2025年 半導体銘柄おすすめ5選
半導体ビジネスは急速に成長している分野です。この記事では2025年6月の段階で注目されている半導体株のおすすめ5選 (日本含む) を紹介します。5つの銘柄は時価総額に基づいて選出されています。

半導体株の背景知識
半導体は、アップル(AAPL)のような大手IT企業からテスラ(TSLA)のような大手自動車企業まで、世界の主要企業の根幹を支える役割を担っています。
一時は半導体不足がさまざまな分野のビジネスに悪影響を及ぼしました。しかし現在では長期のサプライチェーン危機から立ち直りつつあり、さらに人工知能(AI)やデータセンターによる需要も高まっていることから、半導体業界は魅力的な分野となっています。
ただし、インフレの長期化、金利の上昇、天然資源価格の上昇、地政学的不確実性の高まりなどの課題に世界経済が取り組む中で、どの半導体銘柄が有望なのか見極めることが重要です。
半導体株の魅力
半導体関連株は、ハイテク株など高成長が見込まれる業界を支えています。AIやモノのインターネット化(IoT)、自動運転技術、第5世代通信(5G)などの新興技術は、半導体に大きく依存しています。半導体関連株への投資は、これらの技術の成長性に投資することにもなります。
技術の進歩に伴い、半導体の需要は増加します。高倍率で取引されるハイテク株は、今後も大幅に上昇する可能性を秘めており、これが半導体株への需要増につながります。
世界的な半導体不足によってこの業界の非効率さが表面化した一方で、限られた企業が市場を寡占していることもあらわになりました。半導体の製造には巨額の初期投資が必要で、これが新規参入の障壁となっています。このことから、半導体業界は、新規参入コストが比較的低い他業界と比べ、すでに参入している企業にとっては市場シェアを失いにくい構造となっています。
セクターの規模と少数企業による寡占状態により、半導体関連企業は合併・吸収(M&A)の対象になりやすいといえます。M&Aは事業規模の拡大につながるため、特に吸収される側の企業の株価は急上昇する傾向があります。こういった点も、投資家の間で人気を集めている理由です。
当然、半導体関連株への投資にはリスクもあります。特に近年では、アメリカの中国に対する半導体の輸出規制といった地政学的リスクがあり、このような規制は売り上げに影響を及ぼします。
実際、世界最大の半導体会社である台湾積体電路製造(TSMC)は、台湾の治権を巡る中国と西側諸国の対立に挟まれています。軍事介入はTSMCにとって大きな打撃となるほか、軍事介入への懸念さえも株価のボラティリティにつながってしまう可能性があります。
半導体株を取引するには
半導体銘柄は、個別株として取引することも、上場投資信託(ETF)を通じて取引することもできます。例えば、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は米国の半導体株に連動する指数として広く知られています。
他の業界と同様、半導体関連企業も決められた決算時期に決算を発表します。決算発表が迫るにつれて、取引量は急増し、市場のボラティリティが高まる傾向があるので、決算をまたいで取引する際には注意が必要です。
さらに、企業による重大発表や新製品の発表、連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策に関する情報の発表時などにも、ハイテク関連銘柄のボラティリティが高まります。その結果、半導体関連銘柄の取引にも影響が波及する可能性があります。
注目の半導体株5選
ここでは、2025年6月に注目の半導体関連株5つを紹介します。(株価とその推移は6月24日時点のものを引用しています。また、過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません)。
SCREENホールディングス(7735)
SCREENホールディングスは、半導体製造装置を中心に事業を展開する日本の代表的企業です。2025年3月期の決算では、売上高が前期比23.8%増の6,252億円、営業利益は44.1%増の1,356億円と、いずれも過去最高を更新しました。とくに、主力の半導体製造装置事業(SPE)はAI関連の先端ロジック半導体やメモリ向けの投資を背景に売上が堅調に伸び、台湾や中国向けの販売が好調でした。
現在、生成AIの普及やチップレット技術の拡大により、微細化プロセス向けの装置需要が世界的に高まっています。SCREENはウエハー洗浄装置で高いシェアを持ち、こうした最先端投資に不可欠な装置を提供している点が魅力です。
株価は2025年6月時点で10,615円、PER(株価収益率)は約10倍と、業績の力強さに比して割安感があります。自己資本比率は62.7%、ROEは25.1%と財務面でも優れた指標を示しており、今後の安定成長が期待されます。成熟した企業でありながら、AIや先端半導体の波に乗るポジションを築いていることから、初心者にも注目しやすい半導体関連銘柄のひとつと言えそうです。
ソシオネクスト(6526)
ソシオネクストは、先端半導体の設計に特化したファブレス企業です。特にソリューション型SoC(System on Chip)を主軸に成長を遂げてきました。2025年3月期の決算では、売上高が前期比14.8%減の1,885億円、営業利益が29.6%減の250億円と減収減益でしたが、これは中国市場での通信機器需要の鈍化や為替影響が主因とされています。
一方で、同社は次世代の成長分野であるオートモーティブやデータセンター向けSoCの大型案件を着実に積み上げており、商談金額は過去最高の3,000億円規模にまで達しています。さらに、2nm以下の先端プロセスやチップレット技術、量子コンピュータ向けSoCの開発にも着手しており、今後の業績回復に向けた布石を打っています。
株価は2,778円、PERは約25倍とやや高めですが、自己資本比率80.5%、ROEは14.6%と財務基盤は健全です。開発投資を積極化する一方で、自己株式取得を実施するなど株主還元にも取り組んでいます。現在は業績調整局面にありますが、AIや自動運転の普及に伴い、SoCへの需要が今後さらに拡大する可能性があり、中長期で成長が見込まれる注目銘柄と言えそうです。
三井ハイテック(6966)
三井ハイテックは、モーター用コア部品や半導体向けリードフレームを手がける精密加工技術のスペシャリストです。2026年1月期第1四半期決算では、売上高が前年同期比8.4%増の546億円となり、主力の電機部品(EVモーターコア)事業が好調に推移しました。一方で、営業利益は為替差損や材料費高騰の影響もあり12.6%減の34.7億円、最終利益は79.7%減の9.6億円と、大幅減益となっています。
現在はEVやハイブリッド車の需要拡大により、電動車向け部品の長期的な成長が期待される局面にあります。三井ハイテックは、モーターの高効率化に不可欠な薄板・高精度加工技術を持ち、電動化が進む自動車市場のトレンドと合致した技術優位性を持っています。また、半導体パッケージ部品も成長ドライバーのひとつであり、生成AIなど先端用途にも関与しています。
足元の株価は639円、PERは9倍と割安感が強く、業績調整局面の中でも長期視点で投資を検討しやすい水準にあります。財務も健全で、自己資本比率は46.8%と安定的。短期的なボラティリティを許容できるなら、中長期での回復・成長に期待できる銘柄といえそうです。
AMD(AMD)
AMD(Advanced Micro Devices Inc)は、AI・HPC・ゲーミングなど幅広い用途に対応する高性能半導体を展開する米国企業です。2025年1-3月期の売上は前年同期比36%増の74億ドル、純利益は476%増の7.09億ドル(1株当たり0.44ドル)と、好調なスタートを切りました。非GAAPベースでは、純利益は15.66億ドル、EPSは0.96ドルに達しており、データセンター分野での成長が大きく寄与しています。
特に注目なのが、生成AI市場に向けた「AMD Instinct」GPUや、EPYCサーバーCPUの販売拡大です。MetaのLlama 4やGoogleのGemma 3といった次世代AIモデルに対応した最適化を早期から進めており、ソフトウェア対応面でも強化を図っています。また、ZT Systemsの買収により、AI向けシステム全体のソリューション提供力が強化されつつあります。
足元の株価は131ドル、PERは96倍と高水準ですが、これは将来の成長性を織り込んだ評価とも言えます。財務面では、キャッシュフローや自己資本も安定しており、AI半導体における「NVIDIA一強」の構図に変化をもたらす存在として注目されています。
AI分野の裾野が広がる中、AMDの戦略的展開は今後の業界構造に影響を与える可能性があり、短期のボラティリティを超えて中長期でのポテンシャルに期待したい銘柄です。
Qualcomm(QCOM)
Qualcommは、スマートフォン向けSoC(Snapdragon)で広く知られる一方、近年は自動車やIoT、AI分野への事業拡大を急速に進めています。2025年1-3月期の売上は前年同期比17%増の109.8億ドル、純利益は21%増の28.1億ドルと、堅調な成長を示しました。とくに半導体部門(QCT)の営業利益は前年同期比25%増、自動車とIoTを合計した売上は38%増と、スマホ依存からの脱却が着実に進んでいます。
現在、Qualcommは自動運転支援システム向けSoCや、低消費電力AIエッジチップなどを展開し、「スマホ以外」の分野での収益源拡大を進めています。特に自動車用プラットフォーム「Snapdragon Digital Chassis」は、世界の大手自動車メーカーに採用され始めており、今後の柱となる可能性があります。
株価は151ドル、PERは約15倍と米国の半導体株としては比較的割安な水準です。安定した利益構造と手厚い株主還元(四半期配当と自社株買い)も魅力で、2025年Q2には27億ドルを株主に還元しました。スマホ市況が落ち着く中でも、次の成長分野を掴みにいく戦略が明確で、初心者にも比較的安心して注目できる中型成長株のひとつといえそうです。
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