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【米国株】S&P500の見通し 小売売上高とネットフリックス決算に注目

米国の債券市場では10年債利回りが低下のトレンドにある。中小型株の代表的な指数ラッセル2000は年初来高値を更新する状況にある。これらの動向を考えるならば、今週の米国株は引き続き上値のトライが焦点となろう。注目のイベントは、6月の小売売上高とネットフリックスの決算である。S&P500の展望は?注目のチャートポイントは?

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この記事のポイント

・今週のS&P500は、5,700ポイントのトライと維持が焦点となろう
・米長期金利は低下トレンドにあり、ラッセル2000は連日で高値を更新する状況に
・これら市場の動きは、S&P500の下支え要因となろう
・今週の注目イベントは、6月の小売売上高とネットフリックスの決算となろう


トランプ氏銃撃とその影響の見極め

アメリカの現地時間13日午後6時すぎ(日本時間14日午前7時すぎ)、11月のアメリカ大統領選挙に立候補しているドナルド・トランプ氏が銃撃された。

トランプ氏はSNSに「右耳の上部を銃弾で撃ち抜かれた」と投稿した。幸い大事には至らず、トランプ氏は15〜18日の共和党大会に出席すると述べた。

そして共和党は、15日に開幕した全国大会でトランプ氏を同党の大統領候補に正式決定した。副大統領候補には、J.D.バンス上院議員が選任された。

民主主義の世界において、暴力での排除は絶対に許される行為ではない。しかし、その行為が平然と行われた事実は、日本人が想像する以上に今回のアメリカ大統領選挙が熾烈な戦いになっていることを示唆している。

今回の事件を受けて、アメリカ大統領選挙の流れがトランプ陣営有利に傾く可能性がある。この点を示唆したのが、昨日の米国株である。

S&P500種株価指数(SPX)のセクター別パフォーマンスを確認すると、15日の株式市場ではエネルギー株と金融株が上昇した。

昨日のNY原油先物価格(WTI)は、中国の景気減速が意識され続落した。一方、米債市場では9月の利下げが強く意識され、10年債利回り(長期金利)が低下のトレンドにある。それでもエネルギー株と金融株が買われた事実は、アメリカ大統領選挙でのトランプ氏勝利によるこれらセクターの規制緩和を期待した動きと捉えることができる。

しかし、トランプ氏が掲げる政策は、インフレの再燃と財政悪化のリスクをもたらす。ゆえにアメリカ大統領選挙に関するヘッドライン、特にトランプ氏優勢が伝わる際に、米国の株式市場と債券市場がどのような反応を示すのか?米連邦準備制度理事会(FRB)の政策動向に加えて、これからはこの点にも注視する必要があろう。

S&P500のセクター別パフォーマンス:7月15日

S&P500のセクター別パフォーマンス:7月15日 ブルームバーグのデータで筆者が作成

S&P500、注目のチャート水準

上値の水準(レジスタンス)

・5,820:フィボナッチ・エクステンション161.8%
・5,700:レジスタンスの水準
・5,666:7月15日高値

下値の水準(サポート)

・5,600-14:フィボナッチ・リトレースメント23.6%戻し
・5,550-80:38.2%戻し、10日線、半値戻し
・5,520-30:サポート水準、61.8%戻し
・5,500-14:サポート水準、21日線


S&P500、今週の展望とチャート分析

5,700と5,820の攻防

今週のS&P500種株価指数(SPX、以下S&P500)は、5,700ポイントのトライが焦点となろう。12日の日足ローソク足は「上影陽線」となった。そして15日の日足ローソク足は「上影陰線」だった。高値圏でこれらのかたちが現れた状況は、市場の気迷いと反落の可能性を示唆する。

しかし、日足のMACDとモメンタムは、S&P500が強気地合いにあることを示唆している。

そして、下で述べる米10年債利回り(長期金利)とラッセル2000(RUT)の動向も考えるならば、今週S&P500の下落局面が見られても、その幅は限定的となることが予想される。

15日の高値水準5,666レベルの突破は、5,700ポイントをトライするシグナルと想定したい。S&P500が5,700ポイント台へ上昇した後、この水準の維持に成功する場合は、IG米国株レポートで注目しているフィボナッチ・エクステンション161.8%の水準5,820レベルのトライが視野に入ろう。

S&P500:日足 今年4月以降

S&P500指数:日足 今年4月以降

出所:TradingView

5,500ポイントの維持

一方、S&P500(SPX)が下値をトライする局面では、5,500ポイントの維持が焦点となろう。15日時点で21日線が、5,514ポイントまで上昇している(上の日足チャート、緑ラインを参照)。

S&P500が5,500(21日線)をトライするシグナルとして、下で述べるテクニカル水準の攻防に注目したい。

まずは、5,600ポイントの攻防である。すぐ上の水準、5,614レベルは直近高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準にあたる。昨日は、この水準で相場がサポートされた。

S&P500が5,600ポイント(リトレースメント23.6%)の維持に成功すれば、昨日の高値5,666レベル、そして5,700レベルのトライを視野に入れた上値トライを想定したい。

一方、S&P500が5,500ポイント台へ反落する場合は、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準5,582レベル、そして半値戻しの水準5,556レベルの攻防が焦点となろう。

15日時点で10日線がこれらリトレースメントの間の5,570レベルまで上昇している。5,550-5,580レベルをサポートゾーンと想定しておきたい。

S&P500が5,550レベルをも完全に下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準5,530レベルまで下落幅が拡大する展開を想定したい。すぐ下の5,520レベルは、「サポート転換」の可能性を意識する水準である。ゆえに、5,520-30をサポートゾーンと想定しておきたい。

分足のストキャスティクスとRSIで相場の過熱感を追い、これらオシレーター指標が売られ過ぎの水準でゴールデンクロスの状況にあるときに、S&P500が上の各サポート水準をトライする局面では、反発相場を想定したい。

S&P500:45分足 6月20日以降

S&P500指数:45分足 6月20日以降

出所:TradingView


低下の基調を維持する米長期金利

S&P500(SPX)が底堅さを維持すると予想する理由の一つが、アメリカ10年債利回り(以下では米長期金利)の動きにある。

5月以降、米長期金利は上昇から低下のトレンドへ転じている。6月の雇用統計と消費者物価指数(CPI)を受けて9月の利下げ期待が高まり、直近は4.1%台まで低下する局面が見られた。下で述べる6月の小売売上高で個人消費の落ち込みが確認される場合、米長期金利の低下幅がさらに拡大することが予想される。

今年のアメリカ株の上昇をけん引しているのは、グロース株である。ゆえに今の米長期金利の動きは、グロース株にとって大きな追い風となろう。

アメリカ10年債利回り:日足 年初来

アメリカ10年債利回り:日足 年初来

出所:TradingView


事実、米長期金利の低下幅が拡大し始めた5月以降、S&P500グロース指数とバリュー指数のパフォーマンスが大きく乖離する状況(グロース指数>バリュー指数の状況)にある。

S&P500グロース指数とバリュー指数、米長期金利の動向

S&P500グロース指数とバリュー指数、米長期金利の動向 ブルームバーグのデータで筆者が作成

ラッセル2000の上昇とすそ野の広がり

S&P500(SPX)を支えるもう一つの要因として注目したいのが、米株高のすそ野が再び広がりを見せていることである。この点を示唆しているのが、中小型株の代表的な指数ラッセル2000(RUT)である。

5月から6月にかけて調整の局面が見られたが、4月19日を起点としたサポートラインの維持に成功した。そして先週の12日に3月28日の高値2,135レベルを一気に上方ブレイクし、年初来高値を更新した。週明けも上昇スタートとなり、高値2,198レベルまで上昇する局面が見られた。

先週11日の大陽線も考えるならば、マグニフィセントセブンだけでなく、出遅れ感のある優良な中小型株にも資金がシフトする状況にある。上で述べた米長期金利の低下トレンドが続けば、中小型株を物色する動きが続くことが予想される。

ラッセル2000の上昇は、株高のすそ野が再び広がっていることを意味する。この状況は、投資家のリスク選好姿勢を強める要因となろう。

ラッセル2000:日足 24年3月以降

アメリカ小売売上高の動向:23年6月以降

6月のアメリカ小売売上高

今週の16日に、6月のアメリカ小売売上高が発表される。経済の土台である個人消費の動向を把握するうえで重要な経済指標である。

上で述べたとおり、現在の米債市場では6月の雇用統計と消費者物価指数(CPI)を受けて、9月の利下げが意識される状況にある。この状況でアメリカ個人消費の落ち込みが確認される場合は、米債市場で景気の先行き懸念も意識され、長期金利への低下圧力が高まることが予想される。

さえない小売売上高は株安の要因になり得る。しかし、上で述べた米長期金利の低下が株高の要因となっている状況を考えるならば、6月の小売売上高が株安の要因となっても、下落幅は限定的と予想する。S&P500(SPX)は、上で述べたサポート水準での押し目買いを考えたい。

一方、6月の小売売上高が予想外に強い内容となる場合は、米長期金利の反発が予想される。米長期金利の反発は株安要因である。しかし、同時に強い小売売上高は景気懸念を後退させる要因でもある。

現在は、9月利下げの可能性が強く意識されている。ゆえに、単月の小売売上高で米長期金利が反発しても、利下げ期待がその圧力を相殺する展開が予想される。

ゆえに、市場予想を上回る小売売上高は米株高の要因になると予想する。S&P500は、上で述べたレジスタンスポイントのトライを想定したい。

アメリカ小売売上高の動向:23年6月以降

アメリカ小売売上高の動向:23年6月以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成

ネットフリックスの決算

今週18日に、大手動画配信サービスのネットフリックス(NFLX)が第2四半期の決算を発表する。アナリストのコンセンサスは、増収減益の見通しとなっている。

第1四半期の会員数は約933万人の増加と、予想を大きく上回った。しかし第2四半期の会員数は、前四半期の約半分程度の増加にとどまると予想されている。また、前年同期の約590万人も下回る見通しである。

一方、広告収入は順調な伸びを示す見通しにある。また、NFLのクリスマス中継を契約(2024〜26年の3年契約)したことやライブイベントの催し、そして値上げなどを実施すれば、同社にはまだ成長の余地があるとの見方がある。

ゆえに焦点は、業績の見通し(ガイダンス)にあろう。投資家の期待に応える将来性と成長性を示すことができれば、S&P500(SPX)の押し上げ要因となろう。

ネットフリックス 第2四半期決算の予想

ネットフリックス 第2四半期決算の予想 赤の棒グラフ:2Q決算のアナリストコンセンサス、ブルームバーグデータより筆者が作成

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