今週の注目ポイント/ ドル円とポンドドルの焦点
サマリー:『今週は米国の指標データが焦点。特に7月の雇用統計に注目。ドル円とポンドドルの焦点は?上下のチャートポイントは?』。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
今週の注目ポイント
パウエルFRBはインフレよりも雇用を重視している。7月のFOMCでこの点が確認された。よって、米指標データの中でも、より注視すべきは雇用関連の指標となろう。
今週は7月の米雇用統計が発表される。現時点での市場予想は、非農業部門雇用者数変化が90万人増(前月比)、失業率が5.7%となっている。
コロナパンデミックにより、2020年3月と4月に2,200万人強の雇用(非農業部門)が失われた。その後、大規模な景気刺激策で約1,600万人の雇用が回復した。しかし、コロナパンデミックが発生する前の水準を回復するには、あと700万人近くの雇用増が必要ということになる。
今回の雇用統計が強い内容となれば、今後も雇用の改善が進むとの期待感が各市場で高まろう。失業保険の上乗せ給付と子供の世話という2つのボトルネックが今後解消されていくからだ。働き手の労働意欲を削いでいると指摘されている失業給付の上乗せは9月で打ち切られる(半数以上の州は前倒しで打ち切っている)ことに加えて、9月から始まる学校の新学期では、都市部を中心に対面の授業が再開される見込みとなっている。
これらは、職探しに消極的だった層や主婦層の労働市場への回帰を促すだろう。
ジャクソンホール経済シンポジウムが今月26-28日に控える中、今回の雇用統計が総じて市場予想を上回る場合、各市場の参加者はパウエルFRBの政策転換の可能性を意識するだろう。良好な雇用統計は、外為市場で米ドル買いの圧力を高める要因となろう。
逆に、今回の雇用統計が総じて市場予想を下回る場合、早期の金融緩和政策の縮小(テーパリング)の観測が後退しよう。このケースでは、外為市場で米ドル売りの圧力が高まる展開を予想する。米株が下落で反応する場合は(金融緩和の継続期待で上昇する可能性もある)、円買いの圧力が高まることが予想される。
非農業部門雇用者数と失業率の動向
ドル円の焦点
米金利の上昇が抑制されている間、ドル円(USDJPY)は上値の重い展開が続くと予想する。一方、米株をはじめとした世界の主要な株式が総崩れという状況に陥らない限り、下落幅も限定的となることが予想される。
今週の上値の焦点は、110.60-70ゾーンのトライおよび突破となろう。今月の中旬以降、このゾーンで相場の戻りが抑制されている。今週は米雇用統計に市場の関心が集まるだろうが、その前に発表される指標データ(ISM指数等)が総じて市場予想を上回る場合、米株と米金利が同時に上昇する可能性がある。この局面では、上で述べたレジスタンスゾーンを目指す展開を想定したい。
一方、さえない米指標データが相次いで確認される場合は、2つのシナリオを想定したい。ひとつは、さえない指標データが米株の上昇と米金利の低下を促すシナリオである。この背景には、金融緩和政策の長期化に対する期待がある。ドル円は、米ドル売りと円売りの圧力がぶつかり合うことで、110円前後を中心としたレンジ相場が予想される。
二つめは、さえない米指標データが米株売りと米金利低下の圧力を高めるシナリオである。このケースでは円が最強通貨となる可能性がある。ドル円は、サポートラインとして意識されている89日EMA(今日現在109.40レベル)および100日EMA(今日現在109.24レベル)を下方ブレイクし、109.00をトライする展開を意識しておきたい。
ドル円のチャート
ポンドドルの焦点
今週5日にイングランド中央銀行(BoE)イベントがある。今回は会合の結果、議事要旨そして金融政策報告が同時に発表される「スーパーサーズデー」である。
金融政策自体は維持されるだろう。よって、焦点はBoEが考える今後の経済見通しである。英国の6月インフレ率は前年同月比で2.5%と、BoEが目標としている2.0%を上回る状況となっている。
5月の雇用関連指標では回復の鈍さが示されたが、3~5月期の平均週間賃金は前年同期比で7.3%上昇するなど、ワクチン接種により英国の経済は回復の基調にある。
多くのBoEメンバーが、今後も経済(特に雇用)が回復すると同時にインフレが高止まりすると考える場合、金融緩和政策の縮小の必要性に言及してくる可能性がある。このケースでは、ポンド買いの圧力が高まることが予想される。
一方、変異型のコロナウイルスの感染リスクを意識し、金融緩和政策の縮小に慎重なスタンスを示す場合は、ポンド売りを想定しておきたい。
今週のポンドドル(GBPUSD)のチャートポイントだが、上値はフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.3992および心理的節目の1.40のトライおよび突破が焦点となろう。これらの点については、先週のレポートで指摘してきたが、先月29-30日に61.8%手前で連日相場の戻りが抑制された。6月下旬にも同じ展開が見られた。
BoEイベントでポンド買いの圧力が高まっても、上記のレジスタンスポイントを完全に突破できない限り、ポンドドルの地合いの弱さを意識する局面が続こう。
一方、今週の下値の焦点は、89日EMA(今日現在1.3886レベル)および21日EMA(今日現在1.3851レベル)の攻防となろう。現状、89日線がレジスタンスからサポートへ転換しつつある。しかし、BoEイベントや米雇用統計で下落の圧力が高まる場合、89日線を難なくブレイクするだろう。
21日線をも下方ブレイクする場合は、7月下旬の高安の各リトレースメントでの攻防に注目したい。現在は、89日線に近い水準23.6%の1.3888レベルの攻防となっている。
ポンドドルのチャート
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