REIT(不動産投資信託)の仕組みと取引方法を解説
REITにはどのような種類があり、どのように取引したらよいのでしょうか?不動産投資信託のメリットとデメリットについて学びましょう。
1. REITとは
REIT(不動産投資信託)とは、不動産に投資して資金を運用する投資法人です。投資家はREITが発行する投資証券を購入することができます。標準的なアクティブ運用のファンドのように、不動産に投資することが可能で、不動産を直接所有しなくても分配金を受け取ることができます。
税制上の優遇措置も、トレーダーにとっての魅力の一つです。REITのポートフォリオは、倉庫やオフィスビルなどの商業用不動産や、住宅用不動産などの異なるタイプの不動産資産で構成されます。
2. REITの仕組み
上場企業の株式と同じように、REITの投資証券は東京証券取引所、ロンドン証券取引所、ユーロネクスト、ニューヨーク証券取引所などの世界中の主要な証券取引所のほとんどで上場されています。また、多くの異なるREITに投資するREIT上場投資信託(ETF)もあります。
日本で登録されるREITには厳しい規則があります。例えば、REIT運用資産の70%は賃貸不動産で、REIT運用資産の95%が不動産または不動産関連資産でなければなりません。残りの5%の資産はその他の資産でもよく、不動産開発などの関連分野にまわされることが多いようです。
さらに、日本でREITとして認定されるには、物件の賃貸から得られる利益の90%を投資家に分配する必要があります。 英国や米国でも、REITの不動産賃貸による利益の90%を配当の形で投資家に分配することが義務付けられていますが、不動産開発など他の活動から得た利益の25%は、株主に分配する必要はありません。
REIT取引では、さまざまな種類の不動産資産に投資することができます。例えば、日本ビルファンドはオフィスビルに、日本プロロジスリートはストレージユニットや倉庫に、いちごホテルリートは国内ホテルに投資しています。
3. REITの種類
不動産種別による分類の他にも、REITには下記の種類があります。
・上場REIT
世界の主要な証券取引所で取引される上場REITには、オリックス不動産投資法人、東急リアル・エステートなどがあります。個人投資家にも利用しやすい半面、公開されているために価格が変動する可能性があります。
・非上場REIT
非上場REITは、主要な証券取引所で取引されていないため、参入が難しい不動産にも投資ができます。必要資金が少なくて済みますが、上場REITと比較すると高いリスクを伴う場合があります。減税対象の投資であり、定期的に取引されないため、比較的流動性が低い側面もあります。
また、本国の関連規制当局に登録する必要があり、手数料が高くなる傾向もあります。投資からの撤退が難しくなることもあります。非上場公募REITは通常、満期が決まっており、信託が解散するか、証券取引所に上場されるかのどちらかで解約されます。
・非上場私募REIT
非上場の私募REITもあり、一般に個人投資家は利用することができません。これらのREITは通常、富裕層によって保有されています。
資産別の分類
・エクイティREIT
エクイティREITとは、不動産に直接投資するREITで、証券取引所で取引されているものです。倉庫、ホテルなどの商業用施設、マンションやその他の不動産資産を含むポートフォリオを所有・管理します。
・モーゲージREIT
モーゲージREITは、モーゲージ(不動産担保ローン)とモーゲージ担保証券に投資するものです。融資の買い取りや、利息から収益を得ます。
・ハイブリッドREIT
ハイブリッドREITは、エクイティREITとモーゲージREITの両方の特性を兼ね備えています。不動産ポートフォリオを所有・管理しながら、モーゲージからも収入を得ることができます。
4. REITの取引方法
REITの取引はどのように行うのでしょうか。
1. REITについて詳しく知る
REITについて詳しく調べ、自分に合った投資先かどうか判断しましょう。REITの種類を選んだら、どの銘柄のREITをトレードするのかを具体的に決めます。
2. 口座を開設する、またはデモで練習する
口座を開設して取引を開始するか、またはデモ口座で練習します。
3. 自分に最適な選択をする
口座の準備ができたら、取引したいREITの銘柄を決めます。ログイン後、「個別株口座」を選択し、取引したい銘柄名を検索します。
4. ポジションサイズの選択とリスク管理
CFDに投資する金額と取引期間を決めます。自分のリスクプロファイルと、その取引が自分に合っているかどうかを考えましょう。必要であれば逆指値注文(ストップロス注文)を導入し、どこまで損失を許容するか検討しましょう。
5. 取引を行ってモニターする
IG証券ではREITの現物取引はできませんが、CFDを利用してREIT銘柄を取引することはできます。
5. REITの長所と短所
REITの長所
不動産投資信託には税制上の優遇措置があり、賃貸収入や過去に賃貸していた投資物件の売却益に対して法人税がかかりません。また、不動産賃貸収入は比較的安定している傾向にあり、多くのテナントは5年から25年の賃貸契約を結んでいるため、REITと投資家の双方にとって、堅実で信頼性の高い収入を得ることができます。
REITの配当利回りは、セクターやパフォーマンスによって異なるため、投資家は調査の上、自分に合った投資先を選ぶ必要があります。REIT投資では、個人投資家がポートフォリオを分散し、高額な資金支出や不動産所有のリスクが少ない状態で不動産市場にアクセスできます。
REITの短所
リスクのない投資は存在しません。ここではREITの短所についてみていきます。
- 倒産や上場廃止の可能性
取引上に上場しているREIT(以下では上場REIT)は、運営元である不動産投資法人の倒産、または上場が廃止になる可能性があります。実際に倒産した例もあるため、投資家自身による調査が不可欠です。
- 低い流動性
上場REITは取引所に上場していますが、一般の株式と比べて流動性に欠けます。
- 資本不足と再投資のリスク
上場REITは分配金の支払いについて厳しい決まりがあるため、十分な資本を事業に再投資することが困難な場合があります。
- 外部要因の影響
上場REITの投資証券の価格は、市場のボラティリティや景気、金融政策などの外部要因に左右されます。このため、REITの決算発表で詳細な状況を把握しおく必要があります。
- 非上場REITの短所
REITには上場REITの他、非上場REITもあります。日本では私募リートと呼ばれています。
非上場REITの短所は、上場REIT以上に流動性が乏しいことです。また非上場のため、取引所等の規制が働かないことや公開されている情報もほとんどありません。
6. REITのまとめ
- REIT(不動産投資信託)を購入することで、分散されたバランスの取れた投資ポートフォリオを形成できます
- REITでは、直接不動産を取引をしなくても、不動産市場に投資することができます
- REITは、法人税の免除など、一定の税制優遇を受けています
- 不動産賃貸収入は比較的信頼できる傾向にあります
- REITは市場のボラティリティに左右されることがあります
取引前のご自身による調査を強くお勧めします。
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