原油は底入れしていない、キャッシュコスト割れとなる公算も━ゴールドマン
・WTIが30ドル割れ
・米、備蓄購入への準備進める
ニューヨーク原油先物相場が16日、前週末から10%近く値下がりし、1バレル=30ドルの節目を割り込んで引けた。株式相場が急落するなかでリスクオフの動きが広がり、リスク資産の原油にも売りが波及した。こうしたなか、ゴールドマン・サックスは原油相場がまだ底入れしておらず、キャッシュコストを割り込んで下落する可能性があるとあらためて指摘。また一部の産油業者は掘削停止を余儀なくされるとした。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上場するWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の4月限は前週末比3.03ドル(9.55%)安の28.70ドルで取引を終了。期近限月としては2016年2月以来約4年1カ月ぶりの安値を付けた。
株式市場ではダウ工業株30種平均の下げ幅が一時3000ドルを超えた。
ゴールドマンは16日付のリサーチノートで、原油相場は底入れしていないと分析。相場は一段と下落し、一部の産油業者が掘削の停止に追い込まれる可能性があるとの見方を示した。
また、米国とカナダの産油業者の平均キャッシュコストである1バレル=23~26ドルを相場は一時的に割り込むかもしれないと指摘した。
その上で、20年4~6月期から21年7~9月期の間に米シェール業界の設備投資は30%減少する可能性があり、米国の産油量は日量100万バレル減少する可能性があるとした。
今月6日に石油輸出国機構(OPEC)とロシアの追加減産協議が決裂した後、原油相場が急落した局面で、ゴールマンは原油相場がキャッシュコストまで下落する可能性があるとの見方を示していた。
SPR積み増し
原油相場は13日、米政府が戦略石油備蓄(SPR)を積み増すべく、原油を大量に購入するとのトランプ米大統領の発言を受けて反発して引けていた。
国家非常事態を宣言したトランプ氏は、原油相場がかなり下落したとし、手頃な価格でSPR向けの原油を大量に購入するようエネルギー長官に指示したと述べた。
一部メディアは16日付で、米国が2週間以内に最大7700万バレルの国産原油をSPR向けに購入し始める準備を進めていると伝えた。
一方、ゴールマンは15日付で、SPR向けの購入はピーク時のペースでも日量50万バレルであり、足元の国際市場での供給余剰の同600万バレルには及ばないと指摘している。
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