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豪ドル下落停止 6日ぶり上昇 オーストラリア中銀、利下げ見通し牽制

豪ドル円相場で豪ドル安がストップした。ただ、RBAの利下げ観測が完全に消えたわけではなく、豪ドル安圧力が続く可能性がある。

豪ドル下落停止 6日ぶり上昇 オーストラリア中銀、利下げ見通し牽制 出所:Adobe Images

豪ドル円相場で豪ドルの下落が停止した。6日のニューヨーク市場の終値は前日比0.43円の豪ドル高となり、6営業日ぶりの上昇。オーストラリア準備銀行(RBA)が6日までの理事会後の声明文などで物価上昇への警戒を緩めず、金融市場で持ち上がっていた利下げ見通しを牽制したことが要因だ。ただ、豪ドル円相場は7月中旬から17%もの豪ドル安が進んできただけに、相場の流れに完全に歯止めがかかったとは言い切れない。金融市場ではRBAが年内利下げに踏み切るとの見方は根強く、日本銀行の追加利上げ観測も背景にした豪ドル安圧力が続く可能性がありそうだ。

豪ドル円相場の下落が停止 6日終値は94円台

豪ドル円相場(AUD/JPY)は6日のニューヨーク市場を1豪ドル=94.06円で終了。前日比で0.46%の豪ドル高となった。7月30日から続いてきた5営業日連続での豪ドル安がストップした。

豪ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

オーストラリア準備銀行は物価を警戒 利下げ見通し牽制

豪ドルの下落を食い止めたのはオーストラリアの中央銀行にあたるRBAの動きだ。RBAは6日までの理事会後の声明文で、「経済指標は物価上昇が上振れするリスクを注視し続ける必要性を強めた」と強調。ミシェル・ブロック総裁も理事会後の記者会見で「近い将来の利下げは理事会の現段階での考えとは一致しない」と述べ、物価上昇への警戒に軸足を置いた。RBAは理事会では市場予想通りに6会合連続の政策金利維持を決定。金融政策の今後の見通しについて利上げと利下げの両方を排除しない姿勢を維持している。

こうしたRBAからのタカ派寄りの情報発信は、理事会前の金融市場の見立てとは色合いが異なる。金融市場では7月31日に発表された4-6月期の消費者物価指数(CPI)の前期比での伸び率が市場予想を下回ったことなどがRBAの利下げ期待を強め、豪ドル安の要因のひとつとなってきた。8月5日につけた安値(90.35円)は7月11日の高値(109.36円)から17.38%安という急激な下落だ。豪ドルは円に対してだけでなく、ドルに対しても下落傾向が続いてきた。RBAの声明文などには急激な豪ドル相場の変動を牽制する狙いもうかがえる。

豪ドル、円、ポンド、ユーロの対ドルレートの推移のグラフ

RBAの利下げ予想は消えず 年内実施確率は66%

ただ、RBAが利下げに向かうとの見通しが消えたわけではない。LSEGのデータによると、12月の理事会までに利下げが行われることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間7日午前11時の段階で約66%。11月までの利下げについても約46%の確率が見積もられている。

また、豪ドル円相場に関してはドル円相場(USD/JPY)での円高基調の影響も大きい。日銀の植田和男総裁が7月31日の記者会見で追加利上げも辞さない姿勢を示して以降、金融市場では日本の超低金利が終わりに向かう見通しを材料にした取引が目立つ。ドル円相場は5日には141.66円をつけ、7月3日の高値(161.99円)から14.35%の円高が進行した。

さらにアメリカの連邦準備制度理事会(FRB)は9月の利下げが確実視される情勢で、こちらも円高要因として働く。利上げを見据える日銀と、利下げ見通しが消えないRBAの方向性の違いが、今後も豪ドル円相場での豪ドル安圧力として働いていく可能性がありそうだ。


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