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【IG米国株レポート】 主力株の買いは失速気味もナスダック100指数は押し目買いを狙う状況が続く

先週行われた議会証言でパウエルFRB議長は、あらためてインフレ抑制重視の姿勢を示し、今後の情勢次第で追加利上げの可能性を示唆した。FRBによる利上げの長期化は米国株にとって重石である。特にハイテク株比率の高いナスダック100指数にとってはネガティブな要因である。しかし、明確なトレンド転換が確認されるまでは反落局面での押し目買いを狙いたい。今週の注目材料は?ナスダック100指数の押し目買いのポイントは?

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・これまで米株高をけん引してきた主力株の買いが失速している
・しかし“タカ派”の重要イベント後も米債市場では利回りの上昇が抑制されている
・米債市場の参加者はインフレリスクの“先”をすでに見据えていると思われる
・今週の注目材料は5月のPCEデフレーターとなろう
・今週のナスダック100指数、“サポート転換”が押し目買いのシグナルに


米株高をけん引してきた主力株の買いは失速ムード

今年前半の米株高をけん引してきた主力株の買いが失速のムードにある。

この点を月初来のパフォーマンスで確認すると、6月以降も上昇幅が拡大する傾向にあったエヌビディア(NVDA)、メタ(META)そしてテスラ(TSLA)の中で、先週はメタのみが堅調地合いを維持し、エヌビディアとテスラは調整売りに押されたことが分かる。

これら2つの銘柄は、NY市場の時価総額のうち約75%をカバーするS&P500種株価指数(SPX、以下S&P500)やハイテク株比率の高いナスダック100指数(NDX)の上昇をけん引してきた経緯がある。

主力株 月初来のパフォーマンス:エヌビディア、メタ、テスラ

主力株 月初来のパフォーマンス:エヌビディア、メタ、テスラ 基準日:5月31日


一方、他の主力銘柄のパフォーマンスを確認すると、アップル(AAPL)やアマゾン(AMZN)こそ堅調地合いを維持したが、アルファベット(GOOGL、アルファベットの親会社)やマイクロソフト(MSFT)は上値の重い展開となった。

これまで米株高をけん引してきた主力株の買いが失速したことを受け、先週のS&P500とナスダック100指数はともに反落した。

主力株 月初来のパフォーマンス:アップルやアマゾンなど他の主力株

主力株 月初来のパフォーマンス:アップル、アマゾン、アルファベット、マイクロソフト 基準日:5月31日

米債市場の動きはサポート要因に

“タカ派”のイベント後も米債市場ではヒステリックな利回りの上昇が見られない

一方、“タカ派の” 連邦公開市場委員会(FOMC)やパウエル証言を受けても、米債市場では今のところヒステリックな利回りの上昇は見られない。

金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りこそ上昇トレンドを維持してはいる。しかし、今年3月の高水準5.0%付近を目指すことなく、現在は4.8%付近でキャップされる状況が続いている。一方、5年債と10年債利回りの上昇は抑制され、それぞれレンジ相場の状況にある。

これらの動きは、インフレリスクが去った後の経済状況を米債市場の参加者が想定し、そのシナリオに沿って動き始めていることを示唆している。

具体的には、パウエルFRBによる利上げ政策の長期化でインフレが抑制されること、そして10年債利回り(長期金利)の抑制傾向を考えるならば、大幅かつ長期に渡る利上げ政策の先に予想される景気の減速と後退の局面が訪れることを米債市場の参加者がすでに意識し始めている、ということである。

アメリカ金利の推移

アメリカ金利の推移 ブルームバーグのデータをもとに作成 / 日足:23年4月以降


米債市場の参加者はなぜ、インフレリスクの”先”をすでに見始めているのか?

期待インフレ率の動きにそのヒントがある、と筆者は考えている。

シリコンバレー銀行の破綻をきっかけに金融システム不安が意識されるようになった今年の3月以降、1年先の期待インフレ率は低下のトレンドを辿っている。一方、5年と10年の期待インフレ率も直近下げ止まりの傾向にあるが、緩やかな低下トレンドを描いている。

将来のインフレ動向に大きな影響を与えるのは、“期待”である。その期待インフレ率が短期、中期そして長期の期間でいずれも低下のトレンドにあることは、米債市場の参加者にインフレリスクの”先”を意識させる要因のひとつになっていると考えられる。

アメリカの期待インフレ率の推移

アメリカの期待インフレ率の推移 ブルームバーグのデータをもとに作成 / 日足:年初来(6月23日時点)

今週の注目材料

今週の注目材料は5月のPCEデフレーター

インフレリスクの”先”を意識しているとはいえ、目先の米金利は重要な経済指標、特にインフレと雇用関連の経済指標に左右されるだろう。

直近では、今週30日に発表される5月個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)でインフレ圧力の根強さが確認される場合は、利上げ長期化観測の高まりを受け米金利、特に2年債利回りに再び上昇の圧力が高まることが予想される。

しかし、上で述べたとおり期待インフレ率は低下のトレンドにある。この動きを重視し米債市場の参加者がインフレリスクの”先”を意識し続ける場合、長期金利の上昇は抑制される可能性があろう。長期金利の上昇が抑制される場合は、米国株にとってサポート要因である。

一方、パウエルFRBが重視するPCEデフレーター、特に食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレーターの鈍化が確認される場合は、「インフレリスクの後退→利上げ長期化懸念の後退」を受け、米国株は上昇することが予想される。

アメリカ 個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)の動向

アメリカ 個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)の動向 米商務省のデータをもとに作成 / 月次:2022年以降 / ※赤バーチャートと赤点は5月の市場予想

今週のナスダック100指数、見通しとチャートポイントについて

サポート転換を確認 → 押し目買い

アメリカの株価指数では、引き続きナスダック100指数(NDX)に注目したい。

日足チャートでトレンドを確認すると、現在は、先週のIG米国株レポートで指摘した14,790レベルの攻防となっていることが分かる。この水準での “サポート転換” が確認される場合は、6月16日の高値15,284レベルを目指す展開を予想する。ゆえに、14,790レベルでの ”サポート転換” が確認される場合は押し目買いを考えたい。

逆に、上で述べた主力株(特にエヌビディア、メタ、テスラ)に調整売りの圧力が高まる場合は、14,790レベルの下方ブレイクを予想する。

このケースでは、14,600台の維持が焦点として浮上しよう。20日MA(23日時点で14,654レベル)の下方ブレイクは、“サポート転換” が期待されるフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準14,610レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。

ナスダック100指数が14,600台の維持に成功する場合は、反発相場を想定した押し目買いを考えたい。

主力株の売りと米金利の上昇が重なる場合の注目ポイントは?

主力株の売りが続き、かつ米金利の上昇(そのきっかけとして今週注目したいのが5月PCEデフレーターの内容)に上昇の圧力が高まる場合、ナスダック100指数(NDX)は14,600レベルを下方ブレイクすると予想する。

テクニカルの面では、地合いの強さが後退していることを示唆しているストキャスティクスとRSIで低下トレンドが鮮明となろう。その動きは、市場参加者に短期的な下落リスクを意識させよう。

実際にナスダック100指数が14,600台をも下方ブレイクする場合は、半値戻しの水準14,402レベルでの攻防に注目したい。

今週28日に半値戻しの水準(14,402レベル)と短期サポートラインが交錯する。これら重要なテクニカル指標が重なる水準を維持できるかどうか?は、ナスダック100指数が上昇トレンドを維持できるかどうか?を見極めるための重要な意味合いを持つ。

ナスダック100指数が上2つのテクニカルポイント(半値戻しと短期サポートライン)をも下方ブレイクする場合は、下落幅の拡大を想定した短期的な売り戦略へ転じると同時に、新たなサポートの水準が判明するまで押し目買いは控えたい。

ナスダック100指数のチャート

ナスダック100指数のチャート Tradingviewの日足:23年4月以降

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