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各市場は米CPI待ちのムード / ポンド円の焦点とチャートポイント

外為市場を含め各市場は10日の7月米CPI発表待ちムード。テクニカルの面で分岐点にあるドル円だが、株式市場が大きく崩れない限り底堅さを維持すると予想。ポンド円の焦点とチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

各市場は米CPI待ちのムード


【サマリー】
・米金利の低下とリスク選好相場での外為市場のトレンド
・7月米CPI発表前の外為市場の展望
・ポンド円の焦点とチャートポイント



・米金利の低下とリスク選好相場での外為市場のトレンド

8日の米債市場では各年限の利回りが低下した。一方、欧米の主要な株価指数は総じて上昇した。米金利の低下とリスク資産(株式)の上昇を受け、外為市場では米ドル売り優勢の展開となった。

このレポートで何度か指摘してきたが、米金利の低下とリスク選好相場(主に株高)が同時に発生する局面での外為市場では、米ドル売りの圧力が高まるトレンドが見られる。特に資源と関わりの深い通貨に対してその傾向が見られる。

実際に昨日のパフォーマンスを確認すると、オセアニア通貨や資源と関わりの深い新興国通貨を中心に米ドル安となったことがわかる。

米ドル相場のパフォーマンス:8月8日

米ドル相場のパフォーマンス:8月8日 ブルームバーグのデータより作成 / 基準日:8月5日


一方、上の状況(米金利の低下とリスク選好相場が同時に発生する状況)では、クロス円を中心に円売りの圧力が高まりやすい、というトレンドも見られる。米金利の低下によるドルストレート通貨の下落とリスク選好相場による円安が重なるからだ。実際に昨日のパフォーマンスを確認すると、クロス円-特に資源と関わりの深い通貨に対して円安が進行していることがわかる。

一方、対米ドル(USDJPY)は横ばい推移となっている。これは、米金利の低下による米ドル売りの圧力と、リスク選好相場による円売りの圧力がぶつかり合ったことが原因である。

円相場のパフォーマンス:8月8日

円相場のパフォーマンス:8月8日 ブルームバーグのデータより作成 / 基準日:8月5日


・外為市場の展望

今日は米3年債の入札(10日午前2時)が予定されているが、外為市場に大きな影響を与える重要な経済指標やイベントの予定はない。そして米国市場は、10日の7月米消費者物価指数(CPI)待ちのムードとなっている。

上で述べた状況を考えるならば、今日の外為市場は小動きの展開を想定しておきたい。

引き続き米金利の上昇が抑制される場合は、米国株のサポート要因となり得る。米国市場が昨日と同じ展開となれば、外為市場では対資源国通貨(新興国通貨)を中心に米ドル安優勢の展開を想定しておきたい。

一方、米金利が反発する場合は米ドルを買い戻す動きが見られよう。米金利と米国株が同時に上昇する展開では、ドル円(USDJPY)の上昇幅が最も拡大しやすい。

逆に米金利が上昇する一方、米CPIの発表前に米国株が下落する(調整の反落となる)場合は、米ドルと日本円が同時に買われる展開が予想される。

このケースでのドル円は、前者のケース(米金利の上昇と株高のケース)ほどの上昇は期待できないだろう。だが、米金利との連動性が高い通貨ペアだけに、昨日のレポートで指摘した短期レジスタンスライン(今日現在135.75レベル)や21日MA(今日現在135.87レベル)をトライする可能性がある。株安の方が意識されて下落しても、134円台を維持する展開を予想する。

外為市場の展望

外為市場の展望

ポンド円の焦点とチャートポイント

・ドル円との相関性が高いポンド円

ポンドドル(GBPUSD)は再び下落トレンドへ傾いている。しかしポンド円(GBPJPY)は、160.00-166.00のレンジ相場を維持している。これは、ドル円(USDJPY)の反発が大きく影響している。

ポンド円が下落トレンドは転じた6月9日以降の相関係数を確認すると、ポンドドルのそれが0.35である一方、ドル円のそれは0.59と高いことがわかる。

そのドル円だが、上で述べたとおり現在はテクニカルの面(短期レジスタンスラインと21日MAの攻防)で再び分岐点に差しかかっている。だが、株式市場が大きく崩れない限り(このケースでは米金利の低下幅が拡大していることが予想される)、ドル円が下値トライとなる可能性は低い。

また、米金利が低下しても株高となれば、ポンドドルの反発によって短期的にポンド円がサポートされるだろう。

ポンド円、ドル円、ポンドドルの相関マトリクス

ポンド円、ドル円、ポンドドルの相関マトリクス 基準日:2022年6月8日 / データ数:43 / 相関係数は対数差分


・目先は21日線の攻防が焦点に

上の状況を踏まえた上でポンド円(GBPJPY)の日足チャートを確認すると、21日MA(今日現在163.69レベル)がレジスタンスラインとして意識されていることがわかる。よって、ポンド円の上昇局面では、この移動平均線までの上昇を想定しておきたい。

ポンド円の買いを仕掛ける場合は、一度21日MA付近でポジションを解消し、この移動平均線の上方ブレイクおよび反落局面で21日MAがサポートへ転換することが確認される場合に、新たなポンド円の買いを仕掛けたい。

逆に21日MAがサポートへ転換できない場合は、ポンド円の売りを仕掛けることを考えたい。

ポンド円が164円台へしっかりと乗せてくる場合は、レンジの上限166.00レベルを視野にもう一段の上昇を想定しておきたい。

だが、ポンド相場は現在、英国経済の先行きリスクを強く意識する局面にある。

9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利上げの可能性が再び浮上していることで、米国株が崩れる可能性も水面下でくすぶっている。

よって、上で述べたレジスタンスポイントで何度も上昇が止められる場合はポンド円の下落-短期サポートライン(今日現在161.85レベル)そしてレンジの下限160.00レベルの下方ブレイクを常に警戒しておきたい。

ポンド円のチャート

ポンド円のチャート TradingView 日足(今年3月以降)

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