2024年 注目すべき半導体株5選
半導体ビジネスは急速に成長している分野です。この記事では2024年9月の段階で注目されている半導体関連株5選を紹介します。5つの銘柄は営業増益率に基づいて選出されています。
半導体株の背景知識
半導体は、アップル(AAPL)のような大手IT企業からテスラ(TSLA)のような大手自動車企業まで、世界の主要企業の根幹を支える役割を担っています。
一時は半導体不足がさまざまな分野のビジネスに悪影響を及ぼしました。しかし現在では長期のサプライチェーン危機から立ち直りつつあり、さらに人工知能(AI)やデータセンターによる需要も高まっていることから、半導体業界は魅力的な分野となっています。
ただし、インフレの長期化、金利の上昇、天然資源価格の上昇、地政学的不確実性の高まりなどの課題に世界経済が取り組む中で、どの半導体銘柄が有望なのか見極めることが重要です。
半導体株の魅力
半導体関連株は、ハイテク株など高成長が見込まれる業界を支えています。AIやモノのインターネット化(IoT)、自動運転技術、第5世代通信(5G)などの新興技術は、半導体に大きく依存しています。半導体関連株への投資は、これらの技術の成長性に投資することにもなります。
技術の進歩に伴い、半導体の需要は増加します。高倍率で取引されるハイテク株は、今後も大幅に上昇する可能性を秘めており、これが半導体株への需要増につながります。
世界的な半導体不足によってこの業界の非効率さが表面化した一方で、限られた企業が市場を寡占していることもあらわになりました。半導体の製造には巨額の初期投資が必要で、これが新規参入の障壁となっています。このことから、半導体業界は、新規参入コストが比較的低い他業界と比べ、すでに参入している企業にとっては市場シェアを失いにくい構造となっています。
セクターの規模と少数企業による寡占状態により、半導体関連企業は合併・吸収(M&A)の対象になりやすいといえます。M&Aは事業規模の拡大につながるため、特に吸収される側の企業の株価は急上昇する傾向があります。こういった点も、投資家の間で人気を集めている理由です。
当然、半導体関連株への投資にはリスクもあります。特に近年では、アメリカの中国に対する半導体の輸出規制といった地政学的リスクがあり、このような規制は売り上げに影響を及ぼします。
実際、世界最大の半導体会社である台湾積体電路製造(TSMC)は、台湾の治権を巡る中国と西側諸国の対立に挟まれています。軍事介入はTSMCにとって大きな打撃となるほか、軍事介入への懸念さえも株価のボラティリティにつながってしまう可能性があります。
半導体株を取引するには
半導体銘柄は、個別株として取引することも、上場投資信託(ETF)を通じて取引することもできます。例えば、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は米国の半導体株に連動する指数として広く知られています。
他の業界と同様、半導体関連企業も決められた決算時期に決算を発表します。決算発表が迫るにつれて、取引量は急増し、市場のボラティリティが高まる傾向があるので、決算をまたいで取引する際には注意が必要です。
さらに、企業による重大発表や新製品の発表、連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策に関する情報の発表時などにも、ハイテク関連銘柄のボラティリティが高まります。その結果、半導体関連銘柄の取引にも影響が波及する可能性があります。
注目すべき半導体株5選
ここでは、2024年9月に注目の半導体関連株5つを紹介します。(株価とその推移は9月18日時点のものを引用しています。また、過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません)
新光電気工業(6967)
新光電気工業は、半導体の小型化、高速化、高機能化に対応するさまざまな「半導体パッケージ」の開発・製造を行っています。次世代移動通信規格(5G)の実用化のための半導体やIoT・AI関連市場向け、自動運転・電気自動車向けなど、最先端の技術を支えています。
同社は東京証券取引所プライム市場に上場しており、日経500種平均株価 、JPX日経インデックス400の指数に採用されています。2024年6月の四半期決算では、収益は533.58億円(前年比+8.44%)、純利益は49.58億円(前年比++5.72%)でした。
同社の株価は3月に急上昇したものの、年初来では-0.02%に落ち着いています。
ルネサスエレクトロニクス(6723)
ルネサスエレクトロニクスは東京都江東区に本社を置く、大手グローバル半導体メーカーです。三菱電機、ルネサス テクノロジ、NECエレクトロニクスの経営統合によって、2010年4月に設立されました。同社は、自動車、産業、インフラ、IoTの4つの成長分野へ製品を提供しています。
2024年6月の四半期決算では、収益が3588.07億円(前年比-2.69%)、純利益が597.66億円(前年比-34.03%)と大きく減少しました。その影響で、2024年7月以降株価も下降しており、年初来では-20.02%となっています。
しかし、今後3年という目線では、営業増益率+150%超の大きな期待を寄せるアナリスト予想もあります。
SCREENホールディングス(7735)
SCREENホールディングスは、1868(明治元)年に京都で創業した150年以上の歴史を持つ会社です。創業以来の印刷関連事業に加え、半導体やディスプレーをはじめとするエレクトロニクス分野へと事業拡大をしています。
3つのコア技術「表面処理技術」「直接描画技術」「画像処理技術」を基軸に、世界最先端の製造装置メーカーとして唯一無二のポジションを築いています。
2024年6月の四半期決算では、収益が1342.17億円(前年比+34.63%)、純利益が182.15億円(前年比+93.2%)となっています。
同社の株価は決算で一度上昇したものの、現在は下落傾向にあり、年初来では-16.77%となっています。
TOWA(6315)
TOWAは、京都府京都市に本社を置く精密金型、半導体製造装置メーカーです。主に樹脂によって半導体チップを保護する工程を担う「半導体モールディング装置・金型」の世界シェアNo.1企業です。
自動化技術の開発など技術革新を積極的に進め、AI(人工知能)・EV(電気自動車)分野でさらなる需要拡大を狙っています。
2024年6月の四半期決算では、収益が132.53億円(前年比+39.34%)、純利益が16.9億円(+116.16%)と好調でした。株価は同業他社と同じく、2024年中盤までは上昇基調でしたが、業界全体の不透明感から年初来では-12.16%となっています。
CKD(6407)
CKDは、半導体の製造工程向けに機能機器を開発・製造・販売・輸出を行っている機械メーカーです。ウェットファイン機器(薬液制御用の製品)、ドライファイン機器(プロセスガス制御用の製品)、真空機器の3つの製品を中心に半導体製造を支えています。
東京証券取引所プライム市場 名古屋証券取引所プレミア市場に上場しており、日経500種平均株価指数に採用されています。
2024年6月の四半期決算では、収益が380.78億円(+15.31%)、純利益が30.62億円(+3.66%)でした。株価は年初来で14.11%上昇しています。
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