恐怖指数再浮上 米国債ショック超え 弱気心理がS&P500下押し
アメリカの株式市場で投資家心理が悪化している。VIX指数は2か月半ぶりの高さで、S&P500の下落を裏付けている。
アメリカの株式市場の先行きに対する不安が高まっている。17日の米金融市場では投資家の不安度を示すとされるVIX指数が17.89まで上昇。8月初めの米国債格下げ後の水準を超え、5月末以来2か月半ぶりの高さとなった。また、米国の個人投資家に対する調査でも弱気の割合が増え始めている。こうした中、S&P500種株価指数は17日、3営業日続落した。株価下落の要因である長期金利(10年物米国債利回り)上昇は15年9か月ぶりの高さに達しており、投資家心理をますます悪化させているようだ。
17日のVIXは2か月半ぶりの高さを更新
VIX指数(VIX)はS&P500のオプション取引の動向から算出される数値。数字が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒感が強いことを意味し、「恐怖指数」と呼ばれることも多い。S&P500が値上がりするときは低くなり、値下がりするときは高くなる傾向があるとされる。
VIXを算出しているシカゴ・オプション取引所(CBOE)によると、17日のVIXの終値は前日比で1.11上昇。フィッチ・レーティングスによる米国債格下げから3日後にあたる4日の水準(17.10)を超え、5月31日(17.94)以来の高さを更新した。このところの米国の長期金利の上昇が、投資先としての株式の魅力を薄れさせていることが、株価下落への不安を高めているようだ。
一方、現在のVIXの水準自体が高いわけではない。VIXの2022年の平均値は25.63。この年は米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ開始に伴ってS&P500(SPX)が19.4%下落しており、投資家の不安は強かった。さらに2023年も1-3月は平均20.68で推移していた。ただしその後は、米議会での債務上限引き上げ問題の決着や、地銀破綻で広がった銀行システムに対する不安の収束、物価上昇率の低下といった好材料が相次ぎ、6月半ば以降、約3年半ぶりの低水準となっていた。このところのVIXの上昇は、投資家の楽観が失われつつあることを示している。
15年9か月ぶりの高さの長期金利が投資家心理を圧迫
また、米個人投資家協会(AAII)の週次調査によると、今後6か月の相場の見通しについて弱気な投資家の割合は16日の段階で30.1%となり、前週の25.5から上昇した。30%台は5月31日(36.82%)以来の高さだ。これに対して強気な投資家の割合は35.9%で、やはり5月31日以来の低さとなっている。
17日のS&P500は3日続落し、終値は前日比0.77%安となった。また長期金利は4.308%で取引を終え、2007年11月6日(4.380%)以来15年9か月ぶりの高さとなっている。FRBが政策金利を高水準で維持するとの見方が長期金利を押し上げ、株価を下押しするという構図の中、投資家心理は不安にむしばまれているようだ。
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