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豪ドル上昇に弱さ 物価上振れに平静 オーストラリア中銀利下げ予想継続

豪ドル円相場は2日に1か月ぶりの99円台をつけたが勢いは弱い。物価上昇が上振れる中でもRBAが年内に利下げするとの観測が根強く残っている。

豪ドル上昇に弱さ 物価上振れに平静 オーストラリア中銀利下げ予想継続 adobe images

豪ドル円相場の上昇が弱いままだ。2日の東京市場での取引は一時、1豪ドル=99円台をつけ、約1か月ぶりの豪ドル高水準。とはいえ、8月中旬以降はほぼ横ばいが続いており、勢いは乏しい。一方、豪ドル円相場をめぐっては、8月28日に7月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が予想よりも上振れる豪ドル高材料が出た。オーストラリア準備銀行(RBA)も物価上昇への警戒を緩めていない。しかし金融市場に根強く残る年内利下げ見通しが豪ドル安圧力として働いており、RBAの情報発信と金融市場の見通しの食い違いが続いている。

【関連記事】豪ドル安96円台 経済見通し悪化 RBAの年内利下げの公算強まる(2024年9月4日)

豪ドル円は1か月ぶり99円台 上昇の勢いは弱い

豪ドル円相場(AUD/JPY)は日本時間2日に一時、1豪ドル=99.26円をつけた。LSEGによると、99円台をつけるのは7月31日以来で、1か月ぶりの豪ドル高水準だ。ただし豪ドル円相場は8月15日以降は98円台後半での値動きも多かったただけに、99円台前半への上昇は、今後も豪ドル高が続くとの見通しを強めるほどの驚きはない。

豪ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

オーストラリアの7月CPIは予想よりも強い豪ドル高材料

こうした豪ドル円相場の値動きはオーストラリアの物価情勢と一致していない印象がある。28日発表の7月CPIは、総合指数の伸び率が前年同月比3.5%で、6月の3.8%から大きく低下。しかし電気料金引き下げを狙う政府の施策による押し下げ効果が大きく、上昇率低下は想定通りでもあった。3.5%という上昇率はロイターがまとめた市場予想の3.4%を上回っており、豪ドル高材料といえる内容だった。

オーストラリアの消費者物価指数(CPI)の伸び率の推移のグラフ

こうした物価情勢はオーストラリアの中央銀行にあたるRBAの分析と一致する。RBAは約1か月前の8月6日、金融政策維持を決めた理事会後の声明文で、「経済指標は物価上昇が上振れするリスクを注視し続ける必要性を強めた」と強調。豪ドル円相場で7月11日のピーク(1豪ドル=109.36円)から急ピッチで進んだ豪ドル安の反発を後押ししていた。

ただ、7月CPIでRBAの見立て通りに物価上昇の根強さが確認されたにも関わらず、28日の豪ドル円相場の反応は限定的だった。ニューヨーク市場の終値は1豪ドル=98.08円で、前日比0.31円の小幅な豪ドル高。豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)は28日に豪ドル安方向に動いており、物価上昇の上振れはほとんど材料視されなかったようだ。

円、豪ドル、ユーロ、ポンドの対ドルレートの推移のグラフ

オーストラリア中銀の年内利下げの見通しは消えず 

同時に金融市場ではRBAが年内に利下げに踏み切るとの思惑が根強い。LSEGによると、RBAが12月の理事会までに利下げに踏み切ることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間9月2日正午段階で59%程度。RBAが物価上昇に警戒を示した翌日にあたる8月7日の66%程度からさほど下がっていない。金融市場ではRBAは9月23、24日の理事会では利下げを見送るとみられているが、11月と12月の理事会では利下げの可能性があるとの見通しを維持している形だ。

こうしたRBAの情報発信と金融市場の見通しの食い違いは、いずれは修正されていくことになる。3日に発表される4-6月期の経常収支や、4日に発表される4-6月期GDPが豪ドル円相場を動かすきっかけになる可能性もありそうだ。


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