FXのロングとショートとは何か？判断方法や具体的なやり方の解説
FX取引の「ロング」と「ショート」という言葉は取引の基本となるため、しっかりと理解しておく必要があります。FXのロングとショートとは何か、その判断方法や具体的なやり方などについて解説します。
ロングとショートとは？
FX（外国為替）や株などの金融商品の取引で頻繫に登場する「ロング」や「ショート」の意味を理解することは、初心者トレーダーにとって最初のステップとなります。
トレーダーは、ある通貨が他の通貨に対して相対的に上昇（値上がり）すると考えるか、下落（値下がり）すると考えるかによって、ロングポジション（買いポジション）またはショートポジション（売りポジション、空売り）を構築します。簡単に言うと、トレーダーは通貨が上昇すると考えた時には取引する通貨を「ロング（買い）」にし、通貨が下落すると考えた時には取引する通貨を「ショート（売り）」にします。
例えば、ドル/円をロングするということは「円を売ってドルを買う」、つまりドル/円の上昇で利益を得られるポジションを取るということです。一方、ドル/円をショートするということは「ドルを売って円を買う」、つまりドル/円の下落で利益を得られるポジションを取るということになります。
ロングとショートでは期待する値動きの方向に違いがあるため、取引をする際は間違えないように注意しましょう。
なぜロングとショートはそう呼ばれるのか
ロングとショートの語源は、一説にはポジションを保有する時間の長さにあると言われています。株式などの金融商品では、一般的に価格が上昇していく時はゆっくり（ロング）と上昇し、下落する時は短期間（ショート）になる傾向があることから、こうした用語が使われるようになったようです。
FXの取引におけるポジションの3つの構成要素
FXのポジションには、以下の3つの構成要素があります。
- 対象となる通貨ペア
- 方向性（ロングまたはショート）
- サイズ（ポジションの量）
まず、トレーダーは様々な通貨ペアでポジションを取ることができます。そして、通貨の価格が上昇すると予想する場合はロング、下落すると予想する場合はショートを選択します。
トレーダーが取ることのできるポジションの大きさ（ロット数）は、口座にある資金と必要証拠金によって変わってきますが、初心者のうちは損失を抑えるために小さくしておくようにしましょう。
FXのロングポジションの定義とやり方
ロングポジションとは、トレーダーが取引する通貨価値の上昇を期待して行う取引のことです。トレーダーが買い注文を実行すると、対象の資産がドル/円であれば、ドル/円のロングポジションを保有することになります。ここで期待しているのは、ドルの価値が円に対して上昇（ドル/円の価格が上昇）することです。
例えば、あるトレーダーがドル/円の2ロットのロングポジションを保有しているとします。この場合の状況を分かりやすくまとめると、以下のようになります。
- 保有資産：ドル/円
- 取引の方向：ロング（買い）
- ポジションサイズ：2ロット
トレーダーはロングポジションを取るために、テクニカル分析を使ってチャートを分析し、買いシグナルを探します。買いシグナルの例として、ある通貨がサポートラインまで下落した場面を考えてみましょう。
サポートライン（支持線、下値支持線）とは、チャートで過去の2つ以上の安値を結んだ線であり、このラインの近くまで価格が下落すると、上昇に転じることが期待できます。
次のチャートでは、ドル/円は緑色の線で示した110.274まで下落していますが、このレベルで何度も反発しています。この110.274のレベルがサポートラインとなり、価格がこのレベルまで下がった時がトレーダーにとって買いシグナルとなります。
外国為替市場の優位性は、平日は24時間取引が可能という点です。市場が開いている時間帯であれば、いつでも注文を出すことができます。
ただし、流動性が高まるニューヨークやロンドン、東京といった主要な市場の取引時間帯での取引を好むトレーダーも少なくありません。
FXのショートポジションの定義とやり方
ショートポジションは、本質的にロングポジションの反対の性質を持っています。つまり、トレーダーがショートポジションを保有する時は、取引する通貨の価値の下落（値下がり）を期待しているということになります。
通貨をショートするということは、将来的に通貨価格（レート）が下落することを期待して通貨を売ります。トレーダーはポジションを保有した後、同じ通貨をより低い価格で買い戻します。
高い売りの価格と、安くなった買いの価格の差が、トレーダーの利益です。トレーダーがドル/円をショートする場合、ドルを売って円を買うことになります。
トレーダーはショートをするタイミングを計るために売りシグナルを探し、ショートポジションを取ります。例えば、取引する通貨の価格がレジスタンスラインに達した時に、一般的な売りシグナルとなります。
レジスタンスライン（抵抗線、上値抵抗線）とは、2つ以上の高値を結んだ線であり、取引する通貨にとって突破するのが難しいと考えられる水準のことです。
下のチャートでは、ドル/円は赤色の線で示した114.486まで上昇し、もう一段上昇するのに苦戦しています。この価格帯がレジスタンスラインとなり、価格が114.486に達した時点で売りシグナルとなります。
FXでロングとショートの判断をする方法4選
FXでロングとショートを決める時の代表的な判断方法には、次のようなものがあります。
相場に合わせてロングとショートを適切に使い分けるための方法を学び、より多くの利益を狙えるようになりましょう。
1. ローソク足
ローソク足とは、一定期間の相場の始値、高値、安値、終値を1本の棒線で表したものです。ローソク足は大きく分けると、始値より終値が高い「陽線」、始値より終値が安い「陰線」の2種類があり、色によって価格が上がったか下がったかを表します。
そして、陽線と陰線の中でも、ローソク足の実体（始値と終値を四角で囲んだ部分）が他と比べて明らかに大きなものは、大陽線と大陰線と呼ばれます。
大陽線は始値から大幅に価格が上昇したことを示し、上昇局面で現れると相場の上昇が続くとされています。逆に、大陰線は始値から価格が大きく下落したことを示し、下落局面で現れると下落の継続が予想されます。
したがって、上昇局面で大陽線が出たらロング、下落局面で大陰線が出たらショートのシグナルと見なすことができます。
移動平均線は、一定期間の終値の平均値を結んで求めるのが原則です。例えば、5日移動平均線の場合、直近5日間の終値を合計して5で割った値を出します。
移動平均線はよく期間の異なる2本を組み合わせて使われます。短期線が長期線を下から上抜けた場合は「ゴールデンクロス」と呼ばれ、これは価格の上昇を示す買いシグナルです。一方、短期線が長期線を上から下抜けた場合は「デッドクロス」と呼ばれ、こちらは下落を示す売りシグナルになります。
移動平均線のクロスは相場のトレンドを一目で読み取ることができるため、初心者でも活用しやすい売買シグナルです。
3. トレンドライン
トレンドラインとは、相場の方向性を分析する際にチャートに引く斜めの線のことです。線を引くだけでトレンドを分析できるため、初心者でも直感的に理解しやすく、ロングとショートの判断に役立ちます。
トレンドラインには、2つ以上の安値を結ぶ右肩上がりの「上昇トレンドライン（サポートライン）」と、2つ以上の高値を結ぶ右肩下がりの「下降トレンドライン（レジスタンスライン）」の２種類があります。
上昇トレンドラインを引くと、価格がこの線の上にある場合には上昇トレンドが継続しており、価格が下落した時にこれ以上は下がらないと予測できます。そのため、サポートラインにローソク足がタッチした時にロングするのが効果的です。
一方、下降トレンドラインを引くと、価格がこの線の下にある場合は下降トレンドが継続しており、価格が上昇した時にこれ以上は上がらないと予測できます。したがって、下降トレンドラインにタッチした時にショートを狙います。
ただし、これらのラインを抜けてしまった時は一気に反対方向へ動く可能性があるため、その時は速やかに損切りすることが重要です。
4. ファンダメンタルズ分析
前述した3つの分析方法はテクニカル分析と呼ばれるものですが、ファンダメンタルズ分析でもロングとショートを判断することが可能です。ファンダメンタルズ分析とは、国の金融政策や経済状況を基に相場の動向を予測する方法であり、具体的には各国政府が発表する経済指標や要人発言などから今後の値動きを予想します。
例えば、米国の雇用統計で発表された雇用者数が市場予想を上回った時は、米国の労働市場が好調であり、景気が良くなるサインだと考えられます。米国の景気が良くなれば、ドルの価値が上昇しやすくなることから、ドル/円をロングすることで利益が狙えると判断できるのです。
ファンダメンタルズ分析は一定の知識や経験が求められる分析方法ですが、テクニカル分析に慣れてきたらチャレンジしてみるとよいでしょう。
最新の経済指標や要人発言などの予定については、こちらのページをご覧ください。
まとめ
ここまで、FXのロングとショートとは何か、判断方法、具体的なやり方などについて解説してきました。ロングとは通貨価値が上昇することを期待して買うこと、ショートとは価値が下落することを期待して売ることを指します。
初心者は分かりやすいロングから始めることをおすすめしますが、相場状況に応じてショートも活用できるようにすると、取引機会を大きく増やすことができます。不安な方はまずデモ口座でロングとショートの使い分けを練習し、それから本番に移行するとよいでしょう。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
IG証券のFXトレード
- 英国No.1 FXプロバイダー*
- 約100種類の通貨ペアをご用意
* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供）での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ（Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月）
