新型肺炎株―アンジェス、新材料で一時ストップ高 クラボウ急落
・PSSと東京農工大、PCR検査の全自動化に成功と発表
・クラボウは朝方に昨年来高値
16日の東京株式市場で創薬ベンチャーのアンジェス<4563>が一時ストップ高となった。新型コロナウイルス対策の予防用ワクチン開発に着手するとの発表で買われてきたが、この日はオーストラリアで実施中の高血圧ワクチン開発のための臨床試験で予定する患者への投与が完了したとの発表が新たに注目された。プレシジョン・システム・サイエンス(PSS)<7707>もコロナウイルス関連の新たな成果の発表を受けて上昇。一方、クラボウ<3106>は大幅に反落して引けた。
アンジェスの終値は前週末比87円(14.77%)高の676円。一時、ストップ高に相当する100円台の689円まで買われた。出来高はマザーズ銘柄でトップだった。
アンジェスは午前8時半、オーストラリアで実施中の高血圧DNAワクチン開発のための第1/2a相臨床試験において、予定する24例の患者への投与が完了したと発表した。今後は二重盲検下で半年間の安全性と有効性を評価し、その後半年間の非盲検下で長期安全性および有効性を評価する。
臨床試験結果の公表は2020年10~12月期頃を予定しているという。
現在、高血圧の治療では経口医薬品が使用されているが、注射剤であるDNAワクチンは一度の投与で長期にわたって効果が持続することが期待される。
アンジェスは5日、同社と大阪大が保有するDNAプラスミド製品の開発実績を生かし、新型コロナウイルスのワクチン開発に取り掛かると発表した。
不活化ウイルスをワクチンとする方法(弱毒化ワクチン)や遺伝子組換えウイルスタンパク質をワクチンとする方法に比べて、同社の技術は安全かつより短期間で製造プロセスを確立することが可能。動物で試験などを行い、早ければ半年以内に臨床試験に進みたいと表明した。
なお、同社は13日朝、ワクチン開発に化学品メーカーのダイセル<4202>が参画すると発表。同日の株式市場でアンジェスは一時、15%超上昇する場面があった。
アンジェス株は、ワクチン開発への着手を発表する直前の4日終値からこの日の高値までの上昇率が60%を超えた。
プレシジョン・システム・サイエンス
PSSは大幅に反発。一時、27.44%高の497円まで買われた。終値は27円(6.92%)高の417円。出来高はマザーズで3位。
東京農工大が13日付で、PSSとの共同研究成果である全自動PCR装置を用いることで、鼻咽頭拭い液などサンプルからの核酸抽出に始まり、PCRによる判定に至るまでの全自動化に成功したと発表したことが好感された。
この手法による新型コロナウイルス感染の有無の判断に必要な時間は2時間10分。全自動であるため、検査担当者の負担を大幅に減らすことが可能という。
東京農工大とPSSは10日、全自動PCR装置が新型コロナウイルスの診断に利用できることを報告していたが、今回、東京農工大と千葉県衛生研究所の共同研究チームで実サンプルを用いて検証した結果、その有効性を実証することに成功した。
クラボウ
一方、繊維メーカーのクラボウは大幅反落。終値は492円(18.41%)安の2181円。13日の上昇分をほぼ帳消しにした。
クラボウは12日昼、新型コロナウイルスの感染の有無を15分で判定できる検査キットを16日に発売すると発表し、買いが膨らんでいた。
12日、13日両日にストップ高となり、この日は朝方に125円(4.68%)高の2798円を付け、昨年来高値を更新した。
しかし、その後は利益確定の売りで急落。引け際にストップ安に相当する500円安の2173円を付けた。
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