注目の景気敏感株8選
贅沢品や余暇への支出に影響を受ける景気敏感株は、景気の浮き沈みを反映します。この記事では、2024年に注目の景気敏感株8選を紹介します。各銘柄は時価総額と取引量に基づき選定されています。
景気敏感株(シクリカル株)とは
景気敏感株とは、個人消費に敏感に反応し、通常経済の波とともに上下する株のことです。こう言った株は景気循環株やシクリカル株とも呼ばれます。
消費者の所得が増えると、贅沢な買い物や旅行をしたくなる心理が働きます。景気敏感株の代表例としては、空港、ホテル、スポーツカーメーカー、高級品、百貨店などが挙げられます。
注目の景気敏感株8選
ここでは、注目の景気敏感株8選をご紹介します。株価とその推移は4月8日時点のものを引用しており、各銘柄は時価総額と取引量に基づき選定されています。また、過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません。
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アコーホテルズ(ACCO.P)
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リシュモン(CFR.VX)
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フェラーリ(RACE.N)
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ADPグループ(ADP.PA)
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エルメス・アンテルナショナル(HRMS.PA)
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ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス(HLT.N)
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三越伊勢丹ホールディングス(3099)
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LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH.PA)
アコーホテルズ(ACCO.P)
アコーホテルズはパリ近郊に本社を構えるヨーロッパ最大のホテルグループです。ホテル業界最大となる40以上のブランドを有しており、ラッフルズ、フェアモント、ソフィテルのような高級ホテルから、イビスのような格安ホテルまで幅広く展開しています。現在は100カ国以上で5,580以上のホテルを所有、経営、またはフランチャイズ展開しており、さらに1,315の新規ホテルの建設が計画されています。
同社は2024年にパリで開催される夏季オリンピックのオフィシャルパートナーとなっているため、オリンピック景気の恩恵を受けるのではないかと期待されています。2023年の売上高は前年比20%増の50.56億ユーロ、純利益は57%増の6.33億ユーロでした。
リシュモン(CFR.VX)
リシュモンはLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの最大の競合で、同じように多数の会社を傘下に有するものの、ラグジュアリーブランドにより重きを置いています。同社はジュエリーのカルティエやヴァンクリーフ&アーペル、腕時計のピアジェ、ジャガー・ルクルト、ヴァシュロン・コンスタンタン、そして筆記具のモンブランなどを保有しています。
2023年12月31日までの9カ月間の売上高は、前年同期比5%増(為替固定の場合11%)の158.14億ユーロでした。最も好調だったジュエリー部門は、売上高の69%を占めました。
フェラーリ(RACE.N)
Ferrari NV (ITA)が提供する最高級スポーツカーの新車価格は、オプションなしで23万950ドルから52万4815ドルの間で販売されています。富裕層をターゲットとした価格設定であるため、景気が良ければ同社の売り上げが伸びるのは容易に想像できます。2023年には、創業者のエンツォ・フェラーリを題材にしたハリウッド映画が公開され、フェラーリの地位はさらに高まりました。
同社の業績は良好で、2023年の売上高は前年同期比17%増の59.7億ユーロ、純利益は34%増の12.6億ユーロでした。
同社は2025年に初の電気自動車(EV)を導入する予定ですが、直近の報告書では、このリスクについて注意を喚起しています。研究開発の費用を回収できない可能性があるほか、EV技術が「運転体験」を損うことで同社の価値を長期的に下げる可能性があるとしています。
ADPグループ(ADP.PA)
「Aeroports de Paris」の頭文字が社名となっているADPグループは、パリの主要国際空港、シャルル・ド・ゴール空港(CDG)とオルリー空港を運営しています。同社はまた、旧空港のル・ブルジェ空港をはじめ、首都圏で10カ所の民間飛行場を保有しています。
CDGとオルリー空港は、2024年夏季オリンピック・パラリンピックで多くの来訪者を迎えるために整備が進められています。2024年6月には、完全に自動化された新しい地下鉄14号線のオルリー駅が開通する予定です。
2023年の同社の売上高は前年同期比17.2%増の54.95億ユーロ、純利益は22.2%増の6.31億ユーロでした。
エルメス・アンテルナショナル(HRMS.PA)
エルメスはこの10年間で大きな進化を遂げており、株価は836%高となっています。時価総額は2450億ユーロに上り、欧州の巨大テクノロジー会社であるエアバスグループ NV (FR)(AIR.PA)のほぼ2倍となっています。
1837年に馬具職人であったティエリ・エルメスが創業した同社は、緻密かつ高度な職人技が定評を得ており、持株会社を通じて一族の子孫によって守られ続けてきました。革細工の技巧はファッショナブルなハンドバッグやジャケットの手縫へと進化したほか、馬車のロゴを用いたシルクスカーフでも知られています。フォーブル・サントノーレ通りにある同社の旗艦店は、本店と同じパリにあります。
高級ブランドの買収によって「カシミヤを着た狼」とも呼ばれたLVMHの創業者、ベルナール・アルノー氏の支配から逃れたことで、同社の成功は一層旨味を出しています。
LVMHは2010年10月、エルメス株の17.1%を保有していることを発表し、その後、保有率を22.6%まで伸ばしました。エルメスはLVMHがインサイダー取引、談合、株価操作を行ったとして訴え、フランスで裁判が始まりました。これに対してLVMH側は、エルメスが恐喝、中傷、不当な競争をしているとして提訴が続きました。
法廷闘争は2014年にLVMHが白旗を上げる形で終わり、エルメス株はLVMHの投資家に分配され、アルノー家はごく一部を保有するのみとなりました。ヘルメス家は同社株を少なくとも2041年まで売却しないことで全員一致しています。
エルメスの2023年の純利益は前年同期比28%増の43億ユーロ、売上高は15.7%増の134.3億ユーロでした。4月8日の終値は2,339ユーロで、過去3ヶ月で28%上昇しています。
ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス(HLT.N)
ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスは、126の国と地域に7,500以上の宿泊施設、120万室近くを所有する世界最大級のホテルグループです。同社は1919年に設立されて以来、ウォルドーフ・アストリアを始めとする高級ホテルの代名詞となっています。そのほかにも、さまざまなホテルやリゾートを所有、経営、フランチャイズしており、その大半がヒルトンの名前を掲げています。
同社の収益性は高く、2023年の純利益は11.5億ユーロでした。2024年の純利益見通しは、16.94億から17.29億ユーロとしています。
三越伊勢丹ホールディングス(3099)
三越伊勢丹ホールディングスは、2008年に2つの老舗百貨店が合併して誕生しました。三越の起源は1673年に遡り、東京の三越本店はその壮大な外観で広く知られています。日本の百貨店の業績は、個人の消費マインドを測る重要な指標となっており、消費者の可処分所得が上がれば業績が改善し、財布の紐が引き締まると悪化する傾向があります。
株価は2,435円前後で推移しており、年初来で58.7%上昇しています。2023年12月31日までの9カ月間の売上高は9.4%増の4018億円、純利益は59%増の311億円でした。
LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH.PA)
LVMH モエヘネシー・ルイヴィトンは、世界最大級の高級品グループで、欧州ではノボノルディスク(NOVOb.CO)に次いで2番目の時価総額を誇っています。
同社の会長兼CEOであるベルナール・アルノー氏は、しばしば強引な手段を用いて、ワインや蒸留酒、ファッションや皮革製品、香水や化粧品、時計や宝飾品など、75以上のブランドを含むポートフォリオを構築しました。近年ではフランスの新聞2紙、雑誌社、ラジオ局、高級小売店やラグジュアリー旅行ビジネスも買収しました。
また、世界有数のショッピング街であるパリのシャンゼリゼ通りに、3つの不動産を保有しています。同社は毎年10億ユーロ以上をフランスに投資しており、民間企業としてフランス国内で最大の雇用主です。
2023年の純利益は前年同期比7.7%増の151.7億ユーロ、売上高は8.8%増の861.5億ユーロでした。
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