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CPIでS&P500上昇、経済指標次第でさらなる株高も、ナスダック100の見通し

8月の消費者物価指数(CPI)でアメリカのインフレが鈍化の傾向にあることが確認された。米緩和サイクル入りが下支えの要因となり、S&P500は10日線と21日線を上方ブレイクする状況にある。一方、ナスダック100は3日続伸した。今日以降の経済指標次第では、さらなる株高が予想される。懸念は景気不安の再燃にある。ナスダック100の見通しと注目のチャート水準は?

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記事のポイント

・景気懸念がくすぶるなかで米国株の反発ムードが高まっている
・今日以降の経済指標で景気懸念が後退すれば、米株の反発相場が続くだろう
・3日続伸のナスダック100は、2つの移動平均線の攻防に注目したい
・一方、反落の局面では18,400ポイントの維持が焦点となろう


ナスダック100 注目のチャート水準

上値の水準(レジスタンス)

・19,922:76.4%戻し
・19,600:レジスタンスの水準
・19,353:50日線(9/11時点)
・19,279:21日線(9/11時点)

下値の水準(サポート)

・18,698:38.2%戻し
・18,400:サポート水準
・18,315:半値戻し
・17,932:61.8%戻し


8月CPIは米株高の要因に

米労働省が11日に発表した8月の消費者物価指数(CPI)は、前月比のコア指数(エネルギーと食品を除く指数)が0.3%上昇した。市場予想の0.2%を上回った。

一方、前年同月比の上昇率は3.2%で7月から横ばいとなった。また、総合の前年同月比の上昇率も2.5%と7月の2.9%から鈍化した。市場予想の2.6%も下回った。

トレンドを示す前年同月比でアメリカのインフレが鈍化の傾向にあることが確認されたことで、11日のアメリカ株式市場では主要な株価指数が上昇した。

米国 消費者物価指数(CPI)の動向:23年8月以降

米国 消費者物価指数(CPI)の動向:23年8月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:8月の結果

一転して反発ムードが高まるS&P500

米国株が息を吹き返している。アメリカのインフレが鈍化の傾向にあることで、市場参加者は9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策が緩和サイクルへ転じることを強く意識している。

利下げ期待は米国株の下支え要因となり、11日のIG米国株レポート「米国株は下落一服も根強い景気懸念、焦点は8月CPIと雇用関連指標、正念場のS&P500」で取り上げたS&P500種株価指数(S&P500)は、デッドクロスの状況にある10日線と21日線を下影陽線で上方ブレイクした。安値圏での下影陽線の出現は相場の反発を暗示する。

また、5,400ポイントで長い下ヒゲが示現し、かつRSIがゴールデンクロスへ転じたことも考えるならば(下の日足チャート、緑矢印を参照)、今日以降の経済指標次第では下落相場から一転、S&P500はさらなる反発が期待できる状況へ転じている。

S&P500のチャート:日足 今年7月以降

S&P500のチャート:日足 今年7月以降

出所:TradingView

経済指標次第でさらなる株高も

米国株の反発ムードがさらに高まるのかどうか?この鍵を握るのが、経済指標となろう。

今日は週間の新規失業保険申請件数が材料視される可能性が高い。昨日のIG米国株レポートで指摘したとおり、直近の新規失業保険申請件数と失業保険継続受給者数はともに減少傾向へ転じている。労働市場の堅調さが確認される場合は、米国株のさらなる反発が予想される。

米国 新規失業保険申請件数:23年以降

米国 新規失業保険申請件数:23年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

明日は9月のミシガン大学消費者態度指数(速報値)が発表される。この指標は、個人消費の先行指標として注目されている。

2022年7月以降、アメリカ消費者のマインドは上昇傾向へ転じた。しかし、直近は低下傾向にある。9月の市場予想を確認すると、8月の67.9から68.4へ改善する見通しにある。一方、期待指数72.1から71.3へ低下する見込みとなっている。

個人消費はアメリカ経済の土台である。期待指数も含めて予想以上にアメリカ消費者のマインドが改善に向かっていることがミシガン大学消費者態度指数で確認される場合は、景気懸念が後退しよう。

メインテーマが「インフレ」である時は、強い経済指標が米株安の要因となった。しかし、現在のメインテーマは「景気」へシフトしている。ゆえに、「強い経済指標→景気懸念の後退」は米株高の要因となろう。

一方、ミシガン大学消費者態度指数で消費者マインドの後退が見られる場合は、市場参加者に景気懸念を想起させよう。上で述べた新規失業保険申請件数もこの懸念を強める要因となれば、米国株は再び調整の反落相場へ逆戻りする可能性がある。

米国 ミシガン大学消費者態度指数:21年以降

米国 ミシガン大学消費者態度指数:21年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

ナスダック100の短期見通し

2つの移動平均線と19,600の攻防

9月のFOMCを境に、パウエルFRBの金融政策が緩和サイクルへ転じる可能性が意識されていることは、米長期金利の低下要因となろう。長期金利が低下する局面で、上で述べた経済指標、そして今後発表される重要指標で景気懸念を後退させる内容が続けば、アメリカの株式市場ではエヌビディア(NVDA)など主力半導体株の買い戻しが予想される。また、マグニフィセントセブンにも買いが入ろう。

株価指数ではハイテク株比率の高いナスダック100(NDX)に注目したい。直近のトレンドを日足チャートで確認すると、7月以降、景気懸念に振り回されジェットコースターのように上下に揺れ動いていることが分かる。

9月6日に18,400レベルがサポートラインとして浮上した(下の日足チャート、黒矢印を参照)。昨日の日足ローソク足のかたちが長い下ヒゲでの下影陽線だったことも考えるならば、目先のサポート水準としての存在感が増している。

上で取り上げた新規失業保険申請件数とミシガン大学消費者態度指数(速報値)で景気懸念が後退する場合は、ナスダック100のさらなる反発が予想される。

注目は21日線(19,279)と50日線(19,353)の突破である。特に後者の50日線を突破する場合は、RSIに続きMACDもゴールデンクロスへ転じることが予想される(RSIの動きは下の日足チャート、緑矢印を参照)。

ナスダック100が50日線を上方ブレイクした後、この移動平均線がサポートラインへ転換する場合は、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。このケースでは、8月27日以降、相場の上昇を止めているレジスタンスの水準19,600のトライが焦点として浮上しよう(下の日足チャート、赤矢印を参照)。

ナスダック100が19,600レベルをもブレイクアウトすれば、8月の上昇相場を止めた重要なレジスタンスの水準19,922レベルの攻防を意識したい。この水準はフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準でもあり、19,600レベル以上に強烈なレジスタンスポイントとして意識されることが予想される(下の日足チャート、赤矢印を参照)。

ナスダック100のチャート:日足 今年7月以降

ナスダック100のチャート:日足 今年7月以降

出所:TradingView

反落の局面では18,400の維持が焦点に

4時間足チャートのRSIとMACDの動向もナスダック100(NDX)に地合いの強さが戻りつつあることを示唆している(下の4時間足チャート、緑矢印を参照)。

しかし今のトレンドは、今日以降の重要な米経済指標で景気懸念が再び高まる場合、急変するだろう。この場合、半導体株やハイテク株には再び売り圧力が高まろう。

ハイテク株比率の高いナスダック100(NDX)は上で述べたレジスタンスのポイントの他、下の4時間足チャートにプロットした短期の上値抵抗線で反発が止められる展開を想定しておきたい。

ナスダック100の反落局面では、サポート水準として浮上している18,400ポイントの維持が焦点となろう(上の日足チャート、黒矢印を参照)。フィボナッチ・エクステンション38.2%の水準18,698を再び下方ブレイクする場合は、18,400トライのシグナルを想定したい(下の4時間足チャートを参照)。

ナスダック100が18,400ポイントを難なく下方ブレイクする場合は、下落幅の拡大を想定しておきたい。このケースでは、フィボナッチ・エクステンション半値戻しの水準18,315レベルの攻防に注目したい。

ナスダック100が18,315レベルをも下方ブレイクする場合は、節目の18,000ポイントをトライするシグナルとして警戒したい。テクニカルの面では、フィボナッチ・エクステンション61.8%の水準17,932の維持が焦点として浮上しよう。

ナスダック100のチャート:4時間足 今年7月以降

ナスダック100のチャート:4時間足 今年7月以降

出所:TradingView


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