高成長下の物価減速は光明か 金利高でダウ連騰停止 S&P500続落
米国の4-6月期の高成長が金利高につながり、株式相場を下押しした。一方、物価上昇率の低下は軟着陸の可能性を感じさせる。
米国の金利上昇が株価の足を引っ張った。27日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が14営業日ぶりに反落し、S&P500種株価指数も続落した。株安のきっかけとなったのは、金利の上昇だ。この日発表された米国の2023年4-6月期GDP統計で実質成長率が高い伸びを記録。これが米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの必要性を連想させて米国債の利回りが上がり、株価を下押しした。ただしGDPと同時に発表された4-6月期の個人消費支出(PCE)物価指数では、物価上昇の落ち着きが感じられている。FRBにとっては利上げを打ち止めにする材料が増えた形で、株価にとっては好材料だ。
米国の2023年4-6月期の実質成長率は2.4%
27日のダウ平均(DJI)の終値は前日比0.67%安の3万5282.70ドル。連騰記録は13営業日でストップした。金融情報会社リフィニティブのデータによると、13連騰は1987年1月2日から20日にかけて以来だ。また、S&P500種(SPX)は0.64%安、ナスダック総合指数は0.55%安だった。
株価下落の材料を作ったのは米国経済の好調さだ。4-6月の実質成長率は前期比年率2.4%。1.12%増だった個人消費や0.99%増だった設備投資などの堅調さに支えられた結果だった。成長率が2%を超えるのは2022年7-9月以来4四半期連続で、FRBの利上げでも冷えることがない米国経済の強さを感じさせた。しかしこのことがFRBの利上げ継続を意識させ、債券市場では米国債の利回りが上昇。長期金利は7月10日以来の4%台となり、2年物米国債の利回りも5%目前まで上がった。金利が上がれば、個人や企業の経済活動の逆風になるほか、株式の投資先としての優位性も薄れるため、株価は下がりやすくなる。
PCE物価指数の4-6月期の伸び率はコア指数で3.8%に
ただしGDP統計で物価上昇の落ち着きが感じられた点は、株式市場の安心材料だ。4-6月期のPCE物価指数の伸び率は、食品とエネルギーを除いたコア指数で、前期比年率換算3.8%。3%台をつけるのは2021年1-3月期以来9四半期ぶりだ。市場予想の4.0%も下回った。FRBのパウエル議長は26日、0.25%の利上げを決めた連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でも「PCE物価のコア指数がはっきりと下がるところをみたい」と述べており、28日に発表される6月のPCE物価指数の前年同月比伸び率も低下すれば、FRBは物価上昇の落ち着きへの自信を深めることになりそうだ。
米国経済の堅調さと物価上昇の落ち着きはFRBにとっては望み通りの好条件がそろった形になる。こうした状況が続けば、米国経済の軟着陸(ソフトランディング)への期待も高まりそうだ。
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