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豪ドル円転落 3週間で14%安 オーストラリア中銀は維持見通し

豪ドル円相場は5日に93円台を記録。7月中旬の109円台から転落している。RBAは6日までの理事会で政策金利を据え置く見通しだ。

豪ドル円転落 3週間で14%安 オーストラリア中銀は維持見通し 出所:Adobe Images

豪ドル円相場が歴史的な豪ドル高水準から転落している。5日の東京市場では1豪ドル=93円台を付ける場面もあり、11日につけた33年9か月ぶりの高値から14%超の豪ドル安となった。ドル円相場で進む急激な円高に加え、中国経済への不安やオーストラリアの物価情勢を背景にした豪ドル安が重なったためだ。オーストラリアの中央銀行にあたるオーストラリア準備銀行(RBA)は6日までの理事会で政策金利を維持する見通しだが、今後の金融政策の方向性をめぐる情報発信が豪ドル円相場を動かす可能性がある。

【関連記事】豪ドル下落停止 6日ぶり上昇 オーストラリア中銀、利下げ見通し牽制(2024年8月7日)

豪ドル円は一時93.85円 約3週間前の109円台から転落

豪ドル円相場(AUD/JPY)は5日の東京市場で一時、1豪ドル=93.85円をつけた。7月11日につけた109.36円からの下落率は14.18%に達した。109円台は1990年10月5日以来の高値だっただけに、歴史的な豪ドル高水準から転げ落ちた形だ。豪ドル円相場は2024年に入り、前年末の96.04円を起点として一本調子での豪ドル高が続いてきたが、相場の様相は完全に変化している。

豪ドル円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

中国経済への不安やオーストラリア物価情勢が豪ドル安要因

潮目の変化を引き起こした最大の要因は、ドル円相場(USD/JPY)で進む急激な円高だ。ドル円相場は7月9日からの4週間で11%超の円高が進行している。直近の円高要因となったのは8月2日発表のアメリカの7月雇用統計で失業率が4.3%まで上がり、米国経済の見通しが一気に悪化したこと。日本銀行の植田和男総裁が7月31日までの金融政策決定会合で利上げを決めた後、記者会見で追加利上げも辞さない姿勢を示したことも相場を大きく動かした。

豪ドル、円、ポンド、ユーロの対ドルレートの推移のグラフ

さらに豪ドル円相場を急変させているのは、豪ドルがドルに対して弱くなっているという事情だ。豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)は直近の4週間で3.5%程度の豪ドル安。オーストラリアとつながりが深い中国経済の減速懸念に加えて、7月31日に発表された4-6月期の消費者物価指数(CPI)でコア指数の前期比伸び率が0.8%となり、市場で見込まれていた1.0%を下回ったことが豪ドル安要因となったもようだ。4-6月期の総合指数の伸び率は前年同期比3.8%となっている。

オーストラリアの消費者物価指数(CPI)の伸び率の推移のグラフ(月次、四半期)

オーストラリア中銀は政策金利維持見通し

こうした中、RBAが6日まで開く理事会では6会合連続での政策金利の維持が予想されている。LSEGのデータによると、今回の理事会で政策金利が据え置かれることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間5日午前11時現在で87%。0.25%利下げの確率が13%となっている。7月中旬の段階では物価上昇圧力の根強さを意識した利上げ見通しも残っていたが、RBAの政策金利をめぐる思惑も大きく変化したといえる。

RBAが6日午後2時30分(日本時間6日午後1時30分)に発表する政策金利が予想通りに現状維持だった場合、焦点は今後の金融政策の見通しとなる。声明文やミシェル・ブロック総裁の記者会見で、米国や中国の経済の見通しがオーストラリア経済に悪影響を及ぼすことへの懸念や、オーストラリアの物価上昇圧力の低下に対する評価があれば、さらに豪ドル安が進むことも考えられる。


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