アルファベット株が急落 一時8%安 7-9月期にクラウド成長減速
アルファベットのクラウド事業が減速し、株価は下落した。ピチャイCEOは先行きを楽観しているが、投資家の不満は高まった。
グーグルなどを傘下にもつアルファベットが24日の取引時間後に発表した2023年7-9月期決算はクラウド事業の成長減速が悪材料とみなされる結果だった。総収入と1株当たり利益は2四半期連続の増収増益で、いずれも事前予想を超える好決算。しかし投資家の期待が集まるクラウド事業の成長率は4-6月期から低下し、アルファベットの株価(GOOGL)は時間外取引で24日の終値から8%近く下落する場面もあった。サンダー・ピチャイCEOは決算会見でクラウド事業の先行きを楽観的にみているとしたが、投資家の不満が強まったようだ。
アルファベットの2023年7-9月期決算は広告事業が好調
アルファベットの7-9月期決算は総収入が前年同期比11.0%増の766.93億ドル、1株当たり利益が46.2%増の1.55ドルだった。金融情報会社リフィニティブのデータによると、決算発表直前の予想は、総収入が759.71億ドル、1株当たり利益が1.45ドルだった。発表された結果はいずれも事前予想を上回っており、好決算だったといえる。収入の4分の3程度を占める広告事業の伸び率が9.5%となり、2022年4-6月期(11.6%増)以来の大きさとなったことなどが貢献した。
しかし投資家の注目は、人工知能(AI)サービスの提供基盤となるクラウド事業の減速に集まったようだ。アルファベットの7-9月期のクラウド事業の収入は84.11億ドルで、前年同期比22.5%増。4-6月期の28.0%増から成長が鈍化する結果となった。クラウド事業の成長率が前四半期を下回るのは4四半期連続だ。
こうした決算内容を受けて、アルファベットの株価は24日の時間外取引で下落。一時、129ドル程度まで値下がりする場面もあった。24日の終値(140.12ドル)との比較では7.9%安にあたる水準だ。その後はやや買い戻され、約6%安の水準で時間外取引を終えた。
ピチャイCEOはクラウド事業の成長性を楽観
ピチャイ氏は決算会見で「クラウドの先行きについて楽観的だ」と強調。AI関連サービスに対する顧客企業の関心は強いと述べた。しかし同時に足元では、顧客企業が支出の絞り込みを検討していることにも触れ、クラウド事業には「落ち着きの兆しがみえる」とも述べている。また、ルース・ポラットCFOは「成長に向けた優先事項の中で最も重要なのはAI関連だ」とし、投資の余力を高めるためにコストの見直しを進めるとしている。
収益の柱である広告事業の復調はアルファベットの成長性を裏付ける。しかしアルファベットはクラウド事業では、アマゾン・コム(AMZN)やマイクロソフト(MSFT)に後れをとっているのも現実だ。マイクロソフトは24日に発表した2023年7-9月期決算でクラウド事業の成長率を回復させて株価が値上がりしており、アルファベットが投資家の高い期待に応えるには、マイクロソフト同様にクラウド事業の成長を加速させることが不可欠だといえそうだ。
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