米国株見通し: バリュー株に依然として妙味 インフレ懸念高まるなか
4月に入ってからの米長期金利の低下を背景にグロース株が再び勢いづいている。それまでの半年間に観測されたローテーションが巻き戻されている格好だ。しかし、市場のインフレに対する懸念は高まっており、バリュー株には依然として妙味があるとみられる。
4月に入ってからの米長期金利の低下を背景に大型ハイテク銘柄を含むグロース株が再び勢いづいている。それまでの半年間に観測されたローテーションが巻き戻されている格好だ。しかし、市場のインフレに対する懸念は高まっており、景気循環銘柄を含むバリュー株には依然として妙味があるとみられる。
長期金利の低下でグロース株に対する相対的な割高感は和らいでおり、マイクロソフトなどの一部銘柄が上場来高値を更新。ナスダック総合指数は26日に終値で過去最高値を更新した。
しかし、バリュー株がこのままグロース株の後塵を拝するとの見方は少ない。バンク・オブ・アメリカの調査によると、昨年9月末から4月中旬までの期間、バリュー株はグロース株を20%ポイント近くアウトパフォームした。しかし、歴史的には景気サイクルの序盤におけるバリュー株のアウトパフォームの平均は60%であり、景気回復の勢いを考慮すれば20%は物足りない。
今後、バリュー投資を押し上げるのは経済成長の加速とそれに伴うインフレがもたらす金利上昇だろう。
米国では速いペースで景気回復が進んでいる。金融当局が大規模な金融緩和を続けるなか、バイデン政権が成立させた1兆9000億ドル規模の追加経済対策や順調に進むコロナワクチン接種がその背景にある。政権は2兆ドル相当のインフラ投資計画も打ち出した。
実際、力強い成長を裏付けるデータが相次いで発表されている。3月の小売売上高は前月比9.8%(季節調整済み)の増加と、2020年5月に続く過去2番目の増加幅となった。
米連邦準備理事会(FRB)は3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で21年の米国内総生産(GDP)を6.5%増と予想。従来予想の4.2%増から引き上げた。
商品相場高
一方、3月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.6%上昇。前年同月比では2.6%と18年8月以来、2年7カ月ぶりの高い伸びとなった。
米ミネアポリス地区連銀がまとめたオプション取引に基づくインフレ率データでは、向こう5年にインフレ率が平均3%を上回る確率は足元では30%を超える。13年以来となる8年ぶりの高い水準だ。
市場のインフレ懸念は、インフレに対するヘッジの役割を果たすコモディティ(商品)の相場にすでにあらわれている。銅の国際価格は4月以降の米長期金利の低下によるドル安も支援となり、国際価格の指標であるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物が9年半ぶりの高値水準にある。
米シカゴの商品先物市場では小麦やトウモロコシ、大豆などの農産品が足元で13年以来の高値で取引されている。
金融セクターなど恩恵
景気回復で恩恵を受けるセクターには金融やエネルギー、素材、資本財などが含まれる。
21年1~3月期決算の発表をおおむね終えた金融セクターではJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、シティグループなど大手銀行が四半期として過去最高益を更新している。
景気回復により貸し倒れリスクが後退。それによる貸倒引当金の戻し入れが各行の増益の主因となった。投資銀行業務も好調だった。
ただ、貸付利息や有価証券利息といった資金運用は全般に振るわなかった。昨年の政府からの給付金により貸出重要が低下したことが大きい。もっとも、経済の成長により今後、企業の資金需要が増加すれば、利息収入は増加に転じると見込まれる。
また、エネルギーでは23日に決算を発表した石油サービス大手シュルンベルジェが、石油需要は22年末までにコロナ禍前の水準を回復するとして、従来よりも強気の予想を示した。これまでは23年までの需要の回復を見込んでいた。
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