ドル円の焦点は115.80レベルの攻防 米国株の動きに注目
ドル円は115.80レベルの攻防が焦点に。この水準を上にブレイクする場合は116円台の攻防が見えてくる。ドル円が上昇しても米国株の動き次第では「だまし上げ」となる可能性があるため要注意。目先のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
ドル円の焦点は115.80レベルの攻防 米国株の動きに注目
【サマリー】
・ドル円 目先の焦点は115.80レベルの攻防
・米国株の不安定な動きが「だまし上げ」の要因となる可能性あり
・ドル円のチャートポイントについて
・ユーロドルは下落トレンドの継続を想定 上下のチャートポイントについて
・115.80レベルで上昇が止められるドル円
ドル円(USDJPY)は115円台で底堅い展開が続いている。しかし、昨日は高値115.78で反落。115.80レベルで上昇が止められるトレンドに変化は見られない。目先、ドル円が上昇する局面では、115.80レベルの攻防が焦点として絞られた感がある。
ドル円のチャート
・米国株がドル円の上値を抑制する要因となる可能性あり
ドル円(USDJPY)が115.80レベルを突破し、その後も上昇トレンドを維持するためには、米国市場が典型的なリスク選好相場(株高/金利上昇)となることが条件となろう。
現状、米債市場は高止まりするインフレとパウエルFRBの金融引き締めスタンスが意識され、低下してもその幅は限定的となっている。このトレンドが変化する可能性を意識しておく必要はあるが、今は不安定な動きが続いている米国株がドル円の上値を抑制する可能性の方を意識したい。
機関投資家がベンチマークとしているS&P500指数(SPX)の日足チャートを確認すると、昨日は長い上ヒゲ付きの陰線引けとなった。7日の大陰線に続き相場の弱さを示唆するローソク足のかたちとなったことも考えるならば(チャート画像の赤いボックス)、ロシアーウクライナ紛争とそれが世界経済に与える悪影響を多くの投資家が意識していることがうかがえる。
S&P500指数のチャート
投資家の心理を反映するVIX指数(VIX)は現状、35ポイント前後と高い水準で推移している。また、ナスダック100を原資産としたVXN指数も38ポイント前後と、VIX指数と同じく高水準にある。これらボラティリティ指数が明確に低下基調へ転じない限り、米国株の不安定な動きは続くと想定しておきたい。
ボラティリティ指数のチャート
ドル円とユーロドルのチャートポイント
・ドル円のチャートポイント
ドル円(USDJPY)のチャートポイントだが、上で述べたとおり上昇局面では115.80レベルの突破が目先の注目ポイントである。これを達成する場合は、116.00のトライおよびブレイクが次の焦点となろう。
ドル円が116円台へ上昇する場合、最大の焦点は116.35レベルの攻防である。今年に入り2度相場の上昇を止めているこの水準は、115.80と同じくレジスタンスポイントとして意識される可能性がある。
ドル円の上昇局面で注意すべきは、不安定な米国株の動きが「だまし上げ」の要因となる可能性である。米国株の下落幅が拡大してもドル円が底堅さを維持していることを見極めるため、まずは115.80レベルがレジスタンスポイントからサポートポイントへ転換するかどうか?そして116円台へ何度も上昇するかどうか?を確認したい。
ドル円のチャート
・ユーロドルのチャートポイント
ロシアーウクライナ紛争に対する投資家の心理を考える上で、今はユーロ相場も重要な指標である。
昨日のユーロドル(EURUSD)の動きを確認すると、1.095レベルで相場の戻りが抑制された。7日の大陰線高値が同じ水準であったことも考えるならば、目先のレジスタンスポイントとして1.095前後が浮上してきた。
リスクリバーサル(1週間)の動向を確認すると、ユーロプットのトレンドがひとまず後退している。短期的にユーロドルが反発する可能性がある。しかし、上で述べた米国株やボラティリティ指数の動き、そしてNY金(GOLD)の急騰も考えるならば、ロシアーウクライナ紛争に対する投資家の警戒レベルは高い状況にある。よってユーロドルが反発しても、戻り売りを意識する局面が続くと予想する。
ユーロドルが下値トライとなる場合、目先の焦点は1.08レベルの攻防である。7日の急落時は1.0804レベルで下げ止まり、かろうじて1.08台の維持に成功した。
ユーロドルがこの水準を下方ブレイクする場合は、下落幅が拡大するシグナルと捉えたい。なお、1.08以下でのテクニカルポイントをフィボナッチ・プロジェクションで考える場合、261.8%の水準1.0545レベルが浮上する。
ユーロドルのチャート
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