注目のESG投資が株式テーマの銘柄6選
上場企業が環境、社会、ガバナンス(ESG)問題に取り組む必要性が高まっています。この記事では、ESG投資が株式テーマの銘柄6選をご紹介します。取り上げる銘柄はESG評価に基づいて選ばれています。
ESG関連銘柄とは?
ESG関連銘柄は、環境や社会、ガバナンスへの取り組みに優れた会社の株を指します。最近では、気候変動や持続可能性、人や社会との関係性に対する取り組みや経営のあり方などの開示が、上場企業にますます求められています。
指標の中には、ESG成績に基づいて企業をランク付けするものもあります。中でも、非営利団体カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)によるランキングは、最も権威があるとされています。CDPは環境に関する世界最大のデータを持っているため、スコアが持続可能な投資や調達の指針としてよく利用されています。
2023年には、740以上の金融機関がCDPのプラットフォームを通じて、企業に対して環境への影響、リスク、機会に関するデータの開示を求めました。CDPの調査に回答した21,000社のうち、気候変動、フォレスト、水セキュリティの3項目において全て「A」ランクを獲得したのは11社のみでした。「AAA」ランクを獲得した企業のうちの7社は欧州の企業であり、日本からは花王と積水ハウスの2社が名を連ねています。
2024年夏に注目のESG投資が株式テーマの銘柄6選
ここでは、2024年に注目のESG関連銘柄をご紹介します。取り上げる銘柄は「CDP 2023 Aリスト」において、気候変動、フォレスト、水セキュリティの項目で「A」を獲得した11社から選ばれています。なお、過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません。
バイヤスドルフ(BEIG.DE)
バイヤスドルフは、ニベアやコパトーンといったスキンケアブランドや、絆創膏などを手掛けるエラストプラストといったブランドを運営するドイツの企業です。同社は脱炭素化へ向けた動きを加速しているとした上で、資源を確実に循環させようと試みています。さらに、水や生物多様性、土壌、生息地の保全は同社の緊急優先事項であるともしています。
同社は2025年までにマイクロプラスチックを廃止したり、包装の100%を詰め替え・再利用・リサイクル可能にしたりすることで、2045年までに温室効果ガス排出量ネットゼロを目指しています。また、パーム油の調達を、すでに持続可能な森林からのものへ切り替えています。
昨年度の同社の売上高は94.5億ユーロ、純利益は7.49億ユーロでした。株価はこの6ヶ月間で約19%上昇しており、5月7日には144.10ユーロで大引けとなりました。同社株の51.18%は、持株会社であるmaxingvestが保有しています。
ダノン(DANO.PA)
ダノンはフランスに本社を置く食品メーカーです。同社は、生鮮乳製品、植物由来の食品・飲料で世界1位、ボトル入り飲料水と乳児用栄養食品では世界2位のシェアを誇ります。
2050年までにネットゼロの達成を目指している他、ミルクの製造段階におけるメタン排出量の削減、エネルギー効率の向上、水源の保全と回復を目標にしています。さらに、2025年までに森林破壊ゼロと再生可能な農業への移行、2030年までに全ての包装を再利用・リサイクル・堆肥化にすることも掲げています。
同社は社会問題にも取り組んでおり、10万人以上の従業員の間では、高い水準の多様性・平等性・インクルージョン(包括性)を保っているとしています。
昨年の売上高は276.2億ユーロ、純利益は22億ユーロでした。5月7日の株価は58.72ユーロで大引けとなり、この12ヶ月間で株価は3.5%上昇しています。
花王(4452)
花王は化粧品、家庭用の洗剤・化学製品などを扱う企業です。数ヶ月前に香港のヘッジファンドから「スリーピングジャイアント(眠れる巨人)」と揶揄されましたが、ESGに関しては活発な動きを見せています。同社代表取締役兼社長執行役員は、社内の「ESGコミッティ」やその傘下の団体の議長を務めており、ESGに基づいた経営の実行を保証しています。
同社は2040年までにカーボンゼロ、2050年までに「カーボンネガティブ」にするという目標を掲げています。昨年には使用する電力全てを再生可能エネルギーから調達することに成功し、2025年としていた二酸化炭素削減目標を2年先倒しで達成しました。
また、化石由来のプラスチックを廃止し、使用するプラスチック全てをリサイクル可能にするための取り組みも行っています。科学研究部門においては、パーム油を藻類に置き換えて油脂生産する技術を推進しています。
5月7日の同社の株価は、6,575円で大引けとなりました。
ケリング(PRTP.PA)
ケリングはグッチやイブサンローラン、バレンシアガ、ブシュロン、ボッテガ・ヴェネタ、アレキサンダー・マックイーンなどのブランドを保有するラグジュアリーグループです。
フランスに本社を置く同社は、ESGへの取り組みを長年行ってきました。特に、100万ヘクタールのかけがえのない重要な生息地の保護を中心とした、生物多様性への配慮が注目を浴びています。また、コンサベーション・インターナショナル社と共同で、100万ヘクタールの農作地や放牧地を再生可能な農業スペースに転換することにも取り組んでいます。
同社は原材料のトレーサビリティ(追跡可能な状態にすること)や、リサイクル、地球温暖化ガスの削減にも注力しています。使い捨てファッションに反対する世界のトレンドを受け入れ、長持ちするラグジュアリー製品の推進や、全体的な調達アプローチを取り入れたいとしています。
また、女性活躍の推進でも、取り組みが評価されています。2009年にはフランス国内での女性に対する暴力に立ち向かうために、ケリング・ファウンデーションを立ち上げました。
株価は329.85ユーロで大引けとなった5月7日までの12ヶ月間で、39%下落しています。
マイヤー・メンホフ・カーウァイトン(MMKV.VI)
マイヤー・メンホフ・カーウァイトンは、プラスチックに代わる木材由来のリサイクル可能な包装材を製造しています。オーストリアのウィーンに本社を置く同社は、欧州におけるカートンボードと折りたたみカートン紙で業績トップを誇ります。
2031年までの目標として、温室効果ガスの排出量を2019年比で半減させることと、産業用廃棄物の99%をリサイクル・再利用・あるいはエネルギー回収のために燃焼することを掲げています。使用している木材は全て持続可能な方法で調達され、水の使用は汚染しない形で節約するように管理されています。
同社はウェブサイト上で、グループ従業員全員とバリューチェーン上の全ての人々に対して社会的責任を負っていると述べました。さらに、安全な職場、最高の労働環境、人権の保護にも焦点を置いていると付け加えています。
2024年第1四半期の売上高は10.25億ユーロ、純利益は1090万ユーロでした。株価は5月7日に114ユーロで大引けとなり、過去12ヶ月間の下落率は21%でした。
積水ハウス(1928)
積水ハウスは賃貸住宅にソーラーパネルを設置することで、2018年に初のネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を完成させました。現在はサプライチェーンの脱炭素化を進めながら、このモデルを商業ビルにも広げています。建物に木材を調達するにあたり、同社は「森林減少ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ」という国際的な方針に従っています。
国外ではガバナンス問題の啓蒙に努めており、ガバナンスの専門家の配置率を95%にまで高めています。
5月7日の株価は3,684円で大引けとなり、過去12ヶ月間では37%上昇しています。
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