状況へ陥る可能性は残る。
この点を示唆しているのが米国株の動きである。S&P500指数(SPX)の動向を確認すると反発の基調にはあるが、未だに50日線(SMA)すらトライ出来ずにいる。
さらにフィボナッチ・リトレースメントの50.0~61.8%の水準で相場の戻りが止められ、短期的なレンジ相場へシフトするムードも出始めている。上昇トレンドへ回帰したと判断するには、上で述べたテクニカルポイントの突破の確認が必要である。
米国株がテクニカルポイントの突破に成功し、投資家の心理がさらに改善するかどうか?この点を考える上で、目先は10日の1月米消費者物価指数(CPI)の内容と、それを受けた米国市場の反応を確認することが重要となろう。
焦点は、予想以上にインフレの高進が確認されるケースである。インフレリスクが確認されてなお米国株が反発トレンドを維持する場合、外為市場では上で述べたリスク性の高い通貨買いが続くことが予想される。円やユーロでは、米ドル買い優勢の展開を予想する。
一方、「インフレリスク→金融引き締めペース加速の懸念」で米国株が下落する場合は、リスク回避と米金利の上昇を背景とした米ドル買い優勢の展開となる可能性があろう。だが、後者のケースでは円買い圧力が米ドル買い圧力の相殺要因となり得る。ドル円(USDJPY)は上値の重い展開、もしくは調整の反落を想定しておきたい。
S&P500指数のチャート
ユーロドルのチャートポイント
・2つの注目ポイント
昨日のレポートで取り上げたユーロドル(EURUSD)だが、予想どおり反落ムードにある。しかし、フィボナッチ・リトレースメントの23.6%戻しでサポートされ、1.14台をかろうじて維持している。よって、ユーロドルが下落トレンドへ転じたと判断するのはまだ早い。
今日の焦点は、ユーロドルが1.14を完全に下方ブレイクするかどうか?にある。1.13台の攻防へシフトする場合、注目ポイントは2つある。ひとつは1.14レベルがレジスタンスのポイントとして意識されるかどうか?である。この点が確認される場合は、ユーロドルが下落トレンドへ転換したシグナルのひとつとなろう。
もう一つの注目ポイントは、10日線(EMA)を下方ブレイクするかどうか?である。このラインは1月の下旬以降、レジスタンスやサポートのラインとして意識された経緯がある。今はサポートラインとして意識されるかどうか?の状況にある。
ユーロドルが10日線をも完全に下抜ける場合は、1.1340台での攻防が次の焦点となろう。この水準はリトレースメント38.2%の水準にあたり、かつ21日線(EMA)も上昇している。21日線をも下方ブレイクする場合は、1.13トライが焦点として浮上しよう。
1.13ブレイクが確認される場合、ユーロドルが下落トレンドへ転じたと判断したい。
・上値の焦点は1.1480台のトライ
一方、ユーロドルが反発する場合の焦点は、1.1480台の再トライである。まずは、昨日の高値1.1448レベルを突破できるかどうか?この点を確認したい。
ユーロドルのチャート
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