リスク回避局面と最強通貨について
再び新型ウイルスの感染リスクが意識され、世界の主要な株価指数は不安定しています。外為市場で選好される通貨は何か?今日はこの点にフォーカスした内容です。
日本円vs米ドル 最強通貨の争い
新型ウイルスの感染リスクが再び各市場で意識されている。昨日、主要な海外株価指数は軒並み急落する展開となった。注視すべきは米株の動向だが、主要3指数は3%超の急落となり、年初来騰落率ではダウ平均がマイナス2.02%、S&P500がマイナス0.15%と、ナスダック総合を除きマイナス圏へ低下している。そして米債市場では、長期金利(10年債利回り)が1.4%の水準を一気に下方ブレイクすると、一時1.35%台まで急低下する局面が見られた。
リスク回避局面での外為市場では、円高と米ドル高が同時に発生するのがこれまでのパターンだった。先週は米ドルが最強通貨として選好されたが、昨日は日本円が再びその地位を奪還した。リスク回避局面が続く場合、今週はどちらが最強通貨となるのか?この点をリスクリバーサルで考えてみると、ユーロドルのそれが急上昇している状況が興味深い。リスク回避局面(=米ドル買い局面)にもかかわらず、通貨オプションではユーロが米ドルに対して上昇することを予測しているからだ。一方、ドル円のリスクリバーサルは急低下している。これまでのパターン通り「リスク回避→円高」を市場関係者が意識していることを示唆している。つまり、現在の通貨オプション市場では、ユーロと日本円に対して米ドルが売られる可能性を意識していることになる。
リスクリバーサル
一方、インプライド・ボラティリティ(1週間)を確認すると、ドル円のそれは昨年9月上旬以来となる8.0%台へ上昇している。一方、ユーロドルのそれは5%台となっている。リスクリバーサルとインプライド・ボラティリティの動向を考えるならば、リスク回避局面が続く場合、今週は日本円が最も買われやすく、且つドル円はさらなる下落を警戒すべきフェーズにあると言える。目先は110円台の維持が焦点となろう。だが、株安がさらに加速する場合は、再び109円台の攻防へシフトする展開を予想する。109円台で最も注視すべきポイントは、今月に入り相場をサポートし続けた109.50である。尚、ウイルス関連報道以外で今週注視すべきは、米欧の指標データおよびFEDスピーカーの言動となろう。
インプライド・ボラティリティ(1週間)
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